発見
「月彦様、まだですか〜?」
「お前、まだ僕がこっちについてから2分くらいしか経っていないじゃないか。流石に大井さんもすぐにはこっちには来れないよ。」
文句を言うルナに対し呆れながら諭す月彦。
「とりあえず大井さんが近くに来たら急いで車に乗り込まないとだわね。」
セレナがこう言う。すでに顔の情報が割れている以上素早く行動しなければならない。
そう言ったことを言っている最中であった。
「いたぞ!警察だ!全員その場から動くな!」
聞き込みを行っていた刑事とその部下の二人がたまたま三人を発見した。
「警察だけど対策室じゃないみたい。どうするさっき忘却術式を何回か使ったんだよね?警察だけど使わないと逃げれないよ!」
月彦が慌てながら叫ぶ。
「仕方ないわ、また使うしかないわ。」
セレネが魔術陣を構築しようとする。その時聞いたことがある声がした。
「刑事さんここは我々が対処しましょう。魔術に対しての知見はあなた方にはないでしょう。」
対策室の長門が刑事の肩に手を置き、動き出すのをそっと制止する。長門の後ろには加賀と北見の二人も控えていた。
「何者だあんたたち、それに魔術って言ったな。」
刑事が怒りながらも冷静に聞き返す。
「ええ、もう公然の秘密になってしまいましたから言いますけども相手は魔術を使用します。我々はその専門チームです。任せてもらってもいいですか。」
「専門チームだと、どう言うことだ。」
刑事が疑問を投げかける。
「我々も警察ですよ。ただ所属が違うだけの。離れていてください、危険ですよ。」
丁寧ながらも何処か迫力のあるその様子に刑事はひくしかなかった。
「対策室の長門。3年ぶりかしら。それに後二人も対策室かしら。私たちを拘束しに来たの?」
「拘束ではない。あくまで保護だ。これだけ世間に広まっている以上魔術師を全員保護し、混乱を治めると。それが我々の役割だ。すでにマスコミには情報統制を出している。SNSは間に合わなかったがいずれ投稿は削除されるだろう。今は我々が魔術師を保護し世間から隔離することがこの混乱を治めるのに一番重要だ。」
長門が三人にそう告げる。
「断るわ。私たちは決して国家の犬ではないわ。そして私はやっていない。それなのに保護という名目で拘束されるなんて。」
そう言いながらセレネは長門の足元に魔術陣を構築する。
「ひえ!」
長門の後ろにいた刑事が情けない声を出す。無理もない。初めて見る魔術なのだから。
「とにかく忘れなさい!」
セレネが構築した魔術陣から黒い光が放出されると同時であった。長門が腰からナイフを抜き膝魔つきながら魔術陣が描かれている地面に向かって刺した。なんと黒い光はそのナイフへと吸収され、魔術陣は薄くなっていた。
「何これは!?魔力が吸収されたの?術式が消えたわ!」
セレネが混乱する。
「まさか対魔術師用の兵器?過去にはプロトタイプしかないと聞いていたのに!」
「2年前に正式配備されたんだよ。」
そう言いながらナイフの先端をセレネに向ける長門。長門が持つナイフはAM–01「クサナギ」と呼ばれる
対魔術師用の軍用ナイフである。刀身部分は魔力を吸収、分散させる2種類の特殊樹脂で出来ているが刃の部分は金属製であり、実際に殺傷能力がある。
「素直に従ってくれ。そうしないと大変なことになる。」
「下がってくださいお嬢様、月彦様!」
ルナがセレネと月彦の前に飛び出し、地面と垂直に魔術陣を構築する。と同時に長門は拳銃を抜いた。
「危ない!」
月彦が叫び、ルナに駆け寄ろうとする。その瞬間魔術陣から黒い光線が長門に向かって飛び出す。それと同じタイミングで銃声が響き渡る。辺りが土煙に覆われる。
「射っちゃったよ・・・。いいのか?」
刑事が長門に聞く。
「大丈夫ですよ、中身は特殊なゴム弾ですから。ふう、いきなり攻撃魔術を使うとは周りのことも考えたらどうだ。黒森ルナさんよ。」
「なんで、どうして・・・?」
ルナがヘナヘナと地面に座り込む。
ルナが放ったのは光線術式と呼ばれる黒い高エネルギーの光線を放出する魔術である。だが、術式は発動されたものの途中で消滅してしまったのだ。
「なんでかって?このゴム弾が魔力を分散と吸収をしたんだよ。君は急いで魔術を放ったみたいだからそこまで魔力を込められなかった。だからこのゴム弾一発でも君の魔術を防げた。まあゴム弾は途中で魔術に押されて威力を殺されたみたいだが。」
淡々と説明する長門。
「さてと、流石にこれ以上の説明はいらないだろう。投降してくれ。」




