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第26話 勇者の末裔

タイトルを変更させていただきます。


ブクマしてくれている読者の皆さま、いつも読んでくださっている読者の皆さま、いつもありがとうございます。pvは励みになります。

タイトル変わりましたがこれからもよろしくお願いします。

「はい、いいですよ。そんな感じですね」


「……おお、なんとなくわかったぜ……」


「不思議な感覚ですね……」


ジェド本部に施設を借りて一夜を過ごした朝。

俺たちはヤヨイさんのレクチャーで魔力の基礎について学んでいる。

なんでも魔力ってのはそこらへんの自然や誰の身体にも流れているものでこの世界では魔素が濃く訓練次第で大なり小なり誰でもある程度は使えるようになるらしい。


ヤヨイさんの言う通り身体の内にあるエネルギーを感じ取りリラックスし集中する。

すると俺たちの身体の周りが淡い光で覆われ守られているような、そして身体能力が微かに上がったような感覚に包まれた。


慣れない感覚だが俺たちは数日後にあるという魔族のテロに備えて自分の身を守るために訓練を受けていた。

昨日の激しい戦いを見た限りあれ以上の敵が現れるとするなら俺たちは足手まといになるわけにはいかない。


「お見事です。ストレンジャーの方はなかなかその感覚を掴めず習得を断念される方も多いんです。一度でそこまで魔力を操れるのはお二人に魔力の才能がある証拠です」


「そうか。そこまで褒められると照れる」


「でも心配ですね……魔族が襲撃してくるなんて……」


糸井さんは魔力を掌で感じながら不安そうな顔をする。

そんな糸井さんにヤヨイさんはいつもよりも決意が固い表情で目を合わせる。


「大丈夫です。バーゼルさんが対策を練ってくれてますし、あなた達は私が必ず守ります」


ここ数日でわかったことがある。

本当に根が真面目なんだろうな、この子。

そして感情表現が苦手でともすれば愛想悪いように見える。

この子が「勇者の末裔」とかいうやつであることに関係あるのだろうか。


「ヤヨイさん。気になっていることがあるんだが訊いてもいいか?」


「はい、なんなりと」


この子は自分からは何も語らない。

やはりあの誘拐犯たちの残した言葉が気になるので俺は尋ねてみた。


「あの誘拐犯たちが言ってたんだがヤヨイさんは『勇者の末裔』なのか?勇者の末裔ってなんだ?」


ヤヨイさんは表情がわかりにくい。

ただ言い淀み少し考えたような顔をした後再び俺の顔を見つめる。


「……そう、ですね。気になりますよね。本来なら私から切り出すべき話でしたね。申し訳ありません」


「いやかしこまらないでくれよ。答えにくければ別にいいんだ」


俺は手を振って笑顔で返す。

そう、それほど問い詰めるほどのことではない。


ヤヨイさんは黙って首を振ると話を始めた。


「ナツキさんにも関係のあるお話になるかもしれません。『勇者』については昨夜バーゼルさんから説明を受けましたね」


俺たちは頷く。

このユグドラルに魔王が現れ暴れた時に女神に遣わされた討伐者。

今までに2人現れたという。


「この地に降り立った勇者は魔王を倒した後何もなかった山奥の平原を開墾し幾人かの人を集め村を立て、その村は勇者の里と言われるようになりました。ひっそりと奥地に建てたその村は栄えはしませんでしたが勇者の治世の元、穏やかな生活を送っていたといいます。やがて初代勇者は子や孫を遺し亡くなりました。子々孫々と受け継がれたその血脈は2代目勇者との混血も経て今もなお続いています」


ヤヨイさんは少し話を区切り、そして訥々と続ける。


「そしてその直系の1人が私なのです。だから……ナツキさんが無理をして魔王と戦う必要はないのです」














「反勢力の動きはどうだ?」


「近頃はむしろ沈静化してきています。それがかえって不気味ですね……」


「似顔絵の誘拐犯やナツキエイコさんの目撃情報もとんときこえてきません」


「勇者捜索のほうは手詰まり……か」


ジェド本部のある一室ではブライアンとハリー、その他数名の局員がテーブルに差し向かい今後の方針を練っていた。

大きなテーブルには紙の資料が積み上げられている。これまでの捜査データを並べて状況を整理しているところだ。

議題は「勇者と思しきナツキエイコの捜索」と「魔軍のアジトや構成員のあぶり出し」であった。

しかし孤島に連れ去られた瑛子や実行犯たちの足取りは容易に掴めるはずもなく、また魔軍の構成員にしても割り出すことは容易ではなかった。

当初、王権に反する勢力たちに疑いの目を向けていたバーゼルたちだったがこれもそれぞれの主義主張を掲げた小勢力が地方で散発的に小規模なテロを起こしているくらいで、またその数は多く数日後に迫り来るという魔軍の構成員を絞り込むことは出来なかった。


「魔軍と名乗る構成員たちは独自の旗を掲げ自らの教義を広めようとするはずだ。そういった報告もないんだな?」


「はい、少なくともここトバイケルに魔軍の教義を持ち込んだ狂信者の目撃情報などは上がってきていません。国境の関や貿易船のチェックは厳しいですから」


グレイス大陸に魔軍と呼ばれる狂信者の集団が現れ次々と諸国家を魔族の傀儡政権と変えていったのはここ数年のことである。

トバイケル帝国はこの魔軍と呼ばれる集団に危機感を抱き、水際でその侵入を食い止めるために様々な法律を作り海を渡る貿易船の通行も制限してきた。

しかしバーゼルは考える。

宗教というものはウイルスのようなものだ。

どんなにブロックしても完全には防ぎきれないし入ってくるところには入ってくる。

魔軍のリーダーは狡猾で諦めが悪く統率力の高い男だという。

密やかに王都にテロリストを送り込んできていてもおかしくはないのではないだろうか。

サイモンの警告も無視することは出来ない。


ブライアンは考え込んでいた頭を上げ軽く膝を打つと会議を再開する。


「よし、当初の予定通り2つの捜査チームを作り調査開始だ。今日明日中に襲撃があるとすれば事前にテロを防ぐのは難しいだろうから事態に備え防御を固める。王都の警備はジェドの私設チームとトバイケル警備兵の連携が取れるように今から議会と王に働きかけることにしよう。じゃあここの指揮は頼んだぞハリー」


そう言ってバーゼルは椅子から腰をあげる。


「王城へ?」


ハリーの問いにブライアンは軽く笑みを返すと背を向け扉の方へ歩き出す。


「ああ。用事もあるしたまには皇帝ボンクラの顔も見とかねえとな」

また近々エッセイでも書いてタイトル変更の訳や自作品のことや考えたことについて語りたいと思います。


……需要あるかな?

ちょっとでも読んでもらえればいいや

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