7. 障壁
朝六時。
校庭の一角でソーンは剣を、俺は銃を持ち、先生と睨み合う。
何故こんなことをしているかというと、
先日かくかくしかじか先生に特訓してもらえることになったためだ。
「今日はとりあえずお前達の完成系をイメージできるようにしてもらいたい。手っ取り早い話だが私がお前達のスタイルを真似て稽古をする」
「俺達は何をすればいいんです?」
「できる限り私の動きを見て戦ってくれ。理解できなくてもどのぐらい強くなれるか感じてくれればいい」
「「はい!」」
前回は俺達が全力で攻めすぎてカウンターを食らってしまった。
そのため今回は先生の攻撃をできる限りさばき、人数差を利用して隙をつく。というふうに戦おうと事前にソーンと打ち合わせをしていた。
「おっと一ついい忘れていた。お前達、朝はちゃんと食べてきたか?」
「え?えぇ、一応食べてきましたが…」
「俺も食べました」
「何を食べてきたんだ?」
そう言われ俺達が考える。
バァンッッ!!
その時、視界が真っ白になり、凄まじい音が押し寄せてきた。
閃光弾だ。
やられた と思った時にはもう俺の目の前まで先生が迫ってきていた。
「勝敗は単純な力だけで決まるものではない。 衝撃ーー」
先生が俺の額を指で弾く。
衝撃の影響により、後ろに数メートル吹き飛ばされる。
「うっっ」
なんとか地面に立とうとするが、脳震盪によりふらついて尻もちをついてしまった。
「話術でも何でも使って気をそらし、一撃必殺の不意打ちを打てば、格上の相手でも倒せるようになる。お前の場合は銃で攻撃すればいいからこんなに距離を詰めなくてもいいがーー」
「随分と悠長に話しますねッッッ」
ソーンが先生の横から剣を振り下ろす。
が…
先生に届く一歩手前で剣が何もない所でガキンッという音を立てて止められた。
「は???」
否、よく見てみると何もない所ではなく、そこには障壁があった。
ソーンがさっきの威勢と打って変わって間抜けな声を出す。
その隙を狙い先生がソーンに衝撃つきのデコピンをした。
「ぐぁっっ」
「そこまでっ!!」
一応先生が貼っておいた魔力障壁の外側からレレスさんが対戦終了の合図をだした。
―――――――――
対戦終了後、俺達の脳震盪が収まるとレレスさんがサンドウィッチを持ってきてくれ、それを頬張りながら先生が話始めた。
「まぁこのように朝ご飯はレレスが用意してくれるから食べてこなくていいぞ」
俺達も朝ご飯を食べてきたが、少しサンドウィッチをいただく。
「「うまい!!」」
俺達があまりの美味しさにハモりながら感想を叫ぶ。
「ありがとうございます」
レレスさんが少し照れながらも微笑んだ。
「美味しいよな。塩加減が絶妙でクセになるんだよ」
「間違いないですね。朝ご飯食べたのにもう三つ目です」
と言ってソーンが三つ目を頬張る。
お前は毎朝お手伝いさんの美味い飯食わせてもらってんのに何という食い意地か、と思ったが俺も二つ目を軽く平らげていたため何も言わないことにした。
「お前達はそのまま食べてていいが、本題に入るぞ」
気づいたら先生は食べ終わっていた。
本題、俺達の完成形のイメージだったか。
「まずキース。さっきも言った通り、勝敗は単純な力だけで決まるものではない。航海団と海賊の戦闘では一対一で戦うことなどまずない。そこで閃光弾などの場を掻き乱せる範囲攻撃はとても強い。なのでそういう魔術は積極的に練習し、早く、また威力を上げて出せるようにしろ。あとはソーンのような生身での強さだな」
「次にソーン。お前は剣技だけで言ったらもう十分な力がある。しかしそれは剣技だけの話だ。突きが得意なお前は重心を体のできるだけ前の方に置く。それは威力も速さも上がる。が、防御された時の隙が大きすぎる。別に重心の位置が悪いと言いたいわけではない。だが、強い相手になると初撃の突きを防がれても不思議ではない。なので、その隙を埋められる術を身につけることだな」
ふぅ、と先生が息をつく。
「色々改善点は言ったがまずお前達はそれよりも先に極めてもらわなければいけない魔術がある。それがないと魔獣との戦いではスタートラインにすら立てない。なんだかわかるか?」
なんだ?
魔獣との戦い?
確かに海の魔獣は陸より遥かに大きく、中型の魔獣だとかはウヨウヨいるらしいが…
「火力が高く、殲滅力のある上級魔術ですか?」
「間違ってはいない。だが、上級魔術を使えるほどの魔力量はあるのか?」
「う…うてても一発ですね…」
上級魔術はうてる。うてるだけで、うったら体がほぼ動かなくなり、ぶっ倒れる。
魔力量自体は努力で多少増えるが、効率がいいとはいえない。ならその魔術をうつために必要な魔力量を頑張って減らすほうがいい。
しかし上級となるといくら魔力効率を上げても頑張って二発だろう。
「一発上級をうっても倒れないようにはいずれしてもらいたいが、まずは何と言っても障壁だ」
「障壁?なぜです?」
「魔獣と戦うのはどこだという話と、単純に使い勝手が非常にいいからだ」
「戦う場所?船の上ですか?」
「障壁が使えない人間はな」
どういうことだ?
さっきから先生の意図が全くわからない。
「単純な話、障壁を使えば人は空を歩くことができる」
そう言って先生がおもむろに立ち上がる。
そして飛び跳ねたかと思ったら、
先生が空中に立っていた。
脱力鍋です。
強化期の始まりがラッキーセブン。
縁起が良くて嬉しいです。
予定が詰まっており、更新が遅れてしまって申し訳ございません。
十月は四日か五日ぐらいのペースで更新にになりそうです。
これからもよろしくお願いします。




