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水平線のソテリア  作者: 脱力鍋
青年編 前期
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2/16

1.ヴァンス・キースという青年


「隣街でまた魔獣が出たらしいからヴァンも気をつけて行ってきてね」

「はぁ〜い」


母の忠告も気抜けたような返事で流す少年。

ヴァンス・キース。

これはそんな少年の物語。


―――――――――


俺の家族は父、母、俺の3人だ。

父は分け合って今は一緒に住んではいない。

とても裕福とは言えない家庭だが一応の所は王都の端っこに住んで学校にも行かせてもらえている。

母は元々働いていたが半年ほど前に病気にかかってしまい、現在はだいぶ良くなったがまだ治りきっていない。

そのため俺はは学校に行く前に新聞配達をする。


「いってきまーす」


朝早くから見送ってくれた母にわざわざいいのにと思い新聞を受け取りに行き配達をする。

盗み見たということではないが新聞の見出しには魔獣出現の被害と原因について書かれていた。


俺自身、仕事の時に新聞を見ているので世間のことについては無知ではない。

そのため魔獣の事についてもある程度は知っている。


確実かどうかは怪しいが「水平線のソテリア」によると世界はあと50年程で滅んでしまうらしく長年信じられてこなかった。

50年というのは300年後に世界が滅ぶと250年前に言われたからである。

そしてここ最近になって魔獣という普通より多くの魔力に当てられて突然変異した動物が昔より多く生まれているため、世界が滅ぶ前兆なのではないかと言われている。


「魔獣かぁ。母さんは危ないというと思うけど一度見てみたいんだよなぁ」


魔獣というのは先も言った通り普通の個体よりも多くの魔力に当てられ突然変異した動物のことを指す。

しかしそれ以外は普通の動物とあまり変わりはないためこちらが手を出さない限り攻撃してこないし、攻撃してきたとしても兎程の魔獣なら低級の魔術や少し力強い体当たりぐらいで済むらしいため小型ならそこまで危なくはないと言われている。


そんなことを考えながら新聞配達をする。


「おはようキース」

「キース、いつもご苦労さん。ありがとね」


と最後の方の配達になると日も登ってきて声をかけてくれる人もいる。

実際まんざらでもない気持ちになるため挨拶を返したりする。


外ではヴァンスではなくキースと呼ばれることの方が多い。

言いやすいのだろう。


新聞配達が終わったらいよいよ学校だ。

俺は学校は好きでも嫌いでもないが友達と会えるのは嬉しいため行くのに抵抗はない。

それに親にお金を払ってもらっているため口が裂けても行きたくないとは言えないのだが。


「よっキース。おはよーさん」


こいつはソーンシス・ランドリ。

数少ない親友(?)だ。


「おはようソーン。よく眠れたか?」

「カレーの夢を見たんだがなぜかめっちゃ気分が悪い朝だった。」

「お前カレー好きなのに?」

「うん。なんでかね」


一通り話し終えてから校門をくぐる。

これが俺の朝のルーティーンだ。

くだらなすぎてこんなんでいいのかとたまに思うがそれは置いておく。


この学校はヒリクス王立学校。

王立とあるがそんな国の最高峰の学校ではなく普通より少し大きな学校だ。


学校では主に学術、武術、魔術の三つを学ぶ。そして6学年制。

俺とソーンは5年生であるため15歳だ。


教室に入り、席につく。

ゴーンという重めの鐘がなった。


学校の始まりだ。


先ほど学校に行くのには抵抗がないと言ったが、授業は大抵あまり面白くない。

だが好きな教科もある。

歴史だ。

なぜなら授業でソテリアについて学べるからだ。

男子なら一度は憧れるソテリアという島。


その島を見つければ大勢の人を救える英雄になれる。

賢者ルシウスが作った救いの島を見てみたい。

賢者ルシウスという存在ならまだ生きていているのかもしれない。

そうすれば不老不死が叶うかもしれない。


など色々な願望や欲望が込められている。

ヴァンスも例外ではなくソテリアに行ってみたいと思っている。


そのため今の目標は国の航海団に所属することだ。

航海団というのはソテリアを目指して海を渡っている集団だ。

昔はあまりソテリアの伝説は信じられておらず航海団というのはただの一般市民の欲望を叶えてあげるという国の政治的戦略の一つとぐらいでしかなかったが、魔獣などの発生により伝説の信憑性が高まり今本腰を入れている。


国の航海団は、一般市民の期待や、国のことなどを背負っているためとても設備や雇用条件などがいい。

その分なるのは大変だが、親にも楽な暮らしをさせてあげられるし自分のやりたいこともできるため、面白くなく、苦手な教科でも平均以上でこなせるようにしている。

ソーンは算術が苦手で半ば諦めているように見えるのは気のせいだろう。

一応はあいつも俺と同じく航海団に入りたいと思っているのだ。


そうこう色々頑張っているうちに学校は終わる。

そうなったら家に帰って勉強するかソーンと街中で遊ぶかの二択になる。

大抵は後者で今もソーンと街中をうろついている。


「なぁ、世界でう○こと同じ色のカレーかカレー同じ色のう○こ、消すとしたらどっち選ぶ?」

「カレーと同じ色のう○こに必要性感じないからカレーと同じ色のう○こだな」


まじかよお前という目でソーンが見てくるが屋台の前でこんな会話をふっかけてきたソーンにまじかよお前という視線を向ける。


「カレーと同じ色のう○こっていうのはう○こじゃん。う○こ消したらお前死ぬんだぞ?まじかよ」


という致命的なミスを指摘され落ち込んでいた時、とある知らせが聞こえた。


「おーーい。第11、12航海団が帰ってきたぞ!!」




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