10.ゼル回想① 帰港と出航
ゼル・エリアスは椅子に腰掛けコーヒーを飲む。
書類の整理がひと段落つき、ほっと息をつく。
カーテンを開けると太陽が昇り始めている。
早朝、ゼルもネルネスと同じく十一年前の出来事を思い出していた。
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今日の分のお金を集めおわり、一度休憩してからもう少し稼ごうとした時、港の方に行っていたネルネスが急いで帰ってくる。
「ゼル!第七航海団が港に着いたって!!」
「え!?ほんとか!?」
そう言って俺とネルネスは急いで港に向う。
港に着くと人だかりができて、その中から背伸びをして海の方を見てみると白旗を掲げた中型の船が見えた。
船の後ろには大きな魔獣の体の一部が二つ括り付けられていた。
「凄いぞ!今回は二体も倒してる!」
「これで三体目だな」
甲板には十一人の船員が立っており、
そのうちの二人が大きな魔石を掲げている。
大型魔獣の魔石だ。
航海団などの船には魔石が取り付けられており、
風がない時など魔石の魔力を分解して動力源としているらしい。
そうこうしている間に港に船が着く。
船員が船から降りてきた途端俺たちは駆け寄った。
「グラジスタ!今回はどうだったんだ!?」
「ん?ゼルとネルじゃねぇか!久しぶりだな!色々話したいことはあるが今は忙しくてな、また後で行くから待ってろ」
「約束な!」
「おう!」
そう言って第七航海団の船長ノマド・グラジスタに声をかける。
―――第七航海団―――
それは現在の歴史上最強の航海団と言われている。
船長ノマド・グラジスタを筆頭とする航海団で、
船員十一名に対し魔人が六名もいる極めて特殊な少数精鋭の航海団。
最強と謳われる理由は数多くあるが、ヒリクス王国周辺の海賊、
奴隷商の本拠地を壊滅させ、現在討伐された大型魔獣五体のうち三体を撃破したのが大きい。
個人の戦闘能力も極めて高く、
船長のグラジスタは、あまりの強さから不死身と呼ばれていた。
民間の航海団から国の航海団になることを認められた。
そして未だ民間から国の航海団になった例は第七航海団しか存在しない。
――――――
船からは魔石と余った資材などが運び出される。
その中には小さな子供達もいた。
「また奴隷商の残党を潰してきたのか?!」
「嘘だろ…」
などという声を周りの人があげる。
今回の航海は少数精鋭の航海団にしては期間が短かった。
おそらく大型魔獣二体を相手にし、一度戻ろうとした時に奴隷商や海賊の残党を潰してきたのだろう。
このことを皆に伝えなくてはと思い俺達は貧民街に戻る。
貧民街に戻るとやはり噂は流れており皆お祭り気分だった。
その理由は第七航海団は航海で集めた魔石を売り、貧困層の人間にご飯やお金などを分けてくれるのだ。
そのため俺達もよく目をかけてもらっているという訳だ。
奴隷商から引き取った子ども達を育てる孤児院も経営しているのに来てくれるのはとてもありがたい。
なので俺達もそれ相応の対価ではないが仕事をするようにしている。
貧民街の人間の中には鍛冶屋を営んでいる人や、装飾品の加工などをできる人達を中心に第七航海団の整備をする。
子供は荷物を運んだりなどしかできないが、皆頑張って働く。
そうこうしているうちに夕方になった。
酒場では第七航海団の人達が持ってきてくれた食料などを食べながら宴をする。
宴と言っても豪華なものはないが、
普段あまり食べられない俺たちからすると十分豪華である。
中には船員を胴上げする者や、
腕相撲大会を開く者、
今回の航海の話を聞く者など各々がこの宴を満喫していた。
そんな中俺たちは食料をこれでもかと胃袋に入れながらグラジスタの話を聞いていた。
「それで海面に出てきた魔獣をジオンが魔術ぶっ放して倒しちまったんだよ。俺何もやってなくてつまんね〜って言ったらもう一体魔獣が襲ってきてあん時は流石に焦ったよな、ジオン」
「あぁ。しかもそいつ海面飛べるタイプだったから倒すのに苦労したよ。次からは本当にやめてほしいわ」
「でも面白かったよな〜」
そう言いながらグラジスタが豪快に笑う。
海面と飛ぶ魔獣というのにはとても興味があるが、
大型魔獣ともなるとどんな強さになるのか想像もできない。
そんなのを相手にして笑い話にできるのはこの人達しかいないだろう。
その強さに憧れる。
そうして夜が更けていく。
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一週間が経った。
基本的に第七航海団はせっかちなのか陸にはあまりいなく、
帰ってきてもすぐまた海に出ていってしまう。
そのため今回も明日には海に出ていってしまうらしい。
一週間の間に稽古をつけてもらったり話を聞かせてもらったりなどたくさんのことをしてもらったが、
正直一週間は短すぎる。
もう少し一緒にいたい。
と、そのような気持ちが大きな過ちを犯す。
出航前夜、第七航海団の船の倉庫に忍び込んだ。
どうも脱力鍋デス。
予定としては次話で回想を終わらせる予定です。
会話が雑なところがありますが温かい目で見てもらえると助かります。




