マルの成長
マルの朝は、いつも目覚ましが鳴ると全力で真悠を起こす事に専念していた。
これは、人間になる前からだが、マルが人間になってからのほうが、真悠はすぐに起きてくれる。
「まーゆぅー、お腹すいたぁぁぁ、死にそう起きてぇぇぇ」
「はぃいぃぃぃ、起きます!!起きます!!」
マルが、真悠の顔に頬ずりしながら布団の上からギュッとすると、真悠は飛び起きながら返事をして起きるのが最近の日常。
「真悠、なんか顔赤くない?どしたの?」
マルが、真悠の顔を下から覗き込みながら両手をほっぺに当てる。
「べっ、別に赤くない!!ちょっと天気が良いから暑いだけだよ」
マルってば、人間になったら美少年すぎて、なんか自分がいけないことしてるような気になってくるよ
マルは真悠にギュッと抱きつくと、胸に顔を埋めると、お腹から凄まじい音が……
「真悠、まぢ……お腹へったょぉ」
そんなマルの強烈なお腹の音を聞き、真悠は大笑いをしながらマルをもっと虐めたい衝動に駆られる。
「マ……マル、また睡魔が……」
またお布団に入ろうとする真悠を、涙目でマルは見つめ、目で講義。
そんな可愛い顔に、真悠は耐えられず布団から出ながらマルのふわふわな頭をポンポンと撫でると、マルは嬉しそうに目を細めた。
マルとの生活も3ヶ月が経ったある日曜日。
真悠は、キッチンの一番上の棚にある物を取ろうと手を伸ばしていた。
「あと、ちょっとぉ〜」
真悠は小さいので、台に乗ってもギリギリ届くか届かないかだったため、足元がふらついて後ろに転びそうになる。
「きゃ」
「真悠!!危ないっ!!」
マルが、真悠の後ろに回り込み真悠を抱きとめた。
マルの息が耳元にかかった。
「あ、ありがと、マル」
「真悠、今度からは俺に言ってよ、俺が取るから」
「ちびっ子のマルが〜?」
あれ……?そういえば、マル、私より背が高くなってる。
手も肩もなんかゴツゴツしてるし……
「うるせ……俺だってちゃんと成長してる」
マルは、いつだったか真悠が好きな俳優が出ているテレビドラマを一緒に見てからというもの、一人称が、僕から俺に、言葉遣いも俺様な感じに変わっていた。
マルは、真悠が気づかない間に美少年から、美男子へと変わっていたのだ。
「真悠?大丈夫か?顔赤いぞ、ぶつけたか?」
やだ……ウソ
マルにホッペを両手で触られ、一気に胸がドキドキして、更に顔が赤くなっていく。
マルの手を振りほどき、部屋へ一目散に駆け込む。
ウソ、私……なんで?!マルにときめいてる?
「真悠?大丈夫か?」
急に走り去った真悠を、廊下でマルが心配そうにしているが、こんな顔では出られない。
「うん、大丈夫。
ちょっと、あの……暑くなったから着替えようと思って」
「そっか、じゃあこっち片付けておくな」
「うん……」
マルがキッチンへ行った様子を感じ取り、真悠はズルズルとその場に座り込む。
どうしよう……




