多くの商品はお客様の為にあります 第十二話
俺は、彼女の奈津子と初詣に来ていた。
「うわっ、こんなに人がいる」
参拝客の列を見て俺は驚いてしまった。
その列は、20メートルくらい。
「まぁ、こんなもんだよな」
「やまと、何か、温かいもの買ってこようか」
奈津子が屋台で何かを買ってくるようだ。
「うぅ、寒い」
俺は肩をすくませながら、
「それにしても何を買ってきてくれるのだろうか?
温かいものがいいな。
焼きそば、たこ焼き……
これで、チョコレートバナナは嫌だな。女の子らしいけど。
「やまと、お待たせ。
はい」
「……」
俺は甘酒を渡られたが奈津子の手にもつものを見て驚いてしまった。
「どうしたの、やまと?」
「いや、あのな……」
「何か、文句あるの?」
「いや、奈津子な。
甘酒はとても身が温まる。
心まで温まるよ。
だけどな……」
「言いたいことあるなら、はっきり言ってよ」
「イカ焼きはちょっと。
それも、自分の分だけじゃないか?」
「おいしいわよ、イカ焼き!!」
「女の子が、食べるにはちょっと渋すぎるし……
それ、串タイプだし、俺の分はないの」
「何よ、イカ焼きのどこが悪いの!?」
「それも、お前、甘酒」
「最高の組み合わせじゃない」
確かに、俺の彼女はお酒が好きだ。
20歳になった瞬間にいきなりお酒を飲み始め、
既に酒豪のレベルにまできている。
先行きが不安だ。
そんなやり取りをしていると、俺たちは賽銭箱の
目の前まで来ていた。
奈津子は、左手にイカ焼き、右手に甘酒、財布を取り出せないでいた。
「ほれ、俺が持っててやるから……」
「やけに長かったな。
何願ってたんだ?」
俺は聞いてみた。
「うん……」
彼女は、階段を降りていった。
そして振り向きざま言った。
「大和と来年もここにこれますようにって」
「……」
俺も階段をおり、彼女のもとにたつ。
「そんな短くなかったぞ!!
まぁ、いいや」
「大和こそ何願ったのよ?」
「お、俺のはどうでもいいじゃん!!」
「何、ずるいわよ」
彼女が俺に寄りかかってくる。
完全にバカップルである。
俺の願い、それは……
「来年も、奈津子とここにこれますように」
思い出して思わずふきだしてしまった。




