第7話:牙の試し
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家族を失い、旅を始めて数ヶ月。
アレスとルナは、王都へと続く街道の途中にあるリハルト村に立ち寄っていた。泥に汚れたブーツと、腰に差した安物の鉄剣。それが今の彼らの姿だ。
突如、広場から悲鳴が上がる。黒い装束を纏った男たちが家々に火を放っていた。
「ひゃはは! 逃げ惑え! この村は『ワールドエンド』の浄化の糧となるのだ!」
その言葉を聞いた瞬間、アレスの瞳に凍てつくような殺意が宿った。
「ルナ、下がっていろ。……すぐに終わらせる」
アレスは音もなく、死神のような足取りで広場へと足を踏み出した。
「おい、ガキ。死にた……」
兵士が槍を突き出すより早く、アレスは最小限の動きで懐に潜り込み、腰の鉄剣を一閃させた。
ザシュッ!!
無駄のない一撃。兵士は叫ぶ暇もなく喉元を裂かれ、崩れ落ちた。
「なっ……!? てめぇ、何者だ!」
十人ほどの兵士が初歩的な火球を放つ。アレスは冷ややかに指先を向けた。
「……炎は、こうやって扱うんだ」
アレスの指先から放たれたのは、針のように細く、白く輝く極小の炎。それは兵士たちの火球を真っ向から貫き、さらに背後の兵士の肩を正確に射抜いた。その炎には熱がなく、ただ対象を「無」へと削り取るような異質さが混じっていた。
わずか数分で、部隊は壊滅した。
アレスは最後の一人の喉元に剣を突きつけ、冷徹に問うた。
「ルシフェルはどこだ」
「ひ、ひぃ……っ! 幹部様のことなんて知らねぇ! だ、だが……王都の『影』に協力者がいるって……あぐっ!」
情報を吐き終えた兵士を無造作に処理し、アレスは剣の血を払う。
「……お兄ちゃん!」
駆け寄ったルナが、アレスの腕に強く抱きついた。返り血を浴びた兄の姿に、彼女は恐怖どころか恍惚とした表情を浮かべている。
「すごかった……本当にお兄ちゃんは、誰よりも強いよ。私、お兄ちゃんのためにもっと強くなる。お兄ちゃんの邪魔をするものは、私が全部消してあげるからね」
(王都の『影』か……潜むには、ちょうどいい場所だ)
アレスは遠い空――魔法学園アストラリアがある王都を見据えた。
「行こう、ルナ。王都へ向かう」
復讐の牙を研ぎ澄ませた少年と、兄を狂信する少女。
二人は救った村を後にし、運命の地・王都へと足を進めた。




