第25話:不屈の連鎖
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「ガハッ……!!」
立ち上がろうとしたアレスの腹部を、レヴィアの無慈悲な蹴りが貫いた。
ただでさえ地獄の炎の代償でボロボロだったアレスの体は、木の葉のように吹き飛び、食堂の壁へと深くめり込んだ。瓦礫が崩れ落ち、アレスの体は半ば埋もれる。
指先一つ動かない。その瞳からは完全に光が消え、呼吸すらも弱々しく、アレスは「完全な不能状態」へと陥った。
「お兄ちゃん……! お兄ちゃん、嫌あああぁぁぁ!!」
ルナが絶叫し、瓦礫の山へと取り縋る。アレスの体は冷たく、回復魔法を注ぎ込んでも反応はない。
「あはは! 期待外れだなぁ。もっと楽しませてくれると思ったのに」
レヴィア(エンヴィー)が、倒れたアレスを仕留めようと、漆黒の雷を右手に凝縮させる。その矛先が、動けぬ二人へ放たれようとした――その時。
「……そこまでよ、レヴィア!!」
鋭い叫びと共に、複数の魔法陣がエンヴィーの足元で展開された。リーネだ。
「あなたのコピー能力は、対象の魔力波長をなぞることで成立している。なら、私の『干渉魔法』でその波形を乱せば、出力は落ちるはずよ!」
「リーネ……? あはは、学級委員長様が僕を分析しちゃった?」
エンヴィーが鼻で笑うが、横からリヴァインの鋭い氷剣が襲いかかる。
「僕たちは、彼に守られているだけのゴミではないと言ったはずだ。……リヴァイン・アクレイドの名に懸けて、ここで貴様を討つ!」
「あはは! 討てるもんなら討ってみなよ!」
エンヴィーが雷を放つ。だが、その雷をグラウスが巨大な岩壁で受け止めた。
「レヴィア……お前と過ごした時間は嘘だったのか!? 飯を食って、笑い合ったあの日々も、全部コピーだったのかよ!」
グラウスの叫びは、戦いでありながら、友への悲痛な説得でもあった。
「うるさい、うるさいなぁ! グラウス、君みたいな単純な奴には分からないよ!」
エンヴィーの顔が歪む。サキが放つ無数の風の矢が死角を突き、ノエルが影からその足を拘束する。
「……あなたは、私たちの心をコピーできていない」
ノエルの冷徹な指摘に、エンヴィーの余裕が目に見えて削がれていく。
さらにカイル、ミナ、ジャックの三人が、アレスを囲むように盾を構え、火炎を放ち、光の障壁を維持し続けた。
「アレス、聞こえてる!? あんたが言ったろ、俺たちの魔法は『おままごと』だって! だったら、そのおままごとで、あんたを死なせないようにしてやるよ!!」
カイルが涙を流しながら叫び、かつてないほどの熱量の炎を放つ。
一人ひとりはアレスの足元にも及ばない。だが、彼らがアレスを救うために紡ぎ出した「不規則な連携(鎖)」は、エンヴィーが予測し、コピーしきれる範囲を遥かに超えていた。
「戻ってきて、レヴィア……っ! 今ならまだ、やり直せるはずよ!」
ミナが必死に手を差し伸べるが、エンヴィーはそれを雷撃で撥ね退けた。
「やり直せるわけないだろ! 僕は嫉妬だ! 持たざる者なんだよ!!」
瓦礫の中で、ルナの腕に抱かれ、完全に意識を失ったままのアレス。
かつて彼が「ゴミ」と切り捨て、見下していたはずの仲間たちが。
今度はボロボロになりながら、アレスという「希望」を繋ぎ止めるために、最強の幹部を相手に泥臭く、不屈の戦いを繰り広げていく。




