第18話:終焉の円卓
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第18話:終焉の円卓
王都アストラリアの地下深く。歴史の闇に葬られた巨大な空洞に、世界の理を否定する組織――『ワールドエンド』の幹部たちが集っていた。
漆黒の円卓を囲むのは、異質な圧を放つ五人の影。
「……退屈ね。ルシフェルはいつまで我らを待たせるつもりかしら」
赤いドレスを纏った美女、アスモデウス・ラストが退屈そうに爪を眺める。
「いいじゃねぇか。あいつのことだ、どこかで面白い『玩具』でも見つけたんだろ」
巨漢のベルフェゴール・スロウスが、岩を砕くような重苦しい声で笑った。
そこへ、背後の大扉が重々しく開き、幹部筆頭のルシフェル・プライドが現れた。三年前、アレスの両親を惨殺した時の冷酷な微笑をそのままに、傲慢な足取りで玉座の前へと進み出る。
『……ルシフェルよ。例の“計画”は、滞りなく進んでいるか』
最奥の闇から響く、組織の首領、ボス・ゼノスの重厚な声。ルシフェルは恭しく頭を垂れた。
「はっ。王都の各所に“楔”を打ち込み、魔力の供給源を確保しております。……まもなく、この不浄な世界をリセットするための土台が完成いたしましょう」
「ふふ、楽しみだわ。魔法学園の連中が、自分たちの信じる理が崩れる瞬間にどんな顔をするのかしら」
淑女サタン・ラスが扇子で口元を隠し、冷ややかに笑う。
「アクレイド家の嫡男のような、無駄に長い歴史を誇る武門の血筋が絶望に染まる姿は、最高のご馳走でしょうね。……もちろん、知識だけは一人前のクロムウェル(リーネ)の小娘も、その一人よ」
『……よかろう。世界の再構築には、莫大な魔力が必要だ。学園は、新世界を産み落とすための最高の“苗床”……。そこに集う有象無象の若芽(生徒)どもを、一滴残らず絞り尽くせ』
「御意に。……我らが理想の世界のため、価値なき命を捧げさせましょう」
ルシフェルは淡々と答えた。彼にとって、学園に集まる生徒たちは一様に「利用価値のある資源」に過ぎない。
ふと、彼の脳裏に三年前、炎に包まれた屋敷で出会った幼い兄弟の顔がよぎる。
(……そういえば、あの時逃がしたガキはどうなったか。……ふん、案ずるまでもない。路傍の石を数える趣味はないからな)
彼らが嘲笑う「有象無象」の中に、自分への復讐に燃える「死神」が混ざっていることなど、ルシフェルは微塵も想像していなかった。
ボスの宣言に合わせ、幹部たちが一様に不気味な笑みを浮かべながら深々と頭を垂れる。
王都の地下で膨れ上がる巨大な悪意。
その牙が、平和を取り戻しつつあったアレスたちの日常を、音もなく侵食し始めていた。




