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468話 「春の灯台荘は、ますます止まらない」
468話 「春の灯台荘は、ますます止まらない」
詩織さんから返事が来た。
「雪女の起源、素晴らしいです! 本のクライマックスに使わせてください。
出版記念イベントを灯台荘でやりましょう!」 凛は微笑みながら、手紙を胸に当てた。
春の風が庭の桜の蕾を揺らし、フサエさんが新しい花の種を蒔いている。
凛は灯台の頂上で、静かに詩を詠んだ。
起源の灯
雪乃の涙は 今も海に溶けて
清吉の足音は 風に乗り
私はその物語を 胸に抱き
春の扉を 大きく開ける 灯台荘よ
あなたは止まらない
冬の雪女の灯火は
春の桜の下でも
夏の祭りの夜でも
秋の収穫の頃でも
誰かの帰りを 優しく照らし続ける 私がこの世界に 愛を感じる限り




