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465話 「春灯、そして新しい始まり」
465話 「春灯、そして新しい始まり」
春分の日、灯台荘の周りに桜の蕾が膨らみ始めた。
詩織は一週間滞在した後、都会へ戻る準備を整えた。
「また来ます。完成した本を、凛さんに真っ先に届けますね」 湊も大学に戻る日が近づいていた。
玄関で、湊は凛の手をそっと握った。
「冬の間、ありがとう。春からも、俺の光はここに向かってる」 凛は微笑み、軽く手を振りかえした。
「いつでも帰っておいで。灯台は、止まらないから」 その夜、凛は一人で灯台の頂上に立ち、春の柔らかな風を受けながら詩を詠んだ。
春灯
冬の雪は 溶け
春の風は すべてを呼び覚ます
私はもう 孤独な守り人じゃない
人を招き 光を増やし
四季とともに 回り続ける 灯台荘よ
あなたは止まらない
春の桜が咲く頃も
夏の祭りが来る頃も
私が愛を感じる限り
誰かの帰りを 優しく 照らし続ける 回転灯の光が、桜色の空に溶け込むように水平線まで伸びていった。
凛は両手を広げ、深く息を吸った。 「これからも……ずっと」




