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駆け出し冒険者の俺は裏レベル100  作者: 可じゃん
第六章 迷宮編
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試練

第七十八話

 下層に来てまず変わったのは敵対生物だ。

中層はゴーレムが守っていたが、下層は魔物たちの巣窟となっていた。


「うおおおおおぉぉ!!!!あ、あれはFランクの魔物、『ダークウルフ』じゃないか!!」


ぞくぞくと現れる『ダークウルフ』たち。

こいつらは単体なら大したことはないが、群れると脅威になるのである。

しかし、それもゴールドランクの冒険者までだ。


「どけどけー!!!」


スキル<<魔波>>で『ダークウルフ』を蹴散らしながらさらに奥へと進んでいく。

進むにつれて様々な魔物が出てきたが、どれも同じように処理したのだった。


「お、あれ階段とちゃうか?」


コラゴンが小さな爪で奥の方を指さす。

そこにはさらに下層へと続く階段があった。

階段を下ると、明らかに見た目が一新していた。

てっきり下層に行くにつれて古びた造りになるのかと思っていたが、そうではないらしい。

というのも、ここは妙にメカメカしいというか、やけに近未来的な内装をしていた。


「ここが最深部....なのか?」


最深部は大きな一つの空間だった。

天井までの高さは十メートルほどだろうか。

縦横の長さはとにかく広いとだけ言っておこう。


「あれ見て!」


フリエナが中心にある柱を指さす。

一見なんの変哲もない柱に見えるが、近づいてみると何やら文字が書かれていた。


「こ、これは共通語じゃないな....。」


「多分はるか昔に使われていた言語、古代魔語ね。現代で読める人なんてほとんどいないわ。」


フリエナが解説する。

どうやらこの謎の形状をした文字は古代魔語と呼ばれるらしい。

まあ、『迷宮』自体がものすごく古い構造物、というか『神獣』なわけだから、古代魔語なんていう古の文字が刻まれていても、なんらおかしくない。


「試練を求めし者、手を差し伸べよ。」


「え?」


ユキマルの変な発言に困惑するフリエナ。

ユキマルが変なのはいつものことなのだが、今回は一つの仮説があった。


「もしかして...」


古代魔語の文字を見るフリエナ。


「ああ、そう書いてある。なんか知らないけど、俺には読める。」


「はあ....?!」


「ど、どういうことだ?!」


まさかの事実に驚愕するフリエナとナナーリッヒ。

とくにナナーリッヒにとっては今日一日中ユキマルに驚かされてばっかで、もう驚くことはないだろうと思た矢先のことである。


ちなみに、俺が古代魔語を読めた理由はいたってシンプルだ。

それは『ブルーボード』に記載されてる文字と同じだからである。

俺がこの世界に召喚される直前、急に読めるようになったアレだ。

そんなわけで、手間取ることなく解読に成功したのであった。


「まあいいわ。ユキマルに驚かされるのは今に始まったことじゃないし。それより、この文章の意味よ。」


試練を求めし者、手を差し伸べよ。


「シンプルに柱に向かって手を伸ばすだけじゃないか?」


「ユキマルはバカね!そんな簡単な話なわけないでしょ!」


やれやれ全く、と呆れるフリエナ。

どうやら彼女はこの文に深い意味があると考えてるらしい。


そんなフリエナを放って柱に手を伸ばす。

すると柱は変形し、ちょうど腕が通りそうな穴が形成された。


「ほらな。」


自慢げに言うユキマル。

それにむかつくフリエナなのだった。


「ま、まて!そんな簡単にその穴に手を入れても大丈夫なのか?ぼ、僕様はやらないぞ!」


確かにそうだ。

これが『迷宮』の罠である可能性は否定できない。

.....でもいつだって人類は好奇心には逆らえないのだ。

俺はためらうことなく穴に手を突っ込んだ。


「......」


「どうしたのよ?ユキマル。」


突っ立ったまま動かなくなったユキマルを不思議に思い、肩を揺らしてみる。

しかし反応がない。


「気絶....?とはまた違うわね。まるで意識だけが別の場所に行ったかのような....。」


冷静に状況を把握するフリエナ。

何かが起こることはわかっていた。

だから、実際に起こったその”何か”を分析しているのだ。


「だ、だから言っただろう!!僕様はやめとくべきだって言ったぞ!!!」


慌てふためくナナーリッヒ。

そんなナナーリッヒをおいて、自分も手を突っ込むフリエナ。


「き、君まで何をしてるんだ!」


「ユキマルの状態を知るには私も試してみるべきだわ!あんたとコラゴンはここで私たちを見てて!」


「任せとき!」


「はぁ.....!?」


急な指示に戸惑うも、従う以外選択肢はない様子。

そして次の瞬間、フリエナもユキマル同様電源がプツンと切れたかのように意識が飛んでいったのだった。


・・・・・

・・・


こ、ここは.....!


辺りを見わたして自分の居場所に気づくフリエナ。


でも、そんなはずは....。

さっきまで『迷宮』にいたはず。


ここは『迷宮』の中ではない。

この場所には見覚えがある。

フリエナがよく覚えており、二度と戻りたくないと思っていた場所だ。

今のフリエナの核ともいえる場所。

........


「フリエナか?」


振り向くとそこにはユキマルの姿があった。


「ユキマルもここに来てたのね。」


どうやら同じ場所に飛ばされた様子。

狭く、暗く、じめじめとした薄汚い通路が続いている。

前方には暗闇の中で点けられた一本のマッチのようなかがり火が何本か置いてある。

それが唯一の光源だ。


「なあ、ここはどこなんだ?」


ユキマルが聞く。


「時期にわかるわ。真っすぐ進めばね。」


フリエナはそう言うと狭い通路を進みだした。


「.....!」


何かに気づくユキマル。

通路の先には小部屋がいくつかあった。


「なるほどな。」


たくさんの人が横たわっている。

恐らく生きてはいる。

しかし、生きていると言うよりは、死んでいない、という表現が正しい。

目を引いたのはボロボロな一人の少女だ。

エルフの少女──


「またここに戻ってくるなんてね。」


ぼそりと呟くフリエナ。


ここは『西方奴隷商(スカーナル)』のアジト。

フリエナが囚われていた場所だった。

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