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駆け出し冒険者の俺は裏レベル100  作者: 可じゃん
第六章 迷宮編
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ラビリンス

第七十五話

 フリエナの決断によってパーティー全員とトイガで『迷宮』に挑戦することになったユキマルたち。

しかし、いざ『迷宮』に足を踏み入れてみると、スタート地点がばらけてしまった。

ユキマル、フリエナ、コラゴンの二人と一匹は奇跡的に同じ場所にいるものの、ソルナとルフテ、トイガの行方は分からずじまいなのだった。


「なるほど。あの門の先にある光に触れたら、『迷宮』のどこかに転移する仕組みだったのか。」


「っぽいな。運よく俺っちたちは一緒の場所に飛ばされたらしいで!」


コラゴンが言う。


「なら最優先は、他の三人との合流だな。」


「そうね。」


ただでさえ危険な場所なのだ。

できるだけ全員まとまって行動したい。

ひとまずソルナたちの位置を探るために『スキル』<<レーダー>>を使う。


......

これは厄介だな。


<<レーダー>>を使ったはいいものの、ソルナたちの位置を捕捉するのは困難を極めた。

その理由は『迷宮』自体にあった。

まず最初に、『迷宮』には探知系の『スキル』を妨害する効果が備わっていた。

まあこの程度は予想の範囲だったのだが、問題は『迷宮』が常に構造を変化させている点である。

ソルナの位置を掴んだかと思った次の瞬間にわからなくなるのだ。


「だめだ。『迷宮』内じゃみんなの位置を把握するのが難しい。何か合流方法を探さないと。」


「合流方法っつたって、俺っちたちも現在地がわかってへんのやで。」


さっと周りを見渡す。

見当たるのは一面の壁。

古い石造りの壁だ。

よくあるRPGゲームとかのダンジョンを思浮かべてみてほしい。

まさにそんな感じの薄暗い空間が延々と続いている。


「って、ユキマル!リュックの中が光ってるわよ!」


急に声を上げるフリエナ。

フリエナに言われた通りリュックを見てみると、確かに内側から光り輝いていた。


あれ?この光、前にも.....。


あれはそう、『オリアマ』様とやらを訪ねた時だ。

その時もリュックにしまってあった『神獣図鑑』が光りだして──


「って、懐かしの『神獣図鑑』じゃねぇか!!」


今光りださなかったら、完全に忘れていたであろう図鑑をリュックから取り出す。

かくかくしかじかあって、謎の商人スクリプトールから貰った『神獣図鑑』だが、ずっと俺のリュックのそこで埃をかぶっていた。

それこそ『オリアマ』様の件以降、開いてすらいない。

そんな『神獣図鑑』を恐る恐る見開く。


「マジか.....。」


そこに書かれていたのは驚愕の内容だった。


[神獣図鑑]


・『オリアマ』/『水蛇』

・『ラビリンス』/『迷宮』

・/

・/

・/

・/

・/

・/


と。


「嘘だろ?『迷宮』の正体ってもしかして.....」


「『神獣』ってこと...?!」


フリエナが締めくくる。


「てかそもそも生きてるのかよこいつ?」


コツンと地面をたたく。

触った感触はどう考えても構造物だ。

血も通ってなさそうだし、脈も打っていない。


「まあとりあえず先を急ぐか。」


変なことを気にして時間をつぶすわけにはいかない。

何せ制限時間は24時間しかないのだ。

ということで、気持ちを切り替え、先に進むことにした。


「なあフリエナ。『迷宮』の攻略って具体的に何をすればいいんだ?」


「正直、人によって違うけど、共通して言えるのは最深部に到着することね。」


「なるほど。」


ということはとりあえず下を目指していけばいいということだ。

シンプルかつわかりやすくて助かる。


「よし、行くか。」


・・・・

・・


「た、助けて~!!!」


俺たちが道を歩み始めしばらく経ったとき、前方で情けない声がした。


「なんだ?」


どこかで聞いた声だ。


まあとりあえず助けてやるか。


そう思い、声がした方へ駆け足で向かう。


「だ、誰か~!!」


そこにいたのは複数のゴーレムに囲まれた冒険者だった。

ゴーレムとは岩や石、土などでできた人工生命体である。

古くから人類に仕えていて、その歴史は長い。

意思はなく、コアを中心に形成されているらしい。

製作者の指示にのみ従うロボットみたいなものだ。

単純な動きのみなら簡単に命令を下せるが、複雑なものになると製作者に相当な技量が求められるらしい。

ちなみに今回でいう製作者はこの『迷宮』そのものだろう。


冒険者の顔はゴーレムたちに隠れていてよく見えないが、声からその正体がなんとなく想像できた。


「おー、ナナヒカリじゃん!」


そう、ボンボンの貴族冒険者ナナーリッヒ・カリオストロである。


「だーれが七光りだ!」


なんてツッコミを入れてきたが、実際余裕はなさそうである。

見捨てるのもかわいそうなので、パパっとゴーレムを片付けて助けてやったのだった。


「か、感謝する。」


不本意そうにナナーリッヒが言う。


「もしかしてお前もパーティーメンバーとはぐれたのか?」


「そうさ。まさか君たちもそうとはね。というか『迷宮』に挑戦する気はなかったんじゃないのかい?」


「いろいろと事情が変わったんだよ。」


「ふむ。」


それ以上は聞かないナナーリッヒ。


「ところで君たちはこれからどうするんだ?」


「俺たちは『迷宮』の最深部を目指す。」


「最深部に?!き、君たちも目指すんだな?」


「あ、ああ。」


いきなり食い気味になるナナーリッヒ。


「そっか、君たちは幸運だね。この僕様の臨時パーティーメンバーとして雇ってあげよう!」


「「「.......は?」」」


「だから僕様の護衛として雇ってやると言ってるんだ。」


「....いやわけわからないわ。なんであんたなんかの家来にならなきゃいけないわけ?」


とがった返しをするフリエナ。

きつい言い方ではあるが、まさしくその通りである。

こちらとしてはわざわざナナーリッヒと同行する理由はない。

もし一緒に行動したいのであれば、素直にそう頼めばいいのだ。

そうすれば、ダメと言うことはなかった。


「わからないなぁ。僕様に雇われるってことは、それなりの報酬がもらえるってことだよ?」


「はぁ....。」


呆れるフリエナ。


「まあ、雇う雇わないはおいておくとして、『迷宮』の最深部に行きたいのなら、別について来いよ。」


「.....え?」


驚くナナーリッヒ。

しかし、疑問を口にする前にはユキマルたちが歩き始めていたのだ。

それを急いで追いかけるのだった。


・・・・

・・


「こ、ここはどこ?」


ソルナが目を開けるとそこは開けた空間だった。

すぐ横にはルフテがいる。

どうやら彼女も今目を開いたようだ。


「み、皆さんがいません!!!」


現状に気づいたルフテが言う。


「ええ、どうやら私たちはバラバラになったようね。」


そんな二人に忍び寄る影が多数。


「ま、まずいですソルナさん!」


「ほんとにね.....」


ゴーレムの大群である。

開けた空間なだけあって、潜んでいたゴーレムの数もまた多かった。


「わ、私たちだけで対処できるでしょうか...?」


「いえ、逃げるわよ!」


どうにか隙を見つけて走り出すソルナ。

そしてそれに続くルフテ。


ドゴオオ!!!


ドゴオオ!!!


ゴーレムたちの空ぶったパンチが地面に突き刺さる。

その振動から、ゴーレムたちの一撃にどれほどの重量がのしかかっているかが想像できた。


「あ、あんなのくらったら....!!」


嫌な想像をしてしまい、身震いをするルフテ。


「っく....まずいわね。」


ソルナは逃げ場を失ったことに気づいてしまった。

最初から逃げ道などなかったのだ。

だんだんと壁際に追い詰められる。

多数のゴーレムたちが迫ってくる。


「ま、まずいです!」


言わなくてもわかるが、言ってしまう気持ちはわかるソルナ。

ソルナは焦る暇があったら打開策を考えるタイプだった。

しかしそれでも何も思いつかない。


「....っく!」


覚悟を決めた──その時だった。


ドオオオオ!!


キィィィン!!


奥の方から騒音が鳴り響く。

それに反応してゴーレムたちも、ソルナたちへの侵攻を停止した。


「な、何がおきてるのでしょう?」


「わからないわ!」


奥の方に目をやる、そこに一瞬見えたのは何名かの冒険者だった。

そしてその冒険者たちはゴーレムたちを蹂躙(じゅうりん)していた。


「あれって....。」


冒険者たちの正体に心当たりがあるソルナ。

そしてその予想は見事的中した。


「大丈夫か?」


「え、ええ。」


そう、それはナナーリッヒのパーティーメンバー、ダイヤランクの冒険者たちであるジン、リコ、フィンズの三人だった。


「なあ、あんたらはうちのリーダーを見なかったか?」

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