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駆け出し冒険者の俺は裏レベル100  作者: 可じゃん
第六章 迷宮編
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本音で語り合うたわいのない会話

第七十二話

「ソルナはユキマルのこと、どう思ってるの?」


フリエナの突拍子のない質問に対して一瞬固まるソルナ。


「どう思ってる......のか?」


「そうよ!ソルナがユキマルのことをどう思ってるか聞いてるの。」


確かに。

私はユキマル君をどう思っているのだろう。

ユキマル君は私にとって何なんだろう。

彼は私を『フレイムドラゴン』から救ってくれた。

魔法の使えない私を仲間に迎えてくれた。


「私にとってユキマル君は....」


では、それ以上の存在なのか?


「......私たちをつなぎ合わせてくれた恩人よ!」


今はまだこの答えしか出せない。


「そうなのね。」


「ええ、そう言えばフリエナには私たちが出会った時のこと、話してなかったわね。」


それからソルナはユキマルとの出会いを鮮明に思い出しつつ、フリエナに語った。

フリエナはそれを静かに聞いているのだった。


「ねぇ、なんでユキマルはそのとき迷わずソルナを助けてくれたんだろう?」


ソルナが一通り話し終わった後、フリエナが言う。

いくらパーティーメンバーとはいえ、出会ってまだ日が浅い少女を『フレイムドラゴン』相手に助けに行くなんて、普通は考えられない。

しかも聞いた話によると、ユキマルはその日の前日に冒険者になったばかりだそうだ。

バカだからという理由で納得できなくもないが、流石になにか別の理由があるのではと考える。


「う~ん、私も何度か考えたんだけどね、正直わからなかった。でも一つだけ答えにつながるかもしれないことを知ってるの。」


「それってなに?」


「よくユキマル君がこだわってる事よ。”冒険”、もしかしたらユキマル君の行動原理はワクワクするかとか、楽しいかとかなんじゃないかしら?」


「なにそればかばかしい!それならバカだからって理由の方がよっぽどましだわ!」


「ふふっ、そうね!」


その通りだと思い、笑うソルナ。

それにつられてフリエナも笑ってしまうのだった。


・・・・

・・


「実はね、フリエナに謝らなきゃいけないことがあるの。」


気が済むまで笑いあったのち、ソルナが話し出した。


「謝る?なにを?」


きょとんとするフリエナ。

ソルナに迷惑を掛けられた記憶はない。

まして謝られることなんて何もないはずだ。


「私が魔法使いを目指してるけど、魔法が使えないことは知ってるでしょ?」


「うん、知ってる。」


この話は何回かソルナ本人から聞いている。

最初聞いたときは、残酷な話だと思った。

この世界において魔法とは完全に()()だ。

生まれたときに、使えるか、使えないかが決まるのである。

そしてソルナは使えない側の人間だった。

後天的に魔法が使えるようになったという話は聞いたことがない。

そして、それは今後もそうだろう。

つまり、持たざる者は、一生持ちえないのである。

そんな中ソルナは、『魔法装身具(アーティファクト)』という装着者に一部魔法が使えるようにするアクセサリーを探すことにしたそうだ。

それならば誰でも魔法を行使することができるが、そもそも超希少アイテムなため、見つけるのが困難となっている。


話をソルナが謝らないといけないことに戻そう。


「それでどうしたの?」


「実はね、あなたが『タリスマンズ』に入ったとき、ものすごく嫉妬してたの。魔法が使えるだけじゃない、五属性も扱える。まさに私が夢見た魔法使いだった。」


「........」


「でもね、そんな嫉妬すぐに消え去ったわ。元気で素直で実直なフリエナを知っちゃったから。」


「.....ソルナ。」


「だからね、ごめんなさい!出会った当初のあなたに向けてた感情は、決してきれいなものじゃなかったたから。」


「そんな....私は全然気にしてないし!ソルナに何度も助けられた。私もソルナに出会えてよかった!」


「フリエナ....。」


二人の言葉は本音だった。

一切の偽りなく、心の底から出た言葉。

それをくしくも心で感じ取ったのだった。


「そっか、でも私の力は本来喜ぶべきものなんだよね.....。」


自分の軽く握った手を見つめながら呟くフリエナ。

それは『魔法の申し子』である自分に対する言葉だった。


「そうね、フリエナは自分の力は好きじゃないの?」


「....好き嫌いで考えたことはないけど。どちらかと言えばあまり好きじゃない....かな。」


考えてみれば、それは当然の答えだった。

エルフの里からの外出が許されなかったのも、『西方奴隷商(スカーナル)』に捕まったのも、多くの人に迷惑をかけたのも、元をたどればこの力が原因だ。


「ソルナの前でこんなことを言うのもなんだけど....ね。」


「フリエナ.....。」


少し表情を暗くしたフリエナのことを心配するソルナ。


「あのね、フリエナは『魔法の申し子』かもしれないけど、それはフリエナの持つ一つの側面でしかないんだよ!私や、ルフテ、コラゴン、ユキマル君、みんなにとってのフリエナは『タリスマンズ』のメンバーだからね!」


「ソルナ.....!」


顔を上げてソルナを見つめるフリエナ。

その顔には少しばかり光が戻ったかのように見えた。


「なんかごめん....ソルナに気を使わせたみたいで.....。」


「違うよフリエナ。」


「え?」


「こういう時はごめんじゃなくて、ありがとうって言うんだ!....ってユキマル君の受け売りだけどね。」


ははっと笑って見せるソルナ。

何気ない、たわいのない会話だったが、フリエナの心は軽くなった気がした。


「ありがとう!ソルナ!」


「どういたしまして!それじゃ、風邪ひくといけないし、中に戻りましょう!」


こうして二人は家に戻り、それぞれ眠りにつくのだった。


・・・・

・・


「みんなおはよう!」


朝食の席で温かく出迎えてくれたのはフリエナの父、フォルゴだ。

妻のカリーンもそうだが、何やら朝からウキウキの様子。


「やけに浮かれてるな。何か良いことでもあったのか?」


「何を言ってるんだユキマル君、今日は『フェアドラド開門式』前日だぞ!今日の深夜0時に『迷宮』の門が百年ぶりに開くんだ。ワクワクしないか?」


「する!」


そうか、今日の夜だったんだな。

絶対に見に行こう。


『フェアドラド』では『迷宮』は信仰対象らしい。

まあ、里を囲うように張られた結界や、オリハルコン製の門、観測できる限り何百万年も前から存在するという事実。

どれもこれも神性を感じるには十分たる内容だ。

ずっと昔からそこに会ったのなら、自然と共存するというエルフ族の信条とも矛盾しない。

まさに完ぺきな信仰対象である。


「しかしワクワクばっかもしてられん、『迷宮』は危険な場所だからな。毎回必ず死傷者が多数出る。」


これもまた事実らしい。

死と隣り合わせの『迷宮』。

それでも毎回多くの挑戦者が現れるのは、『迷宮』で得られるものが多いからだ。


「君も見に行くだけにしとくんだ。」


「......ああ。」


フォルゴの忠告に対して、ぼんやりとうなずくユキマルなのだった。

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