手品
どうしようか。貸し切りの時には何も提供できないとは言った。水くらいは出した方がいいのか……うーん。と、とりあえずサファルさんも来てから考えよう。優先すべきは開店準備。
「サファルの話じゃ、これはマジニウムと言う金属でできたお金ということだ。マジニウムは魔石よりもはるかに魔力を内包しているが、魔力を取り出すことができないのでお金として使われていると。魔法の干渉を受けないため、偽造もされなく便利なのだとか」
エリさんが首を傾げた。
うわー、幼女がこてっと首をかしげる姿、やばい、ちょっと、それだけですごくかわいい。
「お金?サファルの国のお金ってみんなこんな形?」
「いいや。普通のコインの形だよ。マジニウムは、こういう形で産出されるらしい。大きさも重さも同じ。ゆえに、お金として加工する部分は、ここだけらしい。国の刻印。これがあれば高額硬貨。なければ産出しただけのマジニウム」
と、竜の模様の部分を留さんが指さしている。
「ベーゴマの形に産出される鉱物……か」
社長がポケットからベーゴマを取り出した。
ベーゴマの形の鉱石かあ。面白いなぁ。
とはいえ、まるで加工したかのように表面がつるつるな上に、図ったようにきっちり立方体の結晶をつくる黄鉄鉱っていう鉱石もあるんだよね。あれを博物館で見た時は、本当に自然が作り出したの?ってびっくりした。
よく考えたら、水晶の六角形の結晶なんて有名だし、いろいろな形の結晶を作る金属があっても不思議ではないんだよね。
だから、マジタイトっていうのは、そういう形で産出されるっていう設定にするんですね。ふむふむ。マジタイトバトル!とか言って、ベーゴマっていう名前を排除して新しく売り出すつもりなのかな?
「私みたいな人間は、お金と言われてもピンと来ないですからね。どう見てもベーゴマです。懐かしくなって回してみたんですよ」
エリさんが留さんの言葉の途中で言葉を挟んだ。
「内包されている魔力を取り出すことに成功したわけね。……これ、遠心分離機みたいなもん?」
遠心分離なんて言葉を知ってるなんてやっぱり見た目は幼女だけど中身は大人なんだねと、しげしげと思う。
ピピピピピッ……。
突然のキッチンタイマーの音に、音のしたほうを振り返る。
「あ、ごめんなさい。キッチンタイマーの音です。あと何度か鳴りますが、何とか警報みたいなものではないので心配しなくて大丈夫ですよ」
なったのは、水に浸しておいた米の方だ。炊飯器のスイッチを入れるタイミング。スイッチオンで、あとはおかゆが出来上がるのを待つばかり。
「遠心分離機か。確かに、高速回転させることで魔力が外に出されるということなんでしょうね」
マジタイトバトルの設定にはそういうものを付けるつもりなのかな。魔力が出てきて魔法発動して勝敗を決めるみたいな?カードバトルみたいなのと組み合わせるとか?
「ほら、見てください」
留さんが指先からパッと小さな火を出した。
え?
留さん、今の……手品?だ、よね?
「魔法だ!」
エリさんが興奮気味な声を出す。
「どうして、地球じゃ魔素が……いや、今のベーゴマで……」
「魔素……という概念はあるんですねぇ」
留さんがふっと笑みを漏らす。
いつもありがとうございます。
引き続き感想を書いてくださった方には定型文つけておりますが、書籍化にともない感謝の形を何か表せないか企画続いてます。
さて、書籍化が決まるとどうなるかという話を今日はちょこっとだけします。
イラストの話
イラストレーターさんが決まります。
出版社によって、決め方は色々です。
「どのような方がいいですか?」と出版社から相談があって、数人の候補を上げられてという形もあれば
決まってから伝えられるだけということもあります。
あ、ちなみに、「どのような方がいいですか?」と尋ねられた作家さんも、具体的にどんどん名前を上げる先生もいれば、お任せしますで終わる先生もいるようです。
私ですか?あんまりイラストレーターさんとか漫画家さんとか全然詳しくなくて、名前は上げられないんです。
っていうか、とにかく名前を覚えるのがすごく苦手で、本屋で絵をみて、この絵好きだなーとかそういう感覚は持ってるんだけど、その絵の作者の名前を覚えるところまで至らないんですよね。
で、名前を上げることができなくて、
だいたいは
「カッコイイ男子が描ける方」だとか「モンスターも描ける方」とかざっくりとリクエストしています。
担当様が本当に毎回素敵なイラストレーターさんを探してくださります。感謝なのです。
で、イラストレーターさんが決まると、キャラクター表というのを提出します。
キャラの名前とどういうキャラなのかの説明。目の色髪の色髪型体型服装その他色々……
(/_;)これまた作中にあんまり描写しないのと、その描写した部分を探して足りないところを足したりとか、苦手な作業です。
しかぁし、カフェエリに関しては、登場人物の大半が日本人なので、黒目黒髪。ああ、楽ですね。
……と、思ったんだけど、絵面的にそれじゃぁ真っ黒だよっ!
てなわけで、サファルさんを茶色から金髪に変更したり、もうちょっとカラフルにする努力をですね、コソコソとしています。
他にも、ちょっと絵にすると寂しい部分に改良を加え……
書籍版ではネオピョン属パーカーが登場の予定です。
あ、いいこと思いついちゃった。
ガウ属パーカーは、パーカーだけど、裾を長くする感じにしよーっと。口では説明しにくいな。中二病っぽいデザインのほら、裾だよ、裾が長いやつ、あ、説明できぬ。(そんなんで小説に出せるのか?)
てなわけで、書籍の進行状況……。
改稿+加筆始めました。
いろんな都合上、あのあたりをざっくり削除して、できた余裕分にたっぷり加筆。
4分の1くらいは完全書下ろしになると思います。
ついに、ふるピョンがダンジョンの中に?!……かどうかはお楽しみに。
といいつつ、実は一番楽しみにしているのはたぶん私。
イラストレーターさんってもう発表になってる?
あ、Amazonの登録してあるとかだから、名前出てるのかな?
あの方です。
(*'ω'*)楽しみ楽しみ。




