表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/13

書道の伊塚丸綾子先生

姉の紗香さんは『翔、これは何?』と、彼に率直に聞きました。

彼は立ち上がりながら『字の練習の…』と小さな声で答えました。


紗香さんはそれ以上は、彼に何も聞きませんでした。


綾香さんは壁掛け時計を見ました。時計はちょうど午後4時を示していました。


『翔!ちょっとここで待ってて!』と彼に伝えると、紗香さんは慌てて2階の階段を駆け下りていきました。




…10分後、紗香さんはポニーテールで袴姿の若い女性を連れて、彼の部屋へ戻ってきました。


その女性は「櫻庭書道会(さくらばしょどうかい)」という、一流の書道流派に所属する書道の先生、伊塚丸綾子(いつかまるあやこ)先生です。


なぜ?たった10分で習字の先生を?と思われるかもしれませんね。


…うおっほん。では…(わたくし)がご説明しましょう。






…彼の曽祖母の斗紀が6代目師範を務める「野井倉流和心悠教院」は、140年以上も前から、日本が古来から大切にしてきた「和心(わのこころ)」を聴講者様達にお伝えし、日本の伝統の魂から(すた)れないよう守ってゆくのがお務め…由緒ある悠教院なのです。


聴講者は特に茶道、花道、書道の有名どころの先生方ばかり。開講は毎週日曜日、午後1時から午後4時まで。曽祖母の離れの隣の、48畳の大広間で行われています。


お会費のほうは…少々お高く御座いますが…。




…ちょうど午後4時を過ぎ、聴講会が終わったところを見計らって、紗香さんは綾子先生を彼の部屋へと連れてきたのでした。


紗香さんは彼に「ノートを先生に見せてあげて」と言いました。彼は恐る恐る、ノートを綾子先生に差し出しました。


綾子先生は「じゃあ…見せてもらうね」と、彼のノートを開きました。ノートには、◯と△と□がびっしりと描き込まれています。


「綾子先生。字を書く練習に、こんな練習ってあるんですか?」と、紗香さんは先生に質問しました。先生は即答しました。



『これは……字の練習には非常に有効的な方法よ。…特に、字を習い初めたばかりの園児に教える、初歩の練習方法なんだけど』



綾子先生は紗香さんに『なぜ、丸や三角や四角を描くのが、字を上手く書くために必要な練習方法かわかる?』と聞きました。

当然、紗香さんは『いえ。わかりません』と答えました。


綾子先生は、こう教えてくれました。



『綺麗な字を書く為には、まず「字の形を正確にイメージする力」を育てる必要があるの。そして正確なイメージが、ちゃんと「筆先に伝わり、その通りに書ける」こと、そして筆を柔らかく持つ「適度な筆圧」…』



「正確に字をイメージする力」と「正確に筆先に伝えること」そして「適度な筆圧」。この3つの基本を、最も初歩的であり簡単な方法で練習できるのが、この◯、△、□の描き込み練習なんだと、綾子先生は紗香さんと彼に伝えました。


綾子先生は、あわせて彼に尋ねました。



『…一般的には知られていない、この基本の練習方法を…なぜ翔くんは知ってるの…?』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ