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TS少女の異世界のんびりクラフト日記  作者: 月夜るな
2章:水路の時代~

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015『採掘作業』

「よし、装備確認。クロスボウ、石の矢、石槍。そして……切り札の小型拳銃」


 石のフェンスで地上の防衛を完璧にした俺は、いよいよ地下採掘場へと向かう準備を整えた。

 この地下にモグラの化け物や、巨大ミミズのような敵が居ないとも限らない。備えあれば憂いなしだ。


「まずは、ここを『第1区画』とするか」


 俺は採掘場の入り口付近、地下1階層にあたる広場をそう名付けた。

 わかりやすく区画整理をしておくのは、効率的な採掘の基本だ。この第1区画は、主に『石材確保用』のエリア兼、地下への前線基地とする。

 殺風景な洞窟内だが、少しでも快適に作業できるよう、余った石材で『石のテーブル』や『石のチェア』をクラフトして設置しておいた。これで休憩もバッチリだ。


「……正直、どの辺りの深さに鉱石類が埋まっているか分からんよな」


 こればかりは、手当たり次第に掘って当たりを引くしかない。

 俺は第1区画を抜け、さらに地下深くへと続く階段を掘り進めた。

 深度に合わせて『第2区画』、『第3区画』……と、等間隔に拠点を設けていく。目標はとりあえず『第5区画』あたりまで掘り抜くことだ。


 ザクッ、スーン。

 万能スコップくんは、相変わらず良い仕事をする。土だろうが硬い岩盤だろうが、豆腐のようにサクサク掘れるのでストレスがない。これがなければ、地下5階層まで掘るなんて苦行でしかなかっただろう。


「ふぅ……」


 第2区画の中継エリアから、左右にブランチマイニング用の坑道を広げたところで、俺は石のチェアに腰掛けて一息ついた。


「まあ、そう簡単には見つからんよな」


 知ってた。レア鉱石なんてそう簡単に出ないからレアなのだ。

 インベントリを確認すると、掘り出した『石材』と『土』が山のように積み上がっていた。

 序盤こそ石は建築資材として重宝するが、ある程度拠点が完成してくると、単にストレージ(収納箱)を圧迫するだけの「産業廃棄物」と化すのがクラフトゲームの宿命だ。


「あまり深くまで潜りすぎると、酸欠になるかもしれないな……」


 松明の火が少し揺れているのを見て思う。

 今のところ息苦しさはないが、さらに深く掘るなら、地上から空気を取り込むための通気口や、送風機のような設備が必要になるかもしれない。

 だが、今の技術レベルではそこまでの設備は作れない。


「よし、今日はここまでにするか」


 第3区画まで掘り進めたものの、結局めぼしい鉱石は見つからなかった。

 俺は大量の「ゴミ(石と土)」を抱えて、地上へと戻ることにした。


◇◇◇


 地上に戻った俺は、持ち帰った大量の石材を消費するため、拠点の整備に取り掛かった。


「これだけあるなら、地面という地面を全部舗装してやる」


 まずは畑の周りだ。

 土がむき出しだった通路に石材を敷き詰め、綺麗な『石畳』にする。これなら雨の日でも泥だらけにならなくて済むし、雑草が生えてくるのも防げる。


 ついでに、貯水槽から畑へ向けて、細い『灌漑かんがい用水路』も掘ってみた。

 ここにも小さな『石の水門』を設置し、レバーを引くだけで畑のうねに水が行き渡るようにする。


「うん、完璧だ。これで毎朝ジョウロで水を撒く手間が省ける」


 石材の在庫処分もできて、生活も便利になる。一石二鳥だ。


 作業を終えた俺は、焚き火の前で遅めの昼食をとることにした。

 メニューは、焚き火で炙った『焼き魚』と、クラフトテーブルで作った『パン』だ。


 畑の小麦が育ったおかげで、ついに主食(炭水化物)を手に入れることができた。

 小麦を粉にして、水を混ぜて練って焼く、という手順が本来なら必要だが、素材さえ放り込めばクラフトテーブルくんが完成したパンを作ってくれるので、細かなことを考える必要がないという。


「魚は……たまに食べるくらいの贅沢品だな」


 パンをかじりながら、貴重な焼き魚を少しずつ口に運ぶ。

 小麦は畑で無限に増やせるが、川の魚は有限だ。獲り尽くせば終わりなので、乱獲はできない。これからはパンを主食にしつつ、魚は特別な日の御馳走にしよう。


 そう考えると、小麦の備蓄をもっと増やしておくべきかもしれない。


「とりあえず……ようやく『安定期』に入ったかな」


 頑丈な石の壁に囲まれた拠点。

 自動化された水周り。

 確保された食料と、安全な寝床。


 異世界に放り出されてから、常に死と隣り合わせだったサバイバル生活が、ようやく落ち着きを見せ始めていた。

 だが、俺の目的はここで終わりではない。


「次は鉄だ。鉄さえあれば、文明レベルを一気に上げられる」


 パンを飲み込み、俺は再び地下への入り口を見据えた。

 安定した生活を基盤に、次こそは産業革命を起こしてみせる。

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