4.知らせ
ドンドンドン、
扉を激しく叩く音が響いた。サマリはぱちくりと目を開けた。外はすっかり明るくなっていた。
重い体を持ち上げるように、手を壁に当てて扉の方へ歩き出す。大あくびを一つして、顔を洗い、袖で拭った。
すると、再び扉を叩く音が響いた。
「今、出るから待ってなさい!」
急かす相手に不満を感じながらも、サマリは足早に向かった。
扉を開けると、給仕服を着た二人組が立っていた。見覚えのない二人に、サマリはキョトンとしながらも受け答えをする。
「なにか私に用なの?」
一人の給仕が礼儀正しく頭を下げ、話し始めた。
「サマリ様、申し訳ありませんが、至急お話ししたいことがございます。少しお時間をいただけますでしょうか?」
サマリは眉をひそめたが、相手の真剣な表情に気づき、仕方なくうなずいた。
「…わかったわ。中へどうぞ。」
二人組は感謝の意を表し、丁寧に家の中へと足を踏み入れた。サマリは彼らを案内しながら、心の中で何が起こっているのかと考えを巡らせていた。
サマリは二人を居間に案内し、椅子を勧めた。
二人の給仕は感謝の意を表し、丁寧に座った。
「それで、何の話?」と、サマリは問いかけた。
給仕の一人が申し訳なさそうに口を開いた。
「申し遅れました。私たちはフューチャー家の遣いで参りました。」
その言葉に、サマリは驚きの表情を見せた。
「フューチャー家の遣い?どうして私に?」
給仕は頷きながら続けた。
「実は、フューチャー家の使用人が一名、最近失踪しました。その使用人の親が当主に捜索願いを嘆願し、捜索が始まったのですが、手がかりが掴めず困っております。」
サマリは深く息をつき、真剣な表情で問いかけた。
「それで、なぜ私が?」
もう一人の給仕が説明を続けた。
「サマリ様がレニュウ様と親しくしていらっしゃることを存じております。そして、この町についてよく理解している人物となると、あなたしかいないと判断しました。」
サマリは少し考え込んだ後、「なるほど。そういうことね」と呟く。
給仕の一人が笑みを浮かべ、
「サマリ様ならきっとお力になっていただけると、フューチャー家の当主も信じております。」
サマリは目を細め、二人の給仕を見つめた。
「はぁ、分かったわ。協力します。ただし、私が動く以上、情報を隠さないで全て話してもらっていい?」
給仕たちは頷き、詳細な説明を始めた。
「失踪した使用人は若い女性で、名前はカリと申します。彼女は夜の見回りを担当していました。失踪当日は特に異変はなく、通常通りの業務をこなしていたとのことです。」
「その後、彼女が最後に目撃されたのは町外れの古びた倉庫近くでした。その場所は普段あまり人が寄り付かない場所でして…」と給仕は説明を続けた。
サマリは深くため息をついた。
「他に詳細な情報はない?」
「実は、カリは嘘が下手で、何か隠している様子がありました。彼女の部屋を調べたところ、日記が見つかりました。」
「日記には、誰かと出会っていたことが書かれていました。特に最近は頻繁に会っていたようです」ともう一人の給仕が続けた。
サマリは興味深げに聞き入った。
「その日記には何が書かれていたの?」
「日記の最後のページには『お母さんに会える』と書かれていました。それを最後に日記は白紙でした」
サマリは眉をひそめ、考え込んだ。
「お母さんに会える…それが最後の言葉なの?」
給仕たちは頷いた。
「はい、その通りです。それ以降のページには何も書かれていませんでした。」
サマリはさらに質問を続けた。
「リナのお母さんについて、何か分かっていることは?」
「カリの母は小さい頃に亡くなっていると聞いております。なので具体的な話は避けていました。」
サマリは再びため息をつき、立ち上がった。
「分かったわ、取り敢えずこっちでも調べてみる」
給仕たちは感謝の意を表し、「どうかよろしくお願いします、サマリ様」と頭を下げた。
しばらくして給仕たちを見送る前にサマリは一声かけた。
「まだ治安が悪いから、観光には来るんじゃないわよ」
給仕たちは笑顔で頷きながら、礼を述べました。「かしこまりました、サマリ様。くれぐれもお気をつけてください。」
サマリは微笑み返し、部屋の扉を閉めた。
その後、給仕が置いて行ったカリの日記を手に取って数ページをパラパラとめくって流すように読んだ。
カリの日記を閉じたサマリは深いため息をつき、頭を抱えました。心の中で次々とやるべきことが浮かんでは消えていきます。
「ジンの報告はすぐに片付くとして、その後でリナの捜索…情報収集が必要だけど、今は日が昇ってるから酒場は期待できない。通りすがりの人に聞くのも効率的じゃないし。」
彼女は少し考えた後、ビスマスのことを思い浮かべる。
「ビスマスの手を借りる?いや、それはなし。こんなことに巻き込むわけにはいかない。」
サマリは決意を固めて荷物をまとめ始める。
「とりあえず、荷物をまとめてジンに任せた現場に行こう。」
彼女は急いで必要なものをバッグに詰め込み、書類も一緒に持って出発の準備をする。
ジンの報告を片付けたら、すぐにリナの捜索に取り掛かる。
「ジンに任せた現場に行けば、何か手掛かりが掴めるかもしれない。」
サマリは自分に言い聞かせるように呟きながら、バッグを肩にかけて家を出ました。




