第20話 奥の部屋
はい、続きをどうぞ!
鎖鎌の試運転も終わり、皆で次々と出てくる魔物達を蹴散らしていく。その戦いで哲也が驚く場面もあった。カレルが先が光っている杖でゴブリンを突き刺して倒していたのだ。
「ん? カレルが杖でゴブリンを倒しているな」
「あぁ、アレは『杖術』のスキルだな。『呪怨魔法』だけではキツイから、考えた末に『杖術』を選んだみたいだぞ」
カレルは前まで『杖術』を持っていなかったが、戦う術を増やすために『杖術』を取得したのだ。スキルポイントは今まで使わずに溜めていたが、これからの戦いは『呪怨魔法』だけでは立ち回れないし、哲也の脚を引っ張るのが嫌だった。
「へぇ、まだまだ強くなるな。最後は何処まで行くか楽しみだな」
哲也は期待していた。カレルは魔術師だが、哲也に劣らない身体能力を持っている。今のもそうだが、前に魔物から追われていた時も全力疾走していた哲也に着いて行けていた。
前衛にいても、ゴブリンの攻撃を見極めて避けていた。
「えいっ!」
杖の先がゴブリンの喉へ刺さり、皮や肉を突き破った。『杖術』で魔力の薄い刃が生まれていたから、勢いよく突けば、今のようにやれるのだ。エリラは言わずとも、ゴブリン程度では相手にならない。魔法や魔力を使わない戦闘なら、一級品の実力を持っているのだから、心配はしてない。問題なのは…………
「頑張れー! こっちは応援していますからねっ!!」
戦闘では役に立たないアル。今は仕方ないが、パーティに入ったからにはいつか戦闘方法を探し出してやろうと思う哲也であった。
この調子で戦い続けると、まだ生まれたばかりのダンジョンだからなのか、すぐ1番奥の部屋前まで着いた。
「あっさりと着いたな……」
「確か、見つかったのは2日前だったので、浅いのは仕方がありませんよ。あ、注意が一つだけあります。何処のダンジョンも同じですが、最後の部屋は強い魔物が1体だけで待ち構えています。極稀に、ダンジョンコアが姿を見せることがあり、その魔物を強化させてしまいます。まぁ、それは極稀なので、強い魔物だけに気を付ければ大丈夫かと」
「ふむ、ダンジョンコアか。意味はわかるが、姿を見せるとは?」
「そうですね、ダンジョンは2つのダンジョンがあり、『本体型』と『分体型』と呼ばれています。どちらもダンジョンであるのは間違いはありませんが、ダンジョンコアがあるかないかで決まります」
「それは聞いたことがあるぞ。ダンジョンコアがある方は『本体型』だったよな?」
「ええ、エリラの言う通りです。それに対して、『分体型』はダンジョンコアがありません。『本体型』を通じて、別のダンジョンを作り出されたのが、『分体型』なんです」
説明を聞き、思ったことを聞いてみた。
「もし、ここが『分体型』なら、近くに巨大なダンジョンがあると?」
「そうですね。この近くに、『タイラントの巣』と呼ばれるダンジョンがあります。その影響で出来たのでしょう」
変なネーミングだと思ったが、ここが『分体型』で間違いないようで、部屋の中にいる魔物に気を付ければいいと思い、扉を開けてみたらーーーー
「は?」
「えっ?」
「ほぅ……?」
「あれっ!?」
それぞれが違う反応をしていた。だが、皆が思ったことは同じだろう。だって、目の前にはーーーー
ミノタウルスがいた。
それはいい。アルが言っていた強い魔物のことだろう。だが、その後ろには…………
「あ、赤色のダンジョンコア……」
「ダンジョンコア!?」
アルとカレルが叫んだように、赤い珠はダンジョンコアだった。まさか、新しく生まれたダンジョンコアが新しいダンジョンを作り始めていた時に、哲也が来た。
とても低い確率だったため、偶然で片付けると考えられないが、ダンジョンコアがあるダンジョンへ入ってしまったようだ。
ダンジョンコアがあるなら、魔物は強化される。ミノタウルスは充分強い魔物で、ギリギリ勝てるかの実力だと考えるが、強化されてしまえば…………
「ヤバいよ!! 逃げようよ!!」
「わ、私も思うわ!」
「こりゃ、強化されたら魔力を使った攻撃もありそうだな。無理だわ」
3人は戦うことを諦めて、この部屋から逃げ出そうとする。ダンジョンコアが赤色の魔力を放出し、ミノタウルスを包みこもうとーーーー
ーーーードゴッ、バキッ!!
「えっ?」
逃げ出そうとしていた皆が音に気付いて、音の発生源へ眼を向けると、立ち尽くす哲也の姿が見え、更にーーーー
「は?」
「えっ?」
「ダンジョンコアがッ!?」
ダンジョンコアは壁にぶつかり、割れて地面に散らばっていた。ミノタウルスも呆気に取られていた。
それをした者は…………
「なんで、強化するまで待たないと駄目なんだよ。さっさとダンジョンコアを破壊すればいいだけじゃないか」
哲也が『衝撃の魔眼』で強化される前に、ダンジョンコアを破壊したのだ。
そのことに何とも言えない空気が流れるのだった…………




