第19話 ダンジョン
はい、続きをどうぞ!
アルドーラのこと、アルをパーティメンバーに加えた哲也達はーーーー
「……ここがダンジョンという奴か?」
「はい。まだ生まれたばかりのダンジョンで、弱い魔物しかいません。最後の部屋で待つボスがいますけど、旦那様なら楽勝ですわ♡」
「……何故、楽勝だと思ったかわからんが、よくダンジョンを見つけたな?」
周りを見るが、他の冒険者が来た様子はない。ダンジョン内も人間がいるような気配は感じないし、入り口は、綺麗なまま。もしかしたら、哲也達が1番乗りしたかもしれない。
このダンジョンの情報を掴んだアルは自慢気に胸を張り出し、大きい胸を揺らしていた。
他2人の女性はそれに殺気じみた睨みを利かすが、アルは気付いてなかった。
「私は様々な情報通の者と繋がっています。情報を金で買うか、こっちの情報を売ることで別の情報を知ることが出来ますわ。ダンジョンもその者から買いましたわ♡ 褒めて褒めて〜」
「成る程。見た目ではただの洞窟にしか見えないが、魔力はビンビンと感じるな」
ダンジョンを見つけたアルには軽く頭をポンポンとするだけで、すぐダンジョンの中へ入ろうとする。
まだ撫でてもらいたいアルだったが、間にカレルが入っていったので続きを所望することが出来なかった。
「あら〜? 嫌われ者のエージェント家の者が邪魔をしないでくれますか〜?」
「エージェント家がではなく、力にでしょう? 嫉妬に狂う人に相手をしている暇はなくてよ」
「ふふっ……」
「うふふっ…」
2人は火花を散らしているが、哲也からは声が小さくて内容が聞こえなかったから、仲良く談笑しているようにしか見えてなかった。
「怖っ、やっぱり女は怖いな」
「お前も女だろうが。って、怖い?」
「わからないのか……いや、テツヤはそのままでいいだろう。いつかわかることだ」
「そうか? まぁいい、今はダンジョンに入るぞ。新しい武器を試したいしな」
「あの武器をかぁ……、扱えんのかよ?」
ダンジョンに向かう前、哲也達は鎖鎌を買った武器屋へお邪魔していた。そこで、新しい武器を渡された。哲也は今迄見たことがない性能を持った武器に驚きつつも、親方が言うのだから即買いしていた。
その武器を修練するために、魔物がよく集まる場所をアルに聞いたら………ダンジョンが1番だと言ってきた。
「む、光る岩があるな。明るいのは助かるが、珍しい物なのか?」
「いえ、あの岩はダンジョンの魔力で変質した特殊な岩であり、どのダンジョンでもありますわ。太陽と月のは光に当たると、ただの岩に成り果ててしまうので、ダンジョンの中でしか使えないの」
「へぇっ、外には持っていけないのは不便だな」
夜に出る時に拳大の光る石があれば、クエストも楽になるとおもったが、使えないのは残念だ。
光る岩を後にし、ダンジョンの奥へ進んで行く。始めは一本道だけだったが、進む次第に別れ道や部屋みたいな場所もあった。
「お、見つけたか」
「ゴブリンが5体いますね」
「数を減らしておく?」
カレルが『呪死』で数を減らしておこうかと聞いてきたが、遠慮させて貰った。このまま、5体のゴブリンと相手をしたいからだ。新しい武器を試すために。
「まずは、これだ」
腰に掛けていた袋の中からジャラジャラと音を鳴らしながら、5本の鎖が1つの鎌に繋がっており、分銅は普通のより少し小さめだった。それだけではなく、分銅がクナイみたいに尖っており、重さも結構あった。
「やっぱり、見たことがない武器だな」
「武器の分類は鎖鎌になるが、親方のオリジナルだから、珍しいと思うのは仕方がないだろう」
使い方は教えて貰ってないが、哲也は理解していた。というより、哲也がさっきまで思っていた鎖鎌の欠点を打ち消すことが出来る。
鎖鎌の欠点とはーーーー
「多人数相手に仲間と一緒だったら、巻き込んでしまう欠点が消える。このようにな」
5体いるゴブリンに対して、5個の分銅が向かっていく。それに気付いたゴブリン達は避けるか、弾こうとする。だが、その分銅は鎖を細かく動かすことにより、避けるゴブリンには追尾するように追い掛け、弾こうとするゴブリンは空振りし、バランスを崩す。そのまま、頭にクナイのように尖った分銅が刺さる。
「分銅が前のより軽いから、細かな操作が可能になったのがいいな」
細かな操作が出来るようになり、更に手数が増えたので多人数相手に立ち回ることも容易になった。ただ、操作に神経を注ぐ必要があるが。
「成る程。重い一撃はないが、これなら仲間と一緒でも十全に力を振るえるな」
「へぇ〜、使い方が難しそうだわ」
「流石です、旦那様♡」
エリラの言う通りに重い一撃は無くなったが、戦略性は高まっている。ただ、重い一撃は無くなっただけで捨てた覚えはない。
しばらく歩くと、ゴブリンよりも大きめの影が見えた。
「今度は1体だけでーーゴブリンじゃないな」
「あれは、オークであります」
「確かに、顔が豚だな。これだけ肉に守られているなら、この『蛇尾』は通じないな」
5本の鎖が繋がっている鎖鎌は『蛇尾』と名付けている。
「では、私がやろうか?」
「問題はない。もう一つのを使うだけだ」
今度は重い一撃を持つ鎖鎌、『暴鈍』を手に持つ。ズッシリと来る分銅が現れ、初めて見た3人は驚いていた。
「前まで使っていた鎖鎌のよりも、更に重くなり大きい。当たれば、オークであっても無事で済まないだろう」
「そんなの投げれんのかよ……?」
「スピードは落ちるが、なんとか投げれる」
『暴鈍』の分銅は、前の鎖鎌の5倍の重さを誇っている。前の分銅でも、普通の5倍だったが、更に5倍となれば、重量は⒉5キロに達する。それを投げると腕に負担が掛かりそうだが、鎖鎌術のスキルがあるからなんとか負担を掛けずに投げれるのだ。
「操作は出来んが、狭い洞穴の中なら簡単に当てられるだろう」
オークがこっちに気付いて、棍棒を持って走り出していた。だが、まだ距離があるのでゆっくりと準備は出来た。
「喰らいやがれッ!!」
天井ぎりぎりまで分銅を上げて、振り下ろそうとする。オークはゴブリンよりはまだ賢い方なので、太い棍棒で防御をしようとしていた。
だが、その選択はハズレだった。
棍棒にぶち当たり、それに留まらずーーーー棍棒を粉砕してそのまま頭へ落ちた。それでも、勢いは止まらず、顔の半分までめり込んで血の池を作り出していた。
流石に、頭を潰されては生きてはいられない。そのまま、力が抜けたように崩れ落ちるオーク。
「動きは単調だが、確実な一撃がある。身体が大きい奴に出会ったら、『暴鈍』の出番だな」
「状況によって、使い分けるんだな。やっぱり、お前は器用だな。鎖鎌術のスキルがあっても、私には真似が出来そうはないな」
「うん、凄いと思うわ」
「カッコいい〜♡」
2人は哲也の技術と器用さに感嘆して、アルは目に♡を浮かべていた。
ダンジョンは入ったばかりだが、まずまずの結果で奥へ進めていくのだった…………




