第18話 変な女性
お待たせてすいませんでした。
では、続きをどうぞ!
3人は固まっていた。
どうして、固まっているのかって?
そりゃ、前にいる人物がいきなり現れて、そんなことを言われたら誰でも固まるだろう。
「旦那様〜。私はアルドーラ・デウスドラと申しますが、アルと呼んで頂ければ。どうか、私をパーティに入れてくださらない? 私はとっても役に立つのよ〜♡」
運命の人や旦那様とか言われたら、誰でもそうなるだろう。なおさら、目の前にいるアルと自己紹介した女性が美人でモデルみたいな体型をしているのが、尚悪い。哲也も魅力的な女性に引き込まれそうになったが、グッと堪えて聞きたいことを聞いていた。
「や、役に立つといったが、何が出来るんだ?」
「そうね〜、私は情報を軸に戦うわ。それに……旦那様の夜・の・営・み・も♡」
「グッ……」
哲也は受け入れそうな所を踏み止まった。幾らでも魅力的な存在であっても、命を預けられるような人物ではないと信用は出来ない。
情報を軸に戦うと言ったが、どうやって戦うのか気になった。
「情報で戦うと言ったが、具体的に何が出来るんだ?」
「そうね〜、私の固有スキルで相手を解析することが出来るわ。『完全解析』で丸裸にしちゃうわ♡」
「また厨二臭いのが……って、固有スキル? 初めて聞いたな……」
哲也はハテナを浮かべるのだったが、2人は驚愕の表情を浮かべていた。
「固有スキルだと!? まさか、ここで固有スキル持ちに出会えるとはな……」
「テツヤさん、固有スキルは生まれ持ってしか発現しない稀少なスキルなんですわ! 持っている人は数少ないわ」
固有スキルも古代魔法と同様に、特別な真名がある。アルが持っている固有スキルは相手の情報を暴き出す『完全解析』である。スキルや弱点までも丸裸にされてしまう程に強力なスキルである。
「ほぉ、敵の弱点がわかるのは助かるな。で、他に何が出来るんだ?」
「他にですか〜。職業はトレジャーハンターなので、宝箱の鍵開けは得意ですわ。旦那様の心の鍵も開けちゃうわよ♡」
後半の部分は無視するとして、トレジャーハンターの能力はダンジョンなどで役立って貰えるだろう。ちなみに、ダンジョンのことはエリラに聞いてあり、この世界にはダンジョンもあるのは知っている。
「それも高得点だな。肝心の戦闘のことも聞きたいがーーーー」
「何も出来ませんわ♡」
「は?」
笑顔で言い切っていたため、聞き間違いか空耳だと思い、もう一度聞きなおしてみた。
「すまない、聞き逃していたようだ。戦闘はーーーー」
「ですから、何も出来ませんわ♡」
「はぁっ!?」
戦闘が出来ないとは言葉通りなのか、サポートスキルばかりで戦闘に参加出来ないという意味なのか? とその疑問が顔に出ていたのか、アルがその理由を話してくれた。
「ちょっと、武器を貸して頂けますか〜?」
「む? これをーーーー」
バチッ!
「ッ! 何が!?」
鎖鎌を渡そうとしたら、手から斥力が発生しているのかと勘違いしてしまう程に強く弾かれていた。
「これが理由です。強力なスキルである『完全解析』を持っている代わりに、枷が付いてしまい…………武器を持てないのです。無理に持とうとすれば、今のように弾かれますわ」
「なんだと、そんなのありかよ?」
「原理はわかりませんが、そういうことなんです。それに、トレジャーハンターでは魔法を覚えないので…………戦えないのですわ♡」
また微妙な人かよ!?
『完全解析』なら戦闘でも役に立つが、解析終わったらアルは何もできない。今度は戦闘が出来ないトレジャーハンター。
戦闘の役に立たないなら、丁寧にお断りさせて貰おうと思ったらーーーー
「あら、貴女はーーーー『呪怨魔法』を持っていますね。『呪死』と『呪痕』しかないわね……」
「ふぇっ!?」
「隣の君は物理に特化した防御スキルばかりで、魔法全般が弱点。それに、魔力を使われた攻撃も弱いね」
「むぅ……、それが『完全解析』か?」
「そうわよ。それにして、旦那様は無茶苦茶な方をパーティに入れているのですね。それに、旦那様は不思議な人ですよね」
「は? どういう意味だよ」
急に不思議な人だと言われても、意味がわからない。
「何故か、私の『完全解析』で旦那様を見ても名前しか表示されないのよ。普通なら職業、スキルも詳細に見れるのに」
へぇ、俺のは見れないのか。もしかして、召喚者だからか?
「理由はわからんが、勝手に見られないのは助かるな」
「旦那様のことを知りたかったのに、こんなのは初めてよ。でも、解析出来なかったから、興味を持ったの♡ 今迄は『完全解析』で調べられないことは無かったわ。だけど、目の前には未知が詰め込まれた素敵な男性…………あぁ、ミステリアスだわっ!! 知りたい!! 一緒にいたいわ!!」
「普通は反対じゃないのかよ……」
未知な存在で、自分の力が通じないとわかれば、哲也は避けていただろう。普通ならそう考えるだろうが、目の前にいるアルドーラは違った。
便利な能力で苦労もなく調べられることが、アルには新鮮味を感じられない日々を与えていた。
一言で言えば……
『つまらない』
だった。問題の隣に答えがあるクイズに興味を持たないのと同様で、日々は退屈だった。だが、ある噂を聞きつけた。その噂とは、『微妙な実力しかない人が集まるパーティがある』だった。
その噂に興味を持ち、自前の情報収集能力でそのパーティがギルドに良く行くとわかり、すぐ向かっていた。同じ街にいたので、時間も掛からずに、目的のギルドへ着きーーーーーーーー出会った。
名前しか見れない男に。
そのことに驚愕するアルだったが、その未知なる存在に惹かれていった。アルはその感情を恋だと見出し、パーティに入りたいと思った。
そして、その行動はすぐに実行へ移していた。
「あぁ、知りたいわ! 旦那様のこと、教えて下さらないかしら♡」
「おい」
「さっきの武器、鎖鎌を使っているなんて、珍しい戦い方をするのですよね!?」
「いいからーー」
「あ、一番気になるのは、後ろにいる女性の関係ですね。愛人なのかしら?」
「話をーー」
「どう、私を入れて頂けるかしら?」
「もういい……、鉄女と同じ話を聞かない奴だと理解したよ……。パーティのことは好きにしろ」
「ええっ!?」
「私には試練を課したのに、この女性はすぐ入れるのかよ!? 胸か? 胸で決めたのか!?」
哲也は諦めていた。というか、疲れた。すぐに話を切るためにパーティへ加入を認めた。何故、微妙で変な女性ばかり集まるんだと思いつつ、カレルとエリラからの言葉を聞き逃していた。
言っておくが、カレルとエリラの一部は慎ましい。アルはその倍以上はあり、2人などは勝負にならなかった。
「はぁ、帰りたい……」
誰も羨むような状況に、疲れていた哲也はすぐ帰りたいと願うのだった…………




