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影勇者の魔王殺し  作者: 勇者
長いプロローグ
18/25

影勇者は魔族と戦闘する

 ゾーラが敵に斬りかかる。太刀筋は正直カインよりうまい。だがそれも敵には当たらない。途中で剣が弾かれる。それは剣だけではない。俺の放つ黒と白の魔弾もそうだ。全て弾かれる。


「ゾーラ、大剣で糸を切れないってダサすぎるな」


「黙れシュウヤ、糸と糸の間にその魔弾を通せないお前が言うな」


 お互い攻撃が当たらなくてイライラしている。それは俺もゾーラも知っている。だからこそ言い合いをしてストレスを発散させているのだ。


「意外と見えない糸ってのは厄介だな」


 結構服が切られている。地道に攻撃を受けている証拠だ。ゾーラにおいては血が出ている。ゾーラは俺と違って近接戦闘。よく動くから仕掛けられている糸の餌食になる。だからこそゾーラは今かなりキツそうだ。口では大丈夫そうだが体は大丈夫ではない。


「ゾーラ、変われ。俺が近接戦闘をする」


「オレはまだやれるぞ」


「言い方が間違った。邪魔だ消えろ。足手まといだ。死なれても困るんだよ。まだこの国にきた目的を果たせてないしな」


 ゾーラもバカではなく自分の体がズタボロなのは知っている。だから大人しく退いてくれた。物分かりの良いやつだ。王になれた理由が分かるな。


「レイティア」


『そんなのでいいの?』


 武器の形状を頭に思い浮かべた。するとレイティアからの返事は破れるかどうかという疑問が返ってくる。


「ああ、破れる」


『頑張ってね』


 レイティアが言って武器が変わる。一本の漆黒の槍。長さはちょうど2mだ。


「いくぞ。俺の動きについてこれるかな」


「バカにするな人間。あの時は油断しただk………」


 敵の声が止まった。気付いたのだろう。俺が音速で動いて糸を攻撃したことに。

 パンッ、と音がするのは俺が攻撃をし終えた後、その様子を見ているゾーラも心も驚いている。まるで初めて戦車と戦った歩兵みたいだ。


「どうした。俺はただ魔力による身体の強化をあの時の50から90に上げただけだぞ」


 めちゃくちゃだ。そんなことを言いたそうな顔で敵は見てくる。その言葉に残りの10はどうしてるんだと言いたそうなゾーラ、もちろん体の防御に使っている。


「クソっ、舐めるなあァァ!!!」


 敵が言うと同時に体が切られた。だが切られたのは薄皮程度だ。今ので糸が全て攻撃に使われた。つまりがら空き。ザル警備だ。


 俺は漆黒の槍を投げた。魔力を込めれるだけ込めて思いきり投げた。槍は敵の肩を貫通する。それだけでは甘いと考える俺は音速で動いて敵の背後へ回る。回る途中にもちろん槍を回収した。


「レイティア」


『シュウヤの考えていることはわかる』


 思い浮かべるより早くレイティアが言うと両手に漆黒と白銀の銃が握られていた。


「|魔を裁く漆黒と白銀の断罪者ジャッジメント


 必殺技を零距離で放つ。それにより敵に大穴が空いた。


「やったか!?」


 ゾーラからの声。だがまだやれていないらしい。大穴が空いた状態でも生きている指を動かし糸を作動させ、俺の左腕を切り落とした。

 そんな様子を見ていた心は悲鳴をあげ、その隣にいるゾーラはうるさそうに耳を塞いでいる。


「おいおい、ゴキブリだって大穴開けたら死んだぞ。生命力どうなってんだよ」


 出血は切られたときだけで、今は血を循環させて出血を抑えている。


「人間の分際でぇ! この僕に……許さない許さない許さない許さない許さない許さない!!!!」


 ついに敵は精神が異常になってしまった。イカれている。そうとしか思えない。だって見境なく辺りを破壊しているんだぜ。イカれている以外に何と言う。


「ゾーラ、もう切り札(ジョーカー)を使う。俺の今日最後の大技だ。城が破壊されるが仕方ないだろ。本来は1つの世界を終わらせられるらしい(・・・)しな」


「「『切り札?』」」


 ゾーラ、レイティア、心が同時に言う。


「ああ、あまり撃たなかったから威力は少ないがな。まあ城が破壊される。と言っても半壊で済む」


「何だその切り札は?」


 ゾーラからの質問があったから銃を置き、ポケットから懐中時計を取り出す。


「これが俺の『魔術兵装』だ。《|永遠に訪れぬ終わり》《エンドレス》」


 紹介とともに発動する。二つのあり得ない現象が起きる。

 まず1つ目は俺の左腕がいつの間にか引っ付いていて、所々切られた服も治っている。それはゾーラも同じだ。体の傷と服が治っている。まるで何事も無かったように。といってもそんな虚構にするよな能力ではない。

 二つ目は|魔を裁く漆黒と白銀の制限なき断罪者オーバーリミット・ジャッジメントが上から降ってきて敵と城を潰した。敵は消し炭すらも残らず、跡形もなく消え去り、城も大破した。それだけではなく細かい魔弾も降ってくる。

 そうして城は半壊し、降ってきた場所にはクレーターが空くことによって敵の排除……ゴミ掃除は終わった。


「何だ今の能力………一体どんな能力なんだ?」


 ゾーラが聞いてくるが「切り札ってのは隠すものだ」と返した。あれは決していってはならない。神に等しい能力。『巻き戻し』それが俺の魔術兵装(アーク・ドライブ)あらゆるもの時間を戻す。今回戻したものは俺、ゾーラ、撃って上に弾かれた魔弾全て。戻す速度も変えることができる。


「とりあえず、ここに来た目的を果たすか」


 ゾーラに銃口を向ける。その行動にゾーラは驚いている。ゾーラだけでなく心も驚いている。


「言っておくが俺は人を殺せる。機械の竜を俺側の国に送りつけたのはお前か? さっき潰した魔族の方か?」


「秋夜さん、結構優しいですね。ゾーラさん、これは秋夜さんからのチャンスですよ」


 心が言う。心は気付いたみたいだが今俺が言いたいのは「全て魔族がやったことにすれば潰さずに済む」だ。どうせここで許しても俺の力を見たらもう仕掛けてこないだろう。俺ともう一人勇者……しかも本物の勇者がまだいるのに戦争しようとも思わないだろう。


「強かったか?」


「一瞬にして結晶化したよ。まあ俺の制服を消されて腕も焼かれたがな」


「そうか。よし、ならお前の言葉に乗ろう。全て魔族がやったことだ」


「そうか。これでここに来た目的を果たした。グレイと合流して帰る」


 そう言ってレイティアを人の姿に戻し、歩こうとしたその時。


 ドシャンッッッッッ


 何かが城に当たった音がした。まあ何かは見たから分かった。傷だらけのナギ・パルディオスだ。飛ばされてきた方向を見ると無傷の飛んでいるグレイがいた。


「おいグレイ! 何やってんだ! もう終わっただろ!!!」


「そうなのか!? ふむ、言われてみれば………戦意が消えたような気が……」


 こいつ……戦意が消えたような気がした相手、しかも女性に強烈なのたたき込んだのかよ……最低だな。


「グレイ、帰るぞ。機械の竜をこちらに送ったのはあの魔族だ。そういうことにしたから帰る」


「シュウヤ、少し待て。まあそっちの年寄りだけでも良いが、二人いた方が安心だろう」


「?」


 よくわからない言葉でゾーラに呼び止められた。


「どういうことだ?」


「いやあ、助けられのは事実だしな。同盟を結べないかと思ってな。同盟国の勇者とオレとこちらの勇者で魔王の3柱のうち1柱を倒したとなったら名声が上がるぞ」


「グレイ、どうするんだ? 俺はどっちでも良いぞ。俺の名前ではなく颯天の名前を出させるけどな」


「………………………………………いいだろう。同盟を結んでやろう。その代わりシューヤの名の部分はソーマに変えよ。シューヤは我が国に属しているわけではなく、利害の一致で協力しているだけだからの。勇者とは遠い影勇者じゃ。ワシらのシューヤの扱いは慎重だ。主らも慎重に扱うのだ。敵に回すのは恐ろしすぎるからの」


「おい、何が慎重だよ。人使い荒いだろ。後、颯天だソーマじゃない」


「私はそれでも結ぶべきだと思います! ミームング魔術王国は強いですから」


 心が俺を無視して話を進める。さすがに無視されるのは嫌だな。


「同盟締結だ。これからよろしく」


 ゾーラがグレイに手を差しのべた。その手をグレイが握手するようにし、同盟が結ばれた。

 この世界の同盟の結び方はお互いに魔力を込めた手で握手をするだけだ。書類とかはない。握手するだけで同盟締結の魔法が発動する。無論王以外がしても意味はない。


「これからよろしくお願いします秋夜さん!」


 俺の手を取り握手をする心。こいつは弱そうに見えたがこの世界に順応している時点で強いな。頭も切れる。魔王に抵抗できた理由がわかる。同盟相手の勇者としてはなかなか良い。


「ああよろしく。颯天も喜ぶだろうな。同じ日本人がいるのだから」


「颯天さんってどんな人ですか?」


 もう帰りたいのに帰してくれない。仕方ないから言ってやることにした。


「憎たらしいほどのイケメン。俺の職業を知っても動じなかった良いやつだ。たった一人の友達だな」


 言っていて思うが恥ずかしいな。俺の性に合わない。


「秋夜さんの職業?」


 心が首をかしげて言う。しまったやってしまった。


「職業ってのはな……ええと」


 どう誤魔化すか……


「殺し屋らしいわ。今シュウヤの記憶を辿った」


 レイティア……………ばらすなよ…ほうら、もう顔引き吊ってる。


「そんな職業本当にあったんですね…………」


「シュウヤの過去結構面白いわよ」


「もう黙ってくれ。帰る。疲れた。旅に出よう」


 どうせ旅なんて出ないだろうなと思いながらフラフラ去っていく。心からの視線を浴びながら。





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