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影勇者の魔王殺し  作者: 勇者
長いプロローグ
19/25

影勇者は決意する

 さて、エピローグ的に締まりたいんだが流石にそう上手くいく筈がない。だからザッとあの後をまとめようと思う。


 まずあの後グレイとレイティアをほって一人で帰ったんだが盗賊に襲われて逆に金が増えた。

 やっとの思いで俺のとっている宿に着くとエリナが沸いていたから逃げた。途中で同じ《ドラゴンジュエル》の魔導師と会って定期的に依頼を受けないと追放されることを知り、明日からは頑張ろうと思った。無職のおっさんの考えることだな。


 まあ新しく宿を取り、大人しく疲れを癒しているとどこからか颯天が現れて勝負になって軽く捻り潰したりした。その時のやられた声が「べにゅっ」とかで気持ち悪かった。気絶した颯天を城まで送り届けるとチビ巫女が怒鳴り付けたり、いつの間にか颯天を囲むハーレムが結成されていたり、俺とグレイが不在の時に魔王軍が攻めてきたらしく、それを元帥の指揮の下、颯天が敵将のオーガリザードマンを倒したらしい。すばらしい成長速度だ。やはりあの時逃がして正解だったな。


 ついでだし王の間へ行くとやはりグレイは先に帰ってきていた。まあグロウヴィルから帰るのに一週間かかったしな。どうせグレイは徒歩ではなく馬だし当たり前か。とりあえず報酬を貰い、今後の俺の方針を伝えて出ていった。


 あの魔族討伐から一週間が経ち、グロウヴィル帝国はかなり直ってきているらしい。城の半壊は兵器の試し撃ちでなったとかでおさまったらしい。操られていた兵士は自殺しようとしたらしいが全力でゾーラと心が止めたらしい。

 え、こんな話を誰に聞いたって? レイティアです。ずっと俺をネタにして心と話しつつ滞在していたらしいです。次に心に会う時どういう顔をすればいいのかわからなくなりました。


 さらに一ヶ月後、ようやく同盟を発表。もちろん活躍の件は重要な人物しか本当のことが分からないようになっている。どういうわけかは颯天も聞いているので、面倒なことは起きないだろう。

 その時心と会ったんだが普通に話せた。あの時は余裕で引いてたのにな。まあよかった。

 ああ、颯天と心の対面だがどちらもなぜか緊張していた。よって『心が颯天のハーレムに入るかどうか』の颯天以外の城中の男達の賭けで『入る』に賭けていた俺は大損をしそうだ。頑張れ颯天。俺は心を落とすのを期待しているぞ。ちなみに賭けにはグレイも参加している。やつは『入らない』に賭けていた。あいつに負けるのは嫌だ。どんな手を使ってでも心と颯天をくっつけようと心に誓った。


 ギルドの依頼が終わった後、ギルドへ報告しに戻り、終わるといつも通り図書館へ引きこもり、この世界の色々な知識を蓄える。後にこの調べたことを颯天に話すことになるから半端な知識じゃダメだ。

 王城の書斎に行きたいのだがどうも俺は一部に嫌われているようだから読んでいる最中に邪魔が入って身に入らない。だから行かないようにしている。一度ダメ元でそいつらを始末していいかどうかグレイに聞いたが案の定無理だった。


 で、どんどん時が過ぎてさらに2週間後、グロウヴィル帝国とミームング魔術王国の重役会議が行われた。その時に出席していたのはグロウヴィルの方はゾーラ、心、カイン、見たことのない痩せ細った中年、白衣を着たテンパのおっさん。

 ミームング側は、グレイ、颯天、ディアベルという元帥、チビ巫女、エドワードという宰相だ。ちなみに俺は《ドラゴンジュエル》のBランク魔導師として会議場の警備をした。だって俺は脇役だしな。その際暗殺者が三人来たが後処理が面倒なため、他のメンバーに気づかれる前に殺し、埋葬した。流石にエリナにはバレたが黙っていてくれるようだ。





「にしても色々あったなあ。ここに来て大分常識が変わった。そうは思わないか?」


 俺は喫茶店でコーヒーもどきを飲みながら隣に座っている颯天と心に聞いた。ああ、今勇者だけでフリートークしている。


「そうか? 俺はいつも通り「女と遊んでいた」違うわ! 飯食って勉強して寝る。を繰り返してただけ!」


 ちなみに今勉強と言っていたが訓練のことだ。


「私は変わりましたよ。一番の変化はやる気ですね。元の世界じゃあこんなやりがいのある仕事無かったですし、充実してる気分です」


「ふむ、で、だ。お前らは元の世界に戻りたいか?」


「「もちろん(です)!」」


「今から言うことは適当に流してくれ。

俺は数々の文献や魔導書を読んできた。召喚する方法は載ってあったがこちらから送還する方法は無かった。もしかすると帰られないかもしれない。まあ俺の憶測、推理だがな」


 言葉を言い終えると二人とも表情が曇った。流してくれと言ったがやはり流せなかったのだろう。


「そういえば今って何月ですか?」


 心が口を開いた。話も変えている。


「二月だけどどうしたの?」


 颯天が言った。今って二月なのか…初めて知った。


「ええと、お二人は学校とかには行かないんですか?」


「だって専属の家庭教師の秋夜がいるし」


「俺はギルドのBランクの魔導師だぞ? 行く必要がない。行くとしても依頼だな。学校より図書館の方が有意義に過ごせる」


「もしかして行かされている私は負け組!?」


 ショックを受けたような顔になった心に必死で颯天がフォローした。


「そんなことないと思うよ。だって結局は俺も秋夜に教えてもらってるわけだしさ。秋夜が勝ち組なだけ。俺らは今は負けておいていずれ勝てばいいさ」


「颯天、俺に勝つのは今の成長速度だと13年と7ヶ月必要だぞ」


「そんな……馬鹿な…………」


 今度は颯天がショックを受けた顔をした。それを心がフォロー。


「大丈夫ですよ!………………………多分」


「多分!?」


「だって秋夜さんに颯天さんが勝っている姿を想像できませんでしたし……………すいません」


「謝られた!? 酷いっ、追い討ちが来たよ!」


 颯天が何とも言えないような顔をしている。また、心は颯天の反応を見て笑っている。そして、俺の行きつけであるこの店の店主には鬼の形相で睨まれている。静かさが売りのこの喫茶店が騒がしくなったからだろうか。どうせ客なんて早々来ないだろうに。俺来るときいっつもすっからかんだぞ。


「じゃあ俺は抜けさせて貰う。そろそろ依頼人と会わなくちゃいけない。金はおいておくから楽しんでくれ」


 そう言って3ギルを置いていく。ちなみに3ギルは元の世界での3万、ギニーという単位もあるが千だ。


 まあこんな感じでこの世界に来て4ヶ月を過ごした。だがこんなのただのプロローグだ。これからが本番。だってそうだろ? まだ魔王と戦ってないんだ。これから戦わないとな。考えただけでもワクワクする。絶対に俺の手で殺してやる。


 心に決めて歩いていく。新たな事件の渦へ……




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