45 骨霊将、スキルを得る
進化の光が消えたあと、
家の中には、焚き火のぱちりと弾ける音だけが残った。
レイセルはゆっくりと拳を握る。
骨の指先に、淡い青白い光が揺れた。
〈レイセル〉
「……これが、俺の力」
セリシアが静かに頷く。
〈セリシア〉
「では、ステータスを確認しましょう」
指先が空をなぞると、
淡い魔法陣がレイセルの前に浮かび、
文字がゆっくりと形を成していく。
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【種族】リッチジェネラル
【レベル】1
【魔力】0
【体力】1500
【敏捷】1000
【知力】1000
【力】測定不能
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リリが目を丸くした。
〈リリ〉
「す、すご……! めちゃくちゃ上がってます!」
その声に、セリシアが小さく微笑む。
驚きに浮いた空気を、静かに落ち着かせるように。
〈セリシア〉
「レイセル様は、進化によってランクAの魔物に到達しました。
この程度の上昇は、むしろ“標準”と言えるでしょう」
〈リリ〉
「えっ!これで“普通”なんですか?」
〈セリシア〉
「ランクAの魔物は、存在するだけで討伐対象として扱われる領域です。
体力も知力も、桁が一つ変わるのが一般的ですね」
リリはぽかんと口を開けたまま、
レイセルとステータスを交互に見比べた。
レイセルは数字を見つめながらも、
胸の奥で脈打つ“何か”から目をそらせなかった。
それは力というより、もっと深い──魂の震えに近い。
セリシアが続ける。
〈セリシア〉
「スキルも確認しましょう」
魔法陣が静かに切り替わる。
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【スキル】
・影潜
・死者の軍団
・魂視
・魂交話 ←NEW
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〈リリ〉
「……魂交話?」
セリシアは小さく息を整え、説明を始めた。
〈セリシア〉
「魂と“会話”する力です。
ネクロマンサーとしての基本……ですが、
扱いは決して簡単ではありません」
レイセルの眼窩がわずかに揺れる。
〈レイセル〉
「魂の声が……聞こえるようになるのか」
セリシアはそっと膝をつき、
レイセルの眼窩をまっすぐに見上げた。
〈セリシア〉
「はい。
ですが──魂はただ聞こえるだけでは意味がありません。
“聞き方”を誤れば、あなたを傷つけることもある」
焚き火の光が、彼女の横顔を淡く照らす。
〈セリシア〉
「魂は未練、怒り、悲しみ……
あらゆる感情の塊です。
それを受け止めるには、技術と覚悟が必要なのです」
リリが不安げにレイセルの腕を掴む。
〈リリ〉
「レイセル様……大丈夫、ですよね?」
レイセルは静かに頷いた。
〈レイセル〉
「大丈夫だ。
魂の声を……無視したくない」
その言葉に、セリシアは柔らかく微笑む。
〈セリシア〉
「では──魂との会話の“第一歩”をお教えします」
焚き火の影がゆっくりと伸び、
家の中に静かな気配が満ちていく。
レイセルの進化は、ただの強化ではない。
魂と向き合う力。
救えなかった者たちと、もう一度向き合うための力。
その始まりだった。




