41 骨騎士、気持ち新たに
闘技場を離れ、レイセルとリリは崖上の待機地点へ向かった。
足元の影には、七体の獣人スケルトンが静かに潜んでいる。
崖の上に近づくと──
ガオランがこちらに気づき、勢いよく立ち上がった。
〈ガオラン〉
「レイセル!リリ!無事か!」
レイセルは短く頷く。
〈レイセル〉
「ああ。獣人たちは……救えた」
ガオランの肩がわずかに震えた。
安堵と、まだ消えない不安が混ざった震えだ。
〈ガオラン〉
「……そうか……よかった……
ラナは……ラナはいたのか……?」
レイセルは静かに首を振る。
〈レイセル〉
「……闘技場にはいなかった。
だが、まだ希望はある。
“ドラガン商会”が関わっているらしい」
ガオランの表情が強張る。
〈ガオラン〉
「ドラガン商会……? そいつらがラナを……」
リリがそっと口を開いた。
〈リリ〉
「ガオランさん、落ち着いてください。
レイセル様の影の中に……仲間が増えましたから」
〈ガオラン〉
「……仲間?」
レイセルは足元の影を軽く踏む。
影が揺れ、七つの気配がふわりと浮かび上がった。
〈狼人スケルトン〉
「……おっ!獣人の仲間がいたのか」
〈虎人スケルトン〉
「……俺たち、レイセルの群れになったんだ」
ガオランは目を見開いた。
〈ガオラン〉
「お、お前ら……!
生きて……いや……死んで……いや……どっちだ……?」
レイセルは短く説明する。
〈レイセル〉
「……自分達で選んだ。
檻の中で死ぬより、戦う道を。
俺のスキルでスケルトンになったが……意思はそのままだ」
ガオランの喉がかすかに鳴る。
驚きと、誇りと、痛みが混ざった音。
〈ガオラン〉
「……そんなスキルがあるのか……」
影の中から、骨が軋む音が返ってくる。
〈スケルトン達〉
「……ああ。姿は変わっても、魂は獣人のままだ」
リリが補足するように微笑む。
〈リリ〉
「えっと……レイセル様の群れになったので、
影潜が使えるようになったんです。
だから、影の中に入って移動できるんですよ」
ガオランは呆然としながらも、
影の中の仲間たちに向かって小さく笑った。
〈ガオラン〉
「……そうか……
お前ら……一緒に戦えるんだな……」
レイセルはガオランの肩に手を置いた。
〈レイセル〉
「ガオラン。
フォレストリア王国のドラガン商会に行こう。
ラナの手がかりも、そこにあるはずだ」
ガオランは強く頷いた。
〈ガオラン〉
「……行こう。
ラナ……必ず助けるからな」
リリが尻尾を揺らしながら微笑む。
〈リリ〉
「じゃあ、引き続きフォレストリア王国に向けて行きましょう!」
レイセルは影を引き連れ、
三人と七体の群れは、夜の森へと歩き出した。




