37 骨騎士、死者の軍団を得る
レイセルは二体の魔物に追い詰められていた。
その時──
鉄格子の奥から、
かすれた声が響いた。
〈獣人〉
「……やめろ……!」
レイセルも魔物使いも、そちらを見る。
片目の腫れた狼人が、
壁に手をつきながら立ち上がっていた。
〈狼人〉
「……あんた……一人で戦うな……
俺たちも……戦う……!」
その声に、別の獣人が続く。
〈虎人〉
「……俺も……まだ……折れてねぇ……!」
〈若い獣人〉
「戦わせてくれ……! 死ぬなら……戦って死にたい……!」
次々と、
折れていない心を持つ獣人たちが立ち上がる。
リリは両手をぎゅっと握りしめながら獣人たちを見つめていた。
〈リリ〉
「……レイセル様……
あの人たち……まだ心が折れてません……
すごいです……ほんとに……」
レイセルは驚いたように彼らを見る。
その瞬間──
レイセルの視界に、
淡い光が走った。
空中に、見たことのない魔法陣が浮かび上がる。
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エクストラスキル獲得条件達成
『死者の軍団』
望む者をスケルトン化し、自らの群れとする
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レイセルの胸の奥で、
何かが“カチリ”と噛み合った。
〈レイセル〉
「……望む者を……スケルトン化……」
鉄格子の向こうで、獣人たちが叫ぶ。
〈獣人たち〉
「戦わせてくれ!!」
「俺たちを……使ってくれ!!」
「このまま死ぬくらいなら……あんたの力になる!!」
レイセルはゆっくりと手を伸ばす。
〈レイセル〉
「肉も、血も……今のお前たちの姿も失う。
それでも……俺の群れになるか」
一瞬の静寂。
だが──
次の瞬間、狼人が笑った。
〈狼人〉
「……はっ……今さらだろ」
腫れた目のまま、まっすぐレイセルを見る。
〈狼人〉
「このまま檻の中で死ぬか、
誰かの見世物で終わるか──」
壁に手をつきながら、踏み出す。
〈狼人〉
「それなら……自分で選んで死ぬ方がいい」
虎人が低く唸る。
〈虎人〉
「いや……違うな」
ゆっくりと顔を上げる。
〈虎人〉
「死ぬんじゃねぇ。“戦う”んだ」
若い獣人が震える声で続く。
〈若い獣人〉
「……怖いけど……それでも……」
拳を握りしめる。
〈若い獣人〉
「何もせず終わるのは……もっと嫌だ……!」
やがて──
誰かが、手を上げた。
それを合図にするように、
次々と手が上がる。
〈獣人たち〉
「やれ!!」
「使え!!」
「俺たちは……まだ終わってねぇ!!」
レイセルは、その光景を見つめる。
そして、静かに頷いた。
〈レイセル〉
「……わかった」
レイセルはスキル“死者の軍団”を発動する。
〈レイセル〉
「なら来い。
その意思ごと──俺が背負う」
魔法陣が輝き、
鉄格子の中の獣人たちの体が淡い光に包まれる。
肉体が崩れ、
骨が組み上がり、
新たな形へと変わっていく。
──スケルトン化。
だがその眼窩には、
確かな意志の光が宿っていた。
リリはそっと目を細めた。
〈リリ〉
「……レイセル様……
背負ってあげてください……
“自分で選んだ人たち”ですから……」
〈スケルトン化した狼人〉
「……行くぞ……!」
〈レイセル〉
「……ああ。
ここからは、一緒に戦おう」
獣人スケルトンの群れが立ち上がり、
レイセルの背後に並ぶ。
魔物使いの顔が引きつった。
〈魔物使い〉
「な、なんだ……そのスキルは……!」
レイセルは静かに言った。
〈レイセル〉
「……死者の軍団。
お前のような恐怖による支配とは違う。
これは──俺たちの“意思”だ」
影が揺れ、
スケルトンの群れが一斉に前へ踏み出した。




