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34 骨騎士、闘技場の闇に潜る

レイセルとリリが戻ると、ガオランは険しい顔で二人を迎えた。


〈ガオラン〉

「無事だったか!何か分かったか?」


レイセルは短く答える。


〈レイセル〉

「獣人が闘技場で“使われている”らしい。

 ……死ななければ、何度でも」


ガオランの拳が震えた。

その横で、リリは不安げに尻尾を巻き込む。


〈ガオラン〉

「……ラナも、そこにいるかもしれない……」


〈レイセル〉

「……それはわからない。

 今から獣人を助けに行く」


ガオランは拳を握りしめ、気持ちを押し殺す。


〈ガオラン〉

「……頼む。

 仲間を助けてくれ」


レイセルは頷き、闘技場の方角を見た。


〈レイセル〉

「……どれだけの警備兵や衛兵がいるかわからない」


リリが不安げに尻尾を揺らす。


〈リリ〉

「じゃあ……どうしますか……?」


レイセルは迷いなく言った。


〈レイセル〉

「影潜を使って潜入しよう。

 まずは獣人がどこに閉じ込められているか調べる」


ガオランは深く息を吐き、二人を見つめた。


〈ガオラン〉

「……俺は足手纏いになる……ここで待つ。

 レイセル……頼んだぞ」


レイセルは静かに頷き、リリに視線を向ける。


〈レイセル〉

「リリ、お前も来い。

 俺一人では見落とすものがある」


リリは驚き、そして強く頷いた。


〈リリ〉

「はいっ……!

 レイセル様と一緒に行きます!」


レイセルは闇を見据えた。


〈レイセル〉

「……行くぞ。

 夜の闘技場は、影が深い」


そして二人は、

闘技場の裏路地へと向かった──。


闇が深く落ちたハンターヴィルの裏路地。

レイセルはリリに視線を向けた。


〈レイセル〉

「……まずは獣人がどこに閉じ込められているか調べるぞ」


リリは緊張しながらも頷く。


〈リリ〉

「わかりました……!

 私も一緒に行きます。絶対に離れませんから」


レイセルは影に沈む前に、短く言った。


〈レイセル〉

「リリ、俺に触れていろ。

 お前の大きさなら一緒に潜れるはずだ」


〈リリ〉

「は、はいっ!」


リリがそっとレイセルの肩に手を置いた瞬間──

影が波紋のように揺れ、二人は闇へと沈んだ。


世界が再び裏返る。

色が消え、音が薄れ、すべてが“膜越し”のように遠くなる。


リリは影の中で息を呑んだ。


〈リリ〉

「……すご……こんな世界が……」


〈レイセル〉

「声を抑えろ。

 影の中でも、魔力感知を持つ者には気配が漏れる」


リリは慌てて口を押さえ、小さく頷いた。


レイセルの影は滑るように移動し、

闘技場の外壁に落ちる巨大な影へと向かった。


その影は、異様に濃い。


〈レイセル〉

「……ここだ。地下に続く階段がある」


二人は影のまま階段を進んだ。


冷たい石の段を滑るように降りていくたび、

空気が重く、湿り気を帯びていく。


地下へ近づくほど──

血と鉄の匂いが濃くなる。


リリが小さく震えた。


〈リリ〉

「……レイセル様……この匂い……」


〈レイセル〉

「ああ。

 間違いない……“ここ”だ」


階段の最下段。

闘技場の地下へと続く、巨大な影が口を開けている。

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