表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/47

32 骨騎士、影に潜む

レイセルは静かに目を閉じ、

胸の奥に残るセレナの言葉を噛みしめた。


“あなたはスケルトンナイト、ランクCの魔物でしかない”


その現実は重い。

だが、逃げるつもりはなかった。


〈レイセル〉

「……スキル獲得」


魔力を集中させると、

淡い光が広がり、視界に魔法陣が浮かび上がる。


リリは緊張した面持ちで見守っていたが、明るい声を出した。


〈リリ〉

「レイセル様なら絶対いいスキル取れますよっ!

 ほら、魔物らしい戦い方の第一歩です!」


レイセルは魔法陣に手をかざした。


──────────────

使用可能魔力:500

獲得可能スキル一覧

・骨強化(50)

・魔力感知(80)

・影潜(300)

──────────────


〈レイセル〉

「リリ、影潜ってどんなスキルがわかるか?」


リリは少し悩んで答える。


〈リリ〉

「影潜……!

 確か自身の影に潜んだり、影のまま移動できるスキルですね!

 影潜にしますか?」


レイセルは静かに頷いた。


〈レイセル〉

「大国相手に正面から突っ込むのは愚かだ。

 なら──影で動く方がいい」


レイセルは“影潜”を選択する。


魔力が一気に吸い取られ、身体の奥が熱くなる。


──────────────

スキル獲得:影潜

魔力:200

──────────────


魔力が吸い取られた余韻が、骨の奥にじんわりと残っていた。

レイセルはゆっくりと拳を握り、開く。


〈レイセル〉

「……これが、“影潜”」


身体の輪郭が、わずかに揺らいだ気がした。

影が、呼吸をするように脈打つ。


リリが目を輝かせる。


〈リリ〉

「レイセル様、試してみましょう!

 影に入るって、どんな感じなんでしょうね……!」


レイセルは足元に落ちる自分の影を見つめた。

焚き火の明かりに揺れる黒い輪郭。


深く息を吸い──

影へと意識を沈める。


その瞬間。


世界が、裏返った。


音が消え、色が消え、

すべてが“薄膜越し”になったような静寂。


〈レイセル〉

「……これは……」


自分の身体が、影と同化していた。

輪郭は溶け、黒い液体のように地面へ沈んでいる。


リリの声が遠く聞こえた。


〈リリ〉

「レイセル様!? 消えちゃいました!?

 え、え、えっ……どこですかっ!?」


レイセルは影の中で動いてみた。

地面を滑るように、抵抗なく移動できる。


──速い。

──気配が消える。

──これなら、敵の背後にも回り込める。


〈レイセル〉

(……これが、魔物の戦い方か)


影の中から、レイセルはリリの足元へ移動した。

リリはきょろきょろと周囲を見回している。


〈レイセル〉

「リリ」


〈リリ〉

「ひゃあっ!? 足元から声がっ!?」


レイセルは影からゆっくりと浮かび上がった。

黒い液体が形を成し、骨の身体へ戻る。


リリは目を丸くして叫んだ。


〈リリ〉

「す、すごいですレイセル様!!

 本当に影から出てきましたよ!?

 これ、絶対強いです!!」


レイセルは静かに頷いた。


〈レイセル〉

「……確かに、これは使える。

 正面から戦う必要はない。

 影から動けば、敵は俺を捉えられない」


リリは嬉しそうに尻尾を揺らした。


〈リリ〉

「レイセル様、ついに“魔物らしい戦い方”ができるようになりましたね!」


レイセルは少しだけ目を伏せた。


〈レイセル〉

「ああ。

 勇者だった頃には、考えもしなかった戦い方だ」


影潜は、

“勇者レイセル”では決して選ばなかったスキル。


だが今のレイセルには、

“魔物として生きるための力”が必要だった。


〈レイセル〉

「これで、少しは戦えるな」


リリは笑顔で頷いた。


〈リリ〉

「はいっ!

 レイセル様は、もっともっと強くなれますよ!」


レイセルは影を見つめた。


その黒は、

かつての自分が恐れていた“魔物の力”そのもの。


だが今は──

その黒が、確かな武器に見えた。


焚き火の炎が揺れ、

レイセルの影が静かに伸びる。


その影は、

まるで新たな道を示すように、森の奥へと続いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ