表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/47

30 骨騎士、反省する

焚き火が小さく揺れ、夜の森に赤い光を落としていた。


ガオランは疲れ果て、丸太の上で眠っている。

その寝息は荒いが、どこか安心したようでもあった。


レイセルは少し離れた場所で、静かに自分のステータスを開いた。


──────────────

レベル:7

魔力:500

体力:900

敏捷:450

知力:400

力:測定不能

──────────────


〈レイセル〉

「……まだまだ俺は弱い。

 ミラージュでの戦いは……ただの勢いだった」


その時、背後から小さな声がした。


〈リリ〉

「レイセル様……」


振り返ると、リリがそっと近づいてきていた。

その表情は、いつもの明るさとは違う。


〈リリ〉

「セレナ様が……来るそうです」


〈レイセル〉

「……セレナが?」


言い終わるより早く、

焚き火の光がふっと揺れた。


淡い紫の魔法陣が地面に浮かび上がり、

その中心から黒いスーツ姿の女性が現れる。


魔王軍人事担当──サキュバスのセレナ。


〈セレナ〉

「……お久しぶりです、レイセル様」


その声は丁寧だが、

表情は一切笑っていなかった。


レイセルは立ち上がり、静かに問う。


〈レイセル〉

「どうかしたのか?」


セレナは一歩近づき、レイセルを見上げる。

その瞳は、冷静で、鋭く、そしてどこか心配げだった。


〈セレナ〉

「まずは……獣人たちを魔王軍へ勧誘してくださっていること、

 心から感謝します。

 あなたの行動は、魔王軍にとって大きな利益になっています」


リリが嬉しそうに胸を張る。


〈リリ〉

「レイセル様、褒められてますよ!」


だが、セレナの次の言葉は冷たかった。


〈セレナ〉

「──ですが、前回の戦い方は最悪でした」


レイセルは息を呑む。


〈レイセル〉

「…………」


セレナは淡々と続ける。


〈セレナ〉

「ミラージュ程度の街なら、

 あなたの“感情任せの突撃”でも通用したでしょう。

 しかし──」


彼女の声が低くなる。


〈セレナ〉

「フォレストリア王国は“大国”です。

 あなたが同じ戦い方をすれば……

 一瞬で殺されますよ、レイセル様」


リリが不安そうにレイセルの腕を掴む。


〈リリ〉

「レイセル様……」


セレナは続ける。


〈セレナ〉

「あなたはスケルトンナイト。

 ランクCの魔物でしかありません。

 ミラージュに強者がいなかったのは、ただの幸運でした」


レイセルは拳を握りしめた。


〈レイセル〉

「……分かっている……」


〈セレナ〉

「あなたは強くなっています。

 ですが、まだ“魔物としての戦い方”を知らない。

 勇者の頃の癖が抜けていません」


レイセルは目を伏せる。


確かに、ミラージュでは怒りのままに突っ込んだ。

あれは勇者だった頃の戦い方だ。


セレナは静かに言った。


〈セレナ〉

「もっと魔物らしく。

 もっと冷静に。

 もっと効率的に。

 感情任せだけで戦ってはいけません」


レイセルは深く頷いた。


〈レイセル〉

「……分かった。

 気をつける」


セレナは少しだけ表情を緩めた。


〈セレナ〉

「ええ。

 あなたが死んだら、魔王軍は困りますから」


そして、紫の魔法陣が再び広がる。


〈セレナ〉

「では──引き続き、期待していますよ。

 レイセル様」


光が弾け、セレナの姿は消えた。


静寂が戻る。


リリがそっとレイセルの手を握る。


〈リリ〉

「レイセル様……大丈夫ですか?」


レイセルは小さく息を吐いた。


〈レイセル〉

「……ああ。

 もっと強くならなければならない。

 魔物としても、魔王軍の一員としても」


焚き火の炎が揺れ、

レイセルの影が長く伸びる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ