28 骨騎士、魔王軍の仕事に勤しむ
森を抜けると、開けた土地に木造の家々が並ぶ村が見えた。
虎人と豹人が多く暮らす、獣人の村──ガールナ。
村の入り口には、鋭い眼光をした豹人の男が立っていた。
〈豹人の男〉
「……ガオランか! 無事だったのか!」
ガオランは駆け寄り、男の肩を掴む。
〈ガオラン〉
「村のみんなは……無事か!?」
豹人の男は苦しげに目を伏せた。
〈豹人の男〉
「……村長のところへ来てくれ。全部話す」
村の中央にある集会所。
白髪混じりの虎人──ガールナの村長が待っていた。
〈レオダ〉
「ガオラン……よく戻った。
そして、そちらの方々は……?」
レイセルが一歩前に出る。
〈レイセル〉
「魔王軍のレイセルだ。
ガオランを助け、ここまで共に来た」
リリが元気よく手を挙げる。
〈リリ〉
「私はリリです! レイセル様のサポート役です!」
村長は深く頷き、重い声で語り始めた。
〈村長〉
「ガオランを助けていただき感謝する。
ガールナは虎人と豹人が多く、戦闘力も高い。
そのため、盗賊どもも簡単には手を出せなかった」
ガオランは拳を握る。
〈ガオラン〉
「じゃあ……被害は……?」
村長は苦しげに首を振った。
〈村長〉
「大きな襲撃は防げた。
だが──お前のように
一人で狩りに出た者、畑に出た者を狙って攫われていた。
少しずつ、少しずつ……」
ガオランの表情が強張る。
〈ガオラン〉
「……そんな……」
村長は静かに告げた。
〈村長〉
「ガオラン……
お前の妹、ラナも攫われた。
数日前のことだ」
ガオランの目が大きく見開かれた。
〈ガオラン〉
「……ラナ……?
嘘だ……! あいつは強い……!
俺より速くて、俺より賢くて……!」
ガオランは膝をつき、地面を殴った。
〈ガオラン〉
「くそっ……! なんで……なんで守れなかった……!」
リリがそっと寄り添う。
〈リリ〉
「ガオランさん……」
村長はガオランの肩に手を置いた。
〈村長〉
「責めるな。
奴らは狙っていた。
強い獣人ほど、高く売れるからな……」
レイセルの目が細くなる。
〈レイセル〉
「……フォレストリア王国だな」
ガオランは顔を上げ、レイセルを見つめた。
〈ガオラン〉
「レイセル……頼む……!
俺を連れて行ってくれ!
ラナを……妹を助けたい!」
レイセルは静かに問いかけた。
〈レイセル〉
「死ぬ覚悟はあるか?」
ガオランは迷わず答えた。
〈ガオラン〉
「ある。
唯一の家族だ。
ラナのためなら……俺は死ねる」
レイセルは短く頷いた。
〈レイセル〉
「……分かった。
一緒に来い」
ガオランの目に光が戻る。
〈ガオラン〉
「……ありがとう……!」
〈レイセル〉
「村長。我々がここに来たのは……」
レイセルは魔王軍が獣人を保護していることを伝え、ガールナ村の村民も受ける意思があるか尋ねる。
村長はこの地を離れることに難色を示したが、ガオランとリリの説得により、魔王軍の保護を受けることを決めた。
リリが村長へ向き直る。
〈リリ〉
「村長さん!
魔王軍が迎えに来るまで、ここで待っててください!
ガールナの皆さんは、魔王軍が保護します!」
ガールナの村長は深く頭を下げた。
〈村長〉
「……感謝する。
どうか、ガオランと……攫われた村民を……」
レイセルは村長に向かって静かに言った。
〈レイセル〉
「必ず助ける」
夜の森へ向かう三人。
ガオランは拳を握りしめ、前を見据える。
〈ガオラン〉
「ラナ……待ってろ……!」
リリはレイセルの肩で翼を震わせる。
〈リリ〉
「レイセル様、絶対助けましょうね!」
レイセルは静かに頷いた。
〈レイセル〉
「ああ。
フォレストリア王国へ向かう」
三人の影が、月明かりの森へと消えていった。




