27 骨騎士、ミラージュの闇を越えて
レイセルとリリは、静まり返った地下牢を後にした。
階段を上がるたびに、胸の奥が重く沈んでいく。
湖畔の草むらへ戻ると、ガオランが駆け寄ってきた。
〈ガオラン〉
「レイセル! どうだった……仲間は……?」
レイセルは短く息を吐き、静かに答えた。
〈レイセル〉
「……生きていた者は、魂だけ救済した。
肉体は……もう助からなかった」
ガオランの拳が震える。
〈ガオラン〉
「そんな……! あいつらは……あんなに頑張って……!」
リリも目を伏せる。
〈リリ〉
「ネクロマンサーのセリシアさんが……全部連れていってくれました。
苦しみからは、もう解放されました……」
ガオランは歯を食いしばり、地面を殴った。
〈ガオラン〉
「くそっ……! 俺がもっと早く逃げて、助けを呼べていれば……!」
だが、次の瞬間──
ガオランの表情が変わった。
〈ガオラン〉
「……いや、待て。
おかしい……」
レイセルが顔を上げる。
〈レイセル〉
「どうした」
ガオランは震える声で続けた。
〈ガオラン〉
「俺が捕まっていた時……
地下には、もっと元気な獣人がたくさんいたんだ。
動ける者も……」
リリが息を呑む。
〈リリ〉
「でも……地下にはもう……」
レイセルの目が細くなる。
〈レイセル〉
「……どこへ行った」
ガオランは拳を握りしめた。
〈ガオラン〉
「フォレストリア王国に連れて行かれたんだ。
あいつらは“売れる獣人”から順に、王国へ送られていた。
俺が脱走したから残りを一気に送ったんだろう」
リリが震える声で言う。
〈リリ〉
「じゃあ……まだ生きてる獣人が……!」
〈ガオラン〉
「王国にいる可能性が高いはずだ。
ミラージュは……ただの中継地点だ」
レイセルは静かに立ち上がった。
〈レイセル〉
「……行くぞ」
〈ガオラン〉
「どこへ……?」
〈レイセル〉
「フォレストリア王国だ。
まだ生きている獣人を助ける」
リリが力強く頷く。
〈リリ〉
「レイセル様なら絶対助けられます!」
レイセルは、ガオランの方へ向き直った。
〈レイセル〉
「その前に──
お前の村、ガールナへ行こう」
ガオランは目を見開く。
〈ガオラン〉
「ガールナに……?」
〈レイセル〉
「ああ。
お前の村も、危険に晒されている可能性がある。
希望するなら、魔王軍が保護する」
ガオランはしばらく黙り、
やがて深く頭を下げた。
〈ガオラン〉
「……頼む。
ガールナの皆を……守ってくれ」
レイセルは頷く。
〈レイセル〉
「行こう。
ガールナへ」
リリが翼を広げ、明るく叫ぶ。
〈リリ〉
「よーし! 次の目的地はガールナ村です!
レイセル様、ガオランさん、行きましょう!」
三人は夜の湖畔を離れ、
森の奥へと歩き出した。
ミラージュの闇は終わらない。
だが──
まだ救える命がある。
レイセルの旅は、
新たな目的地へ向かって進み始めた。




