25 骨騎士、絶望の牢を断つ
レイセルは建物へ向かって歩き出した。
その背中からは、熱を帯びた魔力が滲み出ている。
ガオランは思わず息を呑んだ。
〈ガオラン〉
「……レイセル、頼む……」
リリはレイセルの肩に乗りながら、小さく呟く。
〈リリ〉
「レイセル様……怒ってる……」
レイセルは答えない。
ただ、静かに、確実に歩を進める。
〈兵士A〉
「おい、誰だ──」
言い終わる前に、レイセルの姿が消えた。
次の瞬間、兵士たちは地面に倒れ伏していた。
何が起きたのか、誰も理解できていない。
〈兵士B〉
「な、なんだ……!? 見えな──」
レイセルの影が横を通り抜ける。
兵士はそのまま一刀両断された。
リリが肩の上で震える。
〈リリ〉
「レイセル様……速すぎます……!」
レイセルの声は低く、冷たい。
〈レイセル〉
「邪魔だ」
その一言だけで、空気が震えた。
扉を蹴り開けると、複数の盗賊と兵士が振り向いた。
〈盗賊A〉
「おい、スケルトンが──」
レイセルは返事をしない。
ただ、前へ進む。
聖剣が淡く光り、
その光が走るたびに、敵が次々と倒れていく。
〈盗賊B〉
「ひっ……! やめ──」
声が途切れる。
レイセルの動きは止まらない。
兵士が槍を構える。
〈兵士C〉
「囲め! 動きを止め──」
レイセルは一歩踏み込み、
その場の空気が一瞬で変わった。
鎧の重さを感じさせない速度。
骨の身体とは思えない力。
そして、怒りに燃える魔力。
兵士たちは次々と地面に崩れ落ちた。
リリは肩の上で目を見開いている。
〈リリ〉
「レイセル様……こんなに……」
レイセルは静かに答える。
〈レイセル〉
「……許せない」
その声は、震えていた。
階段の前に立つ兵士たちが、慌てて剣を構える。
〈兵士D〉
「止まれ! ここから先は──」
レイセルは無言で駆け抜けた。
兵士たちは反応する間もなく倒れ、
階段の奥へと続く道が開かれる。
リリが叫ぶ。
〈リリ〉
「レイセル様! 地下まで後わずかです!」
〈レイセル〉
「……ああ。
あの獣人たちを……これ以上苦しませない」
その声には、怒りと悲しみが混ざっていた。
最後の扉の前に、
盗賊の隊長らしき男が立ちはだかった。
〈隊長〉
「おいおい……スケルトン一体でここまで来たのかよ。
だがここは通さねぇ。
お貴族様の命令なんだよ。
獣人なんかただの奴隷だろ」
レイセルの力が爆ぜた。
〈レイセル〉
「黙れ」
その瞬間、隊長は壁に叩きつけられ、頭が弾け飛んだ。
リリが息を呑む。
〈リリ〉
「レイセル様……」
レイセルは扉に手をかける。
〈レイセル〉
「……今、助けるぞ」
扉が軋み、ゆっくりと開いていく。
その先には──
偵察で見た絶望の牢獄が広がっていた。




