22 骨騎士、偽りの楽園ミラージュへ
湖上都市ミラージュへ続く森道。
朝の光が木々の隙間から差し込み、静かな風が葉を揺らしていた。
その静寂を──
鋭い怒号が破った。
〈???〉
「うおおおおおっ!! 来いよ、人間ども!!」
〈盗賊〉
「クソッ、こいつ……! 獣人のくせに調子にのるなよ!」
レイセルとリリは顔を見合わせる。
〈リリ〉
「レイセル様! 前方で戦闘です!」
〈レイセル〉
「ああ、急ぐぞ」
鎧が鳴り、レイセルは駆け出した。
森を抜けると──
そこには、虎の獣人、虎人がいた。
大柄な体、橙色の毛並み、鋭い眼光。
両腕には縄の痕が残り、息を荒げながら盗賊たちと戦っている。
〈盗賊A〉
「早く縛れ!こんな上物、逃げられたら王国の奴らに殺される!」
〈虎人〉
「二度と……捕まるかよ!!」
だが、数が多い。
虎人は押され始めていた。
レイセルは迷わず聖剣を抜く。
〈レイセル〉
「リリ、援護する」
〈リリ〉
「はいっ!」
レイセルは地面を蹴り、盗賊の背後へ一気に踏み込む。
ザシュッ!
〈盗賊B〉
「ぐっ……!? な、なんだこいつ……!」
〈盗賊C〉
「スケルトン!? なんでこんな所に──」
レイセルは答えず、淡々と斬り伏せる。
虎人もその隙に拳を叩き込み、盗賊の一人を吹き飛ばした。
〈虎人〉
「助かった……! 恩に着る!」
静寂が戻る。
虎人は肩で息をしながら、レイセルたちを見た。
〈虎人〉
「……俺はガオラン。
近くのガールナ村で暮らしていた虎人だ」
レイセルは聖剣を収め、短く答える。
〈レイセル〉
「スケルトンのレイセルだ。魔王軍の者だ」
リリも慌てて翼をばたつかせながら前に出る。
〈リリ〉
「わ、私はリリです!
レイセル様のサポートをしてます!」
ガオランは二人を見て、少し驚いたように目を細めた。
〈ガオラン〉
「……魔王軍、か。
スケルトンが喋るとは思わなかったが……助かった。礼を言う」
レイセルは静かに頷く。
〈レイセル〉
「気にするな」
〈リリ〉
「ガオランさん、どうして盗賊に追われてたんですか?」
ガオランは悔しそうに牙を噛みしめた。
〈ガルオ〉
「……狩りに出ていたところを盗賊に襲われてな。
そのままミラージュに連れていかれた」
〈リリ〉
「ミラージュに……?」
ガオランは深く頷く。
〈ガオラン〉
「ミラージュは昔、人間と獣人が共に暮らす街だった。
だが今は違う。
獣人は捕らえられ、フォレストリア王国へ売られている」
レイセルの目が細くなる。
〈レイセル〉
「……やはり、そうか」
ガオランは続ける。
〈ガオラン〉
「俺は隙を見て逃げ出したが……追っ手に追いつかれた。
あいつらは“逃げた獣人は殺せ”と命じていた」
リリが震える声で尋ねる。
〈リリ〉
「ガオランさん……捕まった時、他に獣人はいましたか?」
ガオランは重く頷いた。
〈ガオラン〉
「……いた。
ミラージュの地下に、大勢の獣人が閉じ込められていた。
子どもも、女も、魔物も……」
リリの顔が青ざめる。
〈リリ〉
「そんな……!」
レイセルは静かに聖剣を握り直した。
〈レイセル〉
「ガオラン。案内はできるか?」
ガオランは驚いたように目を見開く。
〈ガオラン〉
「まさか……助けに行くつもりか?」
〈レイセル〉
「ああ。
ミラージュの地下に囚われている獣人を──
全員助け出す。」
ガオランは拳を震わせ、深く頭を下げた。
〈ガオラン〉
「……頼む。
俺一人じゃどうにもできなかった。
どうか、仲間たちを……」
レイセルは頷く。
〈レイセル〉
「任せろ。
ミラージュの闇を暴くぞ」
リリが翼を広げ、力強く叫ぶ。
〈リリ〉
「行きましょう、レイセル様!
ミラージュはもうすぐです!」
レイセル、リリ、ガオランの三人は──
湖上都市ミラージュへ向けて歩き出した。
その先に待つのは、
美しい湖の街と、
その地下に広がる“闇の牢獄”。
レイセルの戦いは、さらに深い闇へ踏み込んでいく。




