21 骨騎士、救済の始まり
朝の光が村を照らす。
焼け焦げた家々は痛々しいままだが、
獣人たちの表情には、昨夜よりもわずかな落ち着きが戻っていた。
レイセルとリリは、村の中央に向かう。
そこには──
白い毛並みの年老いた犬人、村長ガルドが待っていた。
〈ガルド〉
「……おはようございます、スケルトン殿」
〈レイセル〉
「ああ。話はまとまったか」
ガルドは深く頷いた。
〈ガルド〉
「はい。村の者たちと話し合いました。
……ウッドベルの住民は、魔王軍に入ることを決めました」
リリがぱっと顔を明るくする。
〈リリ〉
「本当ですかっ!? よかったぁ……!」
ガルドは静かに続ける。
〈ガルド〉
「わしらはもう、人間の国では生きていけません。
魔王軍が獣人を守るというのなら……
その庇護を受けたいと思います」
レイセルは頷いた。
〈レイセル〉
「……分かった。リリ、連絡を頼む」
リリは胸の前で手を合わせ、魔法陣を展開する。
〈リリ〉
「セレナ様に報告しますね!」
光が走り、リリの目がぱちりと開く。
〈リリ〉
「レイセル様、セレナ様から伝言です!」
〈レイセル〉
「なんだ」
リリは少し誇らしげに胸を張った。
〈リリ〉
「“ウッドベルの獣人は魔王軍領土で保護する。
迎えの部隊を送るので、村で待機させてほしい”
……とのことです!」
ガルドは深く頭を下げた。
〈ガルド〉
「……ありがたい。
魔王軍に守られる日が来るとは思いませんでした」
リリはさらに続ける。
〈リリ〉
「それともうひとつ!
“レイセル様へ。
今後も獣人や魔物を救助し、魔王軍に入る者がいれば
どんどん保護して構わない”
……だそうです!」
レイセルは静かに頷いた。
〈レイセル〉
「分かった。
人間から不当な扱いを受けている者を助けよう」
ガルドはレイセルの手を両手で包むように握った。
〈ガルド〉
「スケルトン殿……あなたは命の恩人です。
どうか、ミラージュでもお気をつけて」
〈レイセル〉
「ああ。必ずお前たちの仲間を助ける」
村の獣人たちが次々と集まり、レイセルに頭を下げた。
〈猫人の少女〉
「助けてくれて……ありがとう」
〈犬人の男〉
「ミラージュの奴らを……どうか頼む」
〈猫人の母親〉
「子どもたちを……取り戻してください」
レイセルは一人ひとりに頷き返す。
〈レイセル〉
「任せてくれ」
リリが翼を広げ、元気よく叫ぶ。
〈リリ〉
「じゃあ行きましょう、レイセル様!
ミラージュはもうすぐですよ!」
レイセルは村を振り返り、静かに言った。
〈レイセル〉
「……行くぞ」
鎧が鳴り、森の奥へと歩き出す。
ウッドベルの獣人たちが見送る中──
レイセルとリリは、湖上都市ミラージュへ向かった。




