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20 骨騎士、パーツを操る

ウッドベルの空き家。

夜の静けさが村を包み、外ではかすかに風が木を揺らしている。


レイセルは手をかざしかけて、ふと動きを止めた。


〈レイセル〉

「……待て」


〈リリ〉

「え? どうしました?」


〈レイセル〉

「スキルの獲得方法だが……これは、どうやる?」


リリはきょとんとした後、ぱっと表情を明るくした。


〈リリ〉

「なんだ、そこからですか! 簡単ですよ!」


小さな光の粒が、リリの周りにふわりと浮かぶ。


〈リリ〉

「まず、自分の中の“魔力”を意識してください。

 体の奥にある、あったかい塊みたいなやつです!」


〈レイセル〉

「……魔力」


言われるままに意識を内側へ向ける。


鎧の奥、骨のさらに奥。

確かに、淡く揺れる熱のようなものがあった。


〈リリ〉

「それそれ! それに“スキルを得る”って念じるだけです!

 そうすると、選べる一覧が出てきますから!」


〈レイセル〉

「念じるだけ、か。随分と簡単だな」


〈リリ〉

「まあ、難しいのは“選んだ後”ですけどねー」


レイセルは小さく頷く。


〈レイセル〉

「分かった。やってみる」


ゆっくりと手をかざし、意識を魔力へ集中させる。


〈レイセル〉

「スキル獲得」


淡い光が広がり、視界に魔法陣が浮かび上がった。


──────────────

使用可能魔力:120

獲得可能スキル一覧

・骨強化(50)

・魔力感知(80)

・遠隔操作(100)

──────────────


〈リリ〉

「おおっ! 出ました出ました! どれにします!?

 “骨強化”とか絶対レイセル様に合ってますよ!」


〈レイセル〉

「……いや」


レイセルの視線はひとつのスキルに吸い寄せられていた。


遠隔操作(100)

自分の骨を切り離し、魔力で操作する能力


一瞬、戦いの光景が頭をよぎる。


正面からぶつかるだけではない。

死角、隙、届かない位置――それらを埋める手段。


そして何より、この身体は“骨”でできている。


〈レイセル〉

「これだな」


〈リリ〉

「えっ、そっち!? なんか……怖くないですか!?」


〈レイセル〉

「スケルトンだからな。骨を使える方がいいだろ」


〈リリ〉

「そ、そういう理屈ですか……!」


レイセルは迷わず“遠隔操作”を選択した。


魔力が一気に吸い取られ、身体の奥が熱くなる。


──────────────

スキル獲得:遠隔操作

魔力:20

──────────────


〈レイセル〉

「……何か……感じる」


骨の内部で、何かが“繋がる”感覚が走った。


まるで、見えない糸が指先に結びつき、

自分の内側から外へと伸びていくような――

奇妙な一体感。


レイセルは右手をゆっくりと持ち上げ──

指を一本、軽く弾いた。


パキンッ。


指の骨が外れ、宙に浮いた。


〈リリ〉

「ひゃああああああああ!? 指が飛んだぁぁぁ!!」


だが、レイセルは落ち着いていた。


外れた指は、まるで生き物のように空中で回転し、

レイセルの意志に合わせて動く。


〈レイセル〉

「なるほど。こういう感覚か」


指は空中を滑るように移動し、

部屋の隅に置かれた木のコップを“つつく”。


コトッ。


〈リリ〉

「す、すご……! え、え、え、これ絶対便利ですよ!!

 偵察とか、鍵開けとか、あと……あと……!」


〈レイセル〉

「戦闘でも使えるな。

 相手の死角から攻撃できる」


レイセルは指を呼び戻し、骨を元の位置に戻す。


カチッ。


〈レイセル〉

「問題ない。完全に制御できる」


〈リリ〉

「レイセル様……元人間なのに、なんか……

 どんどん“スケルトンらしく”なってません……?」


〈レイセル〉

「褒め言葉として受け取っておく」


リリは頭を抱えながらも、どこか嬉しそうだった。


〈リリ〉

「でも、本当に強くなってますよ!

 これならミラージュでも絶対役に立ちます!」


レイセルは静かに頷いた。


〈レイセル〉

「明日、村長の返事を聞く。

 それからミラージュへ向かおう」


鎧の胸に手を当てる。


〈レイセル〉

「攫われた獣人を……必ず取り戻す」


外では、夜風が村の残骸を揺らしていた。


レイセルの旅は、確実に“戦い”へと向かっている。

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