19 骨騎士、村を救ってスカウトに励む
燃える家々の火がようやく弱まり、
村には焦げた木の匂いと、血の鉄臭さが残っていた。
レイセルは倒れていた獣人たちを助け起こし、
生存者を一箇所に集めていた。
その中に──
白い毛並みの年老いた犬人がいた。
〈老犬人〉
「……助けていただき、感謝します。
わしはここ、ウッドベルの村長、ガルドと申します」
〈レイセル〉
「村長か。無事でよかった」
ガルドは深く頭を下げた。
その背中は震えていたが、目だけは強かった。
〈ガルド〉
「……これまでの被害は甚大です。
男たちは多くが殺され、
女と子どもは……攫われました」
〈リリ〉
「そんな……」
ガルドは悔しそうに拳を握る。
〈ガルド〉
「最近、獣人の扱いがひどくなっておりましてな。
“奴隷として便利だ”とか、
“珍しいから高く売れる”とか……
人間の商人や盗賊が、獣人を狙うようになったのです」
〈レイセル〉
「……ミラージュに売られているらしいな」
ガルドは驚いたように目を見開く。
〈ガルド〉
「ご存じでしたか……。
湖上都市ミラージュは、表向きは平和な街ですが……
裏では獣人の売買が横行していると聞きます」
レイセルは静かに頷いた。
〈レイセル〉
「……村長。ひとつ提案がある」
〈ガルド〉
「……?」
レイセルはまっすぐに村長を見る。
〈レイセル〉
「魔王軍に入らないか?」
ガルドは目を丸くした。
〈ガルド〉
「ま、魔王軍……? わしらが……?」
〈レイセル〉
「俺たちは獣人や魔物の不当な扱いを止める任務を持っている。
お前たちが望むなら、保護出来るだろう。
もちろん強制はしない」
ガルドはしばらく黙り込んだ。
村の生存者たちも、不安そうに耳を動かしている。
〈ガルド〉
「……すぐには答えられません。
村の者たちと相談する時間をいただけますか」
〈レイセル〉
「ああ。急ぐ必要はない。
明日ミラージュに向けて発つ時に聞かせてくれ」
ガルドは深く頭を下げた。
〈ガルド〉
「ありがとうございます。
……空き家が一軒あります。
今夜はそこで休んでください」
レイセルは頷き、リリと共に案内された空き家へ向かった。
中は簡素だが、雨風はしのげる。
レイセルは鎧を少し緩め、床に腰を下ろした。
〈リリ〉
「レイセル様……今日は本当にお疲れさまでした……」
〈レイセル〉
「ああ。だが、まだ終わっていない」
レイセルは手をかざし、ステータスを確認する。
──────────────
レベル:3
魔力:120
体力:700
敏捷:400
知力:400
力:測定不能
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〈レイセル〉
「レベルが上がっているな。
……あと魔力も少し上がった。盗賊を倒した分か」
リリが横から覗き込む。
〈リリ〉
「スキル、取れるんじゃないですか!?
ほらほら、今のレイセル様なら絶対強いの取れますよ!」
レイセルは静かに頷いた。
〈レイセル〉
「そうだな。
進化した今、スキルを取るべきだ」
鎧の拳を握る。
〈レイセル〉
「明日、村長の返事を聞く。
その前に……力を整えておく必要がある」
リリは元気よく頷いた。
〈リリ〉
「はいっ! レイセル様の初スキル、楽しみです!」
レイセルは静かに目を閉じた。
明日、ウッドベルの未来が決まる。




