18 骨騎士、奪われし命を救う
湖上都市ミラージュへ向かう森道。
木々の隙間から、黒い煙が立ち上っていた。
〈リリ〉
「レ、レイセル様っ! あれ煙ですよ! 絶対ヤバいやつです!」
〈レイセル〉
「ああ……行くぞ」
鎧が鳴り、レイセルは駆け出した。
森を抜けると──
そこは、燃えていた。
木造の家々が崩れ、地面には血が広がり、
猫人と犬人の獣人たちが倒れている。
〈リリ〉
「……ひど……」
その中心で──
人間の盗賊団が笑っていた。
〈盗賊A〉
「おい、そっちのガキと女は縛っとけ!
ミラージュに持っていけば高く売れる!」
〈盗賊B〉
「男とジジイはもういらねぇ! 殺しとけ!」
獣人の男たちが数人、必死に抵抗していた。
だが、武器も力も足りない。
〈猫人の男〉
「やめろ……! 村の子どもには……触るな!!」
〈盗賊C〉
「うるせぇ!」
刃が振り下ろされる──
その瞬間。
ガキィィン!!
銀の軌跡が盗賊の剣を弾き飛ばした。
〈盗賊C〉
「なっ……!?」
煙の向こうから、鎧の影が歩み出る。
〈レイセル〉
「……やめろ」
聖剣ブレイブソードが、淡く光を放つ。
〈盗賊A〉
「なんだよテメェ……スケルトン? 鎧着てんのかよ!」
〈盗賊B〉
「関係ねぇ! やれ!」
三人が同時に襲いかかる。
レイセルは一歩踏み込み──
迷いなく斬った。
ザシュッ!
〈盗賊A〉
「ぐっ……!」
〈盗賊B〉
「速っ──!」
〈盗賊C〉
「ひ、ひぃっ!?」
骨の身体とは思えない速度。
鎧の重さをものともせず、聖剣が次々と盗賊を切り裂く。
〈リリ〉
「レイセル様、かっこよすぎます!!」
盗賊たちは次々と倒れ、残った者は震えながら後ずさる。
〈盗賊D〉
「ま、待て! 俺たちは悪くねぇ!
ミラージュの奴隷商人が言ったんだ!
“獣人は高く買い取る”ってよ!!」
レイセルの足が止まる。
〈レイセル〉
「……買い取る?」
〈盗賊D〉
「ああ! 湖上都市ミラージュだ!
あそこに持っていけば、女も子どもも高値で──」
その言葉を最後まで言わせなかった。
レイセルの剣が、静かに振り下ろされる。
ザンッ。
盗賊Dは崩れ落ちた。
静寂。
燃える家々の音だけが響く。
獣人の男たちが、震える声で言った。
〈犬人の男〉
「……助けて、くれたのか……?」
〈レイセル〉
「ああ。まだ生きている者を探すぞ」
〈猫人の男〉
「す、すまない……! 子どもたちが……奥に……!」
レイセルは頷き、燃える村の奥へと走り出した。
リリも慌ててついていく。
〈リリ〉
「レイセル様! ミラージュで獣人が売られてるって……
これ、戦士の子孫の仕業ですよね!」
〈レイセル〉
「……ああ。間違いない」
鎧が鳴る。
〈レイセル〉
「必ず止める」
炎の中、レイセルの影が揺れた。




