四章 第六話 シーン1〜2
1
エルフの森における夏の夜。それは昼よりも賑やかだ。発光生物達が舞い踊り、虫の歌がワルツを奏でている。
その巨大な樹木の森に向かい、一機の機兵が現れた。
一見すると守護機兵に近い、木と甲殻で出来た機兵である。が、エルフが作った物ではない。中に乗っているのは聖剣だ。
「あら〜。やっぱり読まれていましたか」
その聖剣リーネが問いかけた。彼女の機兵を待ち受ける、アズマとリリエの機兵にだ。
森の中に立つ、ドラウガル。その後ろに控えるメルフィリス。つまりアズマは事前に察知して、敵の機兵をこうして待っていた。
無論宝具の二人も一緒にだ。
「この感じは、リーネお姉様?」
「だな。このとろくさい喋り方。アルトリーネ意外に有り得ないし」
アリスとロンは二人して言った。
「そちらはアリスちゃんとお兄様〜。お元気ですか〜。二人共〜」
するとゆっくりと、リーネが返す。
「相変わらずですねえ。お姉様は」
「こいつはこう言う奴なんだ。でもああ見えて頭は悪くない。おいアズマ。気を抜くんじゃねーぞ」
「お前に言われるまでもない」
アズマはロンに言われて返事した。
このアルトリーネと言う聖剣は、前のマリーよりも殺気が薄い。殆ど無いと言って良いほどだ。しかしこの場所に来た以上、何か目的があるはずだ。
「聞こう。帝国の聖剣よ。お前は何故この場所にやってきた?」
アズマはリーネに対峙して言った。
「建前と〜本音がありますが〜、どっちの方から聞きたいですか〜」
すると、リーネがアズマへと返す。なんとものんびりとした口調でだ。
「建前だ。次に本音を話せ」
それに対しアズマは即答した。しかも警戒を崩さずに。
「建前は〜情報集めです〜。私はそう言うのが得意なので〜」
「奴はそう言う聖剣だ。物体の構造をスキャンする。いつもは治療に使ってるけどな」
リーネの言葉にロンが補足した。
「はい〜そうですね〜。ロンお兄様〜」
つまりは話をさせられた。その時点で、策にはめられている。これが建前でなかったら、リーネは侮れない聖剣だ。
「で、本音は?」
「情報提供です〜」
リーネは今度は全く逆の、目的をアズマに聞かれて告げた。
「私は戦うのは嫌ですし〜、お父様なら何とか出来るかと〜」
つまり情報をガルグに渡し、状況を変えたいと言う事か。
連合と帝国はもう既に、軍事的な衝突を開始した。彼女の言葉が本当ならば、一応は、話の筋は通る。
「良いだろう。話せ。聞いてやる」
「時間稼ぎかも知れねーぜ」
「その場合はこの場で斬り捨てる」
アズマはロンに聞かれてそう言った。
仮に偽情報を出すとしても、それはそれでアズマには有益だ。敵の思惑を計れるし、真贋はガルグなら解るだろう。
「はい〜。それではお話しします〜」
リーネはそれを受けて語り出す。謎の国家、帝国の現状を。
2
ここまでが、話のさわりである。と、ガルグはヘイザーに告げていた。
ツリーランドの会議室の中。ガルグはヘイザーに解説中だ。
「そうか。それで二人は無事なのか?」
「無事じゃなかったら俺も慌ててる」
ガルグはヘイザーに聞かれて言った。
もしアズマとリリエに何かあれば、こんな場所で呑気にはしていない。直ぐ、ムース・コロニーに飛んでいくか、少なくともレグスに帰るはずだ。
「良かったな。あの二人なくしては……」
「首が回らない。わかってる」
ガルグもあの二人は買っている。それは操縦者としてだけでなく、政治家としても相当に。特にリリエの人気は絶大だ。失えば大きな損失となる。
「つーわけでだ。話を続けるぞ」
ガルグは言うと解説へと戻る。
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