「おれがみ」折り紙
「なんで命令が入るんだよ」
「ってか、これはまんまだよな、クイズにもなりゃしない」
笑いながら、来栖はレジの横に置いてあった折り紙を指さした。もう、答えがそこにあるというか、示しちゃってるよ。
レジ横にある折り紙は、女の子に人気のアニメシリーズ最新作で、かわいらしい女の子たちがポーズをつけている。
こういう絵が描かれた折り紙は、かわいらしくていいのだけれど、折り方によっては首ちょんぱや顔半分になってグロテスクではないのだろうか? やっぱり折り紙は、単色か花柄でいいと思うのだが……。
「最近さぁ、保育園で、チューリップとかハートとか折って、持って帰ってくるんだ」
「えっ、保育園ってそんなん教えてるの? 私なんてヤッコと鶴しか作れないよ」
ふっふっふっと意味深な笑いを浮かべ、カバンから取り出したのは「くるるるまり」と書かれたチューリップの折り紙。多分、舞ちゃんは自分の名前を書いたつもりなのだろうが、ちょっとどころじゃなく間違えているのはご愛敬。
「これは、舞ちゃんからのプレゼントさ」
見ればわかることを自慢気に語るのは、それだけ嬉しかったせいだろう。いらないっちゃいらないし、もらったところで扱いに困る代物ではあるのだけれど、舞ちゃんからと思えば宝物にもなるだろう。
鞄のポケットにしまって持ち歩いているあたり、こいつのメロメロっぷりが知れるというもの。
「でも、おれがみおり、くるるるまりのが面白味あると思うぞ」
「いや、これはまた別の話なのだよ、それはもう長い長い名前の話になるの」
「端折ってくれ」
ちょっきんと指ハサミで切る素振りを見せると、なんとも不満げな顔が向けられる。
まぁ、言ってみたところで、こいつとの会話に有用な情報や学びがあるわけなどなく、いつも増長したおちゃらけと冗談のみであれば、余計な話題を端折ればすべてがなくなるわけなのだが……。
「とりあえず、長い名前の話はおいといて、折り紙のすごさについて語ろうか?」
「語るな」
とは言うが、折り紙が鶴を作る以外の何ですごいのか、ちょっとだけ興味がそそられた。
「最近は千羽鶴が3千円ぐらいで売れるらしいぜ……海外でも、日本の折り紙は人気も高いらしい」
「結局、鶴か……一体3円なのか……」
「あ、単価で考えるとがっくしだね」
言っている本人が気づいていなかったのか、3円の価格に目を丸くする。
「むしろ……誰かの入院見舞い前にネットで見つけたら、ポチッとしちゃいそうだ」
「うっわぁ、心がこもってないにもほどがあるね」
「きっと、製作者がたっぷり込めてくれてるから大丈夫だよ」




