「おんむりらいす」オムライス
「大盛で無理げなごはん?」
思わず、日本昔話にでてきそうな、山のようなてんこ盛りを思い浮かべてしまう。あれはちょっと食べにくそうというか、横っちょから掘ったら、上が傾いてこぼれてしまいそうだ。
”おんむり”がそのまま大盛に聞こえての回答だが、ついつい、そこに”むり”を継ぎ足してしまう。
いや、ライスというのだから、カレーライスとかハヤシライスとか、料理名にライスがすでについているものだろうか。まさか私のあだ名をそこに採用しているわけではなかろうが……少し考えてしまっていると、来栖はわざとらしくため息をつく。
「難しく考えすぎだよ」
まぁ、たしかに、舞ちゃんの能天気さで小難しく考えての幼児言葉もなかろうが、大盛以外”おんむり”の意味が想像つかない。
「ライス系の料理名って何があるかなぁ……カレーライスしか思いうかばん」
「それは、今お前が食いたいものじゃないか?」
「うん、とりあえずお昼はカレーにしよう」
お昼の予定を決めるはいいが、今の問題はおんむりらいすだ。
ライスはそのままごはんだろう。つまり、おんむりの意味が問題なんだ。
「おんむりおんむりおんむりおんむり」
「なんか呪文みたいだな」
「冠とか寒ブリとか丼とか……」
冠ライスとか寒ブリライスとか、丼ライスとか、もう、明らかに違うとしか思えないものしか思い浮かばないこの”おんむり”、思った以上に難解なしろものだったらしい。
「うん、必死に4文字で考えているところ悪いんだけど、実は2文字だ」
「へ? やっぱカレー?」
おんむりイコールカレーには、どうこじつけたところでならないとは思うのだが、2文字でライスで思いついたのがそれだったのだからしょうがあるまい。
「そんなにカレーが食べたいのなら、オムカレーにでもしやがれ」
「オム?」
「そう」
「へ?」
「オムライス」
言われてちょっと納得してしまった、なんとなくだがわからなくもないような……いや、やっぱり駄目だろ、幼児言葉。うっかり”ん”と”り”が増えてるよ。
ぜったい四文字と思っていたから、オムライスは本当に盲点だった。
「どうしてそれがおんむりらいすになるんだよ!」
「それが舞ちゃんの舞ちゃんたるゆえんだ」
とりあえず、そんな舞ちゃんの覚え間違いもまた、来栖にとってはかわいくてしょうがないらしい。たしかに、来栖の口から出ればおいおいと言いたくなるが、舞ちゃんが舌足らずに言うのなら、またそれもかわいいのだろ。




