「とんでる」トンネル
「何が?」
「そうだなぁ、あれだ、お花……いや、バラのとかくーせんのとか~」
「お花やバラはともかく、風船はふつうに飛ぶだろ……ってか、あれか? むしろ頭の中に~みたいな感じか? それなら来栖は年中そうだろ」
来栖が何を言い出したのかわからず、なんとなしあたりを見回すと、右手には子どもたちが遊ぶための広場があった。
有料の場所らしく、周囲はネットで覆われていて、ボールプールや滑り台、ハンモッグや卓上の砂場などがあり、子供たちがキャーキャー言いながら遊んでいる。
小さな子が楽しそうにしているのを見るのは、ほっこり心が温まる。これが舞ちゃんだったら、さらにかわいかろうと思うのは、来栖に毒されているからだろうか。
「まぁ、私の頭の中にお花が飛んでるなんて、分かり切った話だが……」
「まさかの肯定!」
「でもね、とんでるはそのまんま飛んでるわけじゃなくって、とんでるという物なんだよ」
どうやら、舞ちゃんの”とんでる”は動詞ではなく品名だったらしい。
まぁ、初めから舞ちゃんの覚え間違いがテーマだったのだから、とんでると言われてそのまま飛んでるとイコールするのは間違いだとはわかっているのだけれど……。
「いや、物というより建造物か。でも、そのサイズは、手のひらサイズから大陸サイズのものまで幅広く存在し、私たちの身近にも、今日あたりまえのように存在する代物なのだよ」
「大陸サイズって、またでっかく出たなぁ……」
「せいかんとんでる、おっぱまとんでる、るねんとまっ……いやいや」
そこまで言われてわからないやつがいるだろうか? なるほど初めに花だのバラだの風船だのと言ったわけだ。
子どもたちの有料の遊び場には、バルーンが大量にあるスペースもあり、その入り口がバルーンで飾り付けられトンネル状態になっている。それを見て思い出した言葉なのかと納得だ。
「く~せんのとんでるか……まぁ、優雅にバラのアーチの下でティータイムは、柄じゃないもんな」
頭の中に花の飛んでる来栖には、く~せんのとんでるという、なんだか間の抜けたような言い方が似合っているような気がする。
「失礼な、舞ちゃんはおしめさまだぞ」
「あれ? オムツは卒業したんじゃないの?」
「うむ、だから、最近はぷりりんセスだ。かわいんだぞ、ぷりんっとお尻出してふりふりして……」
「いかがわしいから、即刻やめさせなさい」
「え~」




