3.生徒会メンバーは美人さんと王子様(?)〜飛行部〜
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「飛行部の部室ってどこですか?」
「3階だ。飛行部は時空の間が部室になっている。ここからは―エヘント。君、飛行部だったよな?―エヘントに紹介してもらおう」
と言いながら、生徒会室の隣にある階段を登る。
「オッケー、会長。時空の間は数代前の時空の能力を持っていた部長が、部室が狭い、と能力を使って広くした部屋なんだ。永遠に続く広さで帰って来られなくなる、という噂が立つぐらいにね。みんな飛び回ってるよ。あとは、物を飛ばしたりとかね。見てもらう方が早いかな」
「ですかね」
あれ?階段を上がったら、生徒会室に似た部屋がある。
あ、皆が先に渡り廊下を渡っている。
「ここが部活棟、部活階だ」
「そして、1番手前のこの部屋が、飛行部室!」
カルさん、楽しそう。
トントン。ギィーッ。
ビュン。
おっと。いきなり、目の前を横切ってくるとは。
「やあ、グヌネスバ」
カルさんが声をかけると、さっき、目の前を横切った人が振り向いた。
あれ、女の人だ。
「カル!生徒会の活動?このかわいい、坊やたちは誰?」
カルさんのことを知っているらしい。銀髪で灰色が混じった白―灰白色の目をした、この女の人は。
カルさんとは違う色。属性は風なんだろうけど。
カルさんは金色と銀色の混じった色―ヴァニーユ色―だから。
「グヌネスバ、相変わらずおしゃべりだな」
「そりゃ、どうも。で、誰なの?」
「男がルイ・サトー。女がクティルヴィア・ジョーノーヴ」
「ティルって呼んでください!」
そういや、ティルもハキハキ言うタイプの子だったな。
「よろ、ティル。私、グヌネスバ・キュリティー。飛行部部長よ。…………ルイは無口なタイプ?」
「あ、いえいえ。ちょっと圧倒されて」
「あ、ごめーん。周りにそういう常人いないから、いつものノリでいっちゃった」
…………常人がいないって……。周りにどれだけ変人ばかりいるんだろう。
「変人ばかりって……、って思ったでしょ。残念ながらねー、変人しかいないんだよね。悲しいよね。レネアは、The ・血も涙もない人間でしょ。カルは、腹黒ヤンチャ男。飛行部員も飛行のことしか考えてないし。ていうか、飛行部員、男ばっかだしね。周りの子もテンションがおかしかったり、どんくさかったり、ドSだったり……。ああ、ドMもいたわね。周り、こんなのしかいないのよね」
周りの子を「こんなの」扱い。なかなかだな。
というより、レネアさんとも知り合いなんだ。こんなに広い学園で。
「レネアさ……先輩と知り合いなんですか?」
「知り合いだよ。実技クラスで一緒だったの。いやー、あの時の戦いは血も涙もない人間だって実感したわね」
「ああ、あの時か。君が弱いだけだろう?普通に戦ったつもりだが。君も飛行能力の一つの超動体視力で俺の攻撃から逃げただろう?あれ、大分うっとうしかったからな」
「そうなの⁉︎初めて聞いたわ……」
「……そうそう、思い出した。ルイ、俺のことを先輩呼びする必要はないぞ?今まで通り、『レネアさん』で構わない。エヘントのことも『カルさん』と呼んでいるだろう?ああ、ジョーノーヴもな」
「そうですか?なら、そうします」
「あ、はい」
ティルがちょっと、ボーッとしているね。
「エヘント、ジョーノーヴ、ルイ」
『なんでしょう?』
「次の部室に行くぞ」
『はい』
「じゃあな、グヌネスバ」
「じゃあねー、カル。ティルと、ええっと……ルイ」
ええっと……、って。
僕、影薄いな。
そうだ、挨拶しないと。
「さようなら、キュリティー先輩」
「じゃあね、ティル、ルイ。また、会いましょ」
「「はい」」
「すごいわー、キュリティー先輩。さすが、オーラが違います。さすが、キュリティー家の御令嬢です」
キュリティー家?
「よく、マイナーな旧家、キュリティー家を知ってるな」
「はい!レネアさん!攻撃に特化している私は防御の人と一緒にいないと殺られてしまいますから」
「なるほど……。キュリティー家は、風の血を守る防御特化家系だからな」
キュリティー先輩のこと、「セキュリティ」みたいな名前だな、と思ってたけど、防御特化家系だったんだな。
って偶然か。
「そうです。私、将来、キュリティー家の方とペアを組むのが夢なんです」
「なら、グヌネスバと組めばいいじゃん」
「どうだろう、カルル。私なんかと……」
私なんかって……。
「ティル。僕は、君がティルだから、今、こうやって話しているんだよ?キュリティー先輩もティルのこと嫌だと思ってないよ。私なんか……、って思わず先輩に言いに行ってみなきゃ。前向きにならなきゃ。夢に向かって進むなら、マイナス思考は必要ないよ」
「いいこと言うな、ルイ。ティル、言いに行ってきな」
カルさんがニヤッと笑う。
「え?今?」
「そ」
「いいんですか?会長」
「オレには聞かないのね」
「うん」
「……はあ」
かわいそう。カルさん。
「行っておいで。ただし、急いで」
レネアさん。「行っておいで」って僕の叔父さんみたい。
「はい!」
ティルが制服をひるがえして、タタタと走って飛行部室に戻って行った。
「どうする?会長」
「どうする?って?」
レネアさんには、カルさんの言葉の意味が分かっていないらしい。
「いや、次の部室へ行くか、ここで待つか」
「そうだな。次の部室へ行くか。キュリティーが運んでくれるだろう」
「それもそうか。ルイ、行くよ」
「は、はい!」
「グヌネスバは飛行部の中でオレの次に速く飛ぶからね。速いぞ、見えないほどにな」
ニヤァっと自慢げに話す。
見えないほど……!
そして、それより速く飛ぶカルさんがすごい!




