3.生徒会メンバーは美人さんと王子様(?)〜幼なじみ〜
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えー、生徒会室、生徒会室、っと。
あ、あの廊下の突き当たりか。
ん?あそこ、誰か立っている。
タタタッ。
走ってきた。
金と銀が混じった色―ヴァニーユ色っぽい髪が揺れる。
エヘントさん⁉︎
黒い棒を持っている。
「フッ、アーーー!」
ガシッ!
へっ?浮いた!
そして、座らされた。
「ぃよっ、と!意外と軽いね、ルイ。あ、身をかがめて」
「分かりました」
シュン!
ろ、廊下の窓から出た!
飛んでる……!
「軽いって言ってくれたこと、ありがとうございます。で、こんにちは、エヘントさん」
「さん付けで呼ばないでいいのに。カルって呼んでよ」
「それは無理ですよー」
「じゃ、カルさんか、カル先輩って呼んで。……あー、カルさんって呼んで。先輩ってなんか、嫌」
「わかりました」
「そうだ。ルイ、面接の時、魔術分野を透視って言ってたけど、闇だよね?透視は魔術能力でしょ?」
「あ、そうでした」
本当は分かってないんだけど。
「ドジだね」
「あはは」
ドジなことには薄々、気づいていたけど、はっきり言われるとな……。
はあ。
「カルさんは魔術分野?能力って何ですか?」
「あー、属性も魔術分野も風。魔術能力は飛行」
「飛行!だから、今、飛べてるんですね」
「そう。ちなみに、属性に風の血が入っている家系にしか、飛行能力は出ないんだよ?オレは風を操れないけどね。あとは、レネアの魔術分野は氷。氷も、属性に水の血が入っている家系にしかでないし。レネア、属性はお母様と同じ土だけど、お父様が水属性だから。あとは、レネアのお姉様のナミヌさん。ナミヌさんの魔術分野は日光なんだ」
「光じゃなくて、日光⁉︎」
「あれ?知らない?昔は、光っていう魔術分野だったんだけどさ。それが派生して、日光と清光に分かれたんだ。光自体は消滅」
日光―太陽の光―と清光―清らかな光や月の光―に分かれた。
相対する感じか。
「魔術分野が日光の人は癒しを得意とするんだ。負担を軽くする癒しを。だから、学園の保健室は、魔術分野が日光の先生が担当してるし。対して、魔術分野が清光の人は、防御を得意としてる。結界を張るのが得意らしいから。バリアとも言えるかな。ただ、共に持っている能力は力を与えること。日光の人は体力を、清光の人は攻撃力を」
「へー」
「さっ、景色も楽しめたし、ルイとも話せたし、大収穫だった。そろそろ、生徒会室に行かないとね」
「そうですね。なんか、寂しいです。ここからだと、学園の中で皆、頑張っているのが見えるから」
「そお?オレはぶっ潰したい衝動に駆られるけどな」
「へっ⁉︎」
「いや、オレって属性が風だから、よく音とか、声が聞こえるわけ。まあ、分野も風だしな。調子が良い時は心の中の声まで聞こえる聞こえるんだぜ。その耳でこの学園の生徒の声を聞いたら、みーんな愚痴ってやがる。こいつはブスだ、とか、こいつ頭悪い、とか、こいつ嫌い、とかな。そういう奴らがはびこるこの学園を、上から下までぶっ壊したい衝動に駆られるわけ。ただ、それだけ」
ただ、それだけ―。
ただ〜だけ、でつなぎ、ちっぽけだ、という印象をあたえる言い方をするが、実際、『それ』は重くて、深くて、理解するのが僕だなんてふさわしくないと思ってしまうけど。
でも、カルさんが話してくれた分には何か意図があるのかな。
しっかり、理解するしかないのかも。
「そろそろ、生徒会室行くか?」
「はい」
ピュンッ!と風を切って僕たちは飛ぶ。
「さすが、オレ。はぇーわ。めちゃ速だな」
自画自賛……。
「よっ!と。着地成功」
「あの、成功って失敗もあるんですか?」
「フフフー。どうでしょう?」
訊くのが怖くなってきた。
「ようこそ。生徒会へ」
「やっと、来たか、ルイ。エヘントも新入生と寄り道するな」
「はいはい、会長」
……家なら、はいは一回!って言われるところだな。
中にいるのは珊瑚色の髪をハーフアップにした女子。
……珊瑚色のハーフアップ?
「ティル!」
「ルイくん⁉︎」
「なんだ、知り合いか?」
「そうに決まってるだろ、会長。ティルとルイくん、だぜ?」
レネアさんはそれを無視する。
「ルイ。質問か?」
「いえ、生徒会に入るので一応、顔を出しておこうかと」
「なるほど。その辺りの椅子に座ってくれ。ティブ茶を出そう」
椅子?
椅子は見当たらな……い……。
もしや、ソファ?この、茶色の。
「あの、ソファですか?」
「そうだが、何か?」
「いや、豪華だな、と」
「そうか?どの、部室、同好会室にもソファはあるが……。来客用に。まあ、部員も使っているんじゃないか?ソファぐらい」
そんなもの、なのか、な?
さすが違うな、異世界は。
「ティブ茶だ。異世界では緑茶と呼ばれているらしい」
「会長、また異世界?よく飽きないな」
カルさんが肩をすくめて、レネアさんを見る。
目力すごいんだけど!
「異世界はある。飽きる、飽きない、問題ではない」
「言っとけ、って感じですね」
「エヘント。俺に対して、丁寧な言葉を使う必要はないぞ?」
「生徒会と普段の生活は分ける主義なので。オレは構わないですけど」
「そうか」
「そうです。生徒会では会長とオレの立場は違う。残念ながらね。だから、普段の生活ではレネアって呼んでも、生徒会では会長と呼びます」
「ルイ。気にせずに、茶を飲め。ジョーノーヴも。菓子ならテーブルの上に置いてある」
じゃ、お言葉に甘えて……。
ズズズッ。
あ、美味しい。普通の緑茶だ。
「お茶菓子(?)いただきますね」
ボウルの上にたくさん出されているオブラートに包まれたカラフルなチューイングガムか何かを手に取る。
緑茶にチューイングガム?
合うのかなぁ。
パクッ。
あ、美味しい!
控えめな甘さが、緑茶の独特な苦味を引き立てつつ包み、緑茶の甘みを打ち消さない。
……緑茶って呼んじゃってる。
「美味しいです!緑茶に合うんですね」
「学園生割引で買った、リートルのリヒオルノだからな」
リートルってあの、学園の近くにあったお店か!リヒオルノは菓子名かな?
「俺は部活パトロールに行ってくる」
「あ、オレ、ついていく!ルイとティルは、どうする?」
「僕は部活見学ついでに行きます」
「私も行くかな。カルル、しっかりしてよね」
「カルルって呼ぶなよ。オレは先輩、ティルは後輩だろ?」
「いいじゃん。幼なじみなんだし」
カルさんが僕の方をチラッと見てくる。
「何でしょう?」
「いや……」
何だったんだろう?
「とにかく!オレが彼氏に見えるだろ?それは絶対嫌だからな!せっっっかく、ティルよりかわいい彼女を募集してるのに、ティルが彼女だと思われたらどうするんだよっ!責任とれんのか?ああ?」
カルさんがヤクザみたいになってる……。
「エヘント。早く行くぞ。ジョーノーヴも、来たけりゃ、来ればいい。好きにしろ」
さすが、会長。威厳がある。
「ルイ、悪いがその、パトロール中と書かれたプレートを取ってくれるか」
「はい。これですね。どうぞ」
「ありがとう。外に出てくれ」
レネアさんは言いながら、プレートをドアにつけられたフックにかける。
「まずは、飛行部だ」
「はーい」




