23.紅、朱、紫。〜白〜
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「クザリアさん、鍵をお返しします」
癒しの間には皆が集まっていた。
「あー、どうも。しっかし、寂しいなぁ。こんなに賑やかな人たちが一気にいなくなるのか」
「クザリアさん、9日間ありがとうございました」
「いやー、本当、寂しくなるなぁ」
「こっちもです」
「注文しすぎた料理、一緒に食べてくれてありがとね」
「こちらこそ、美味しかったです。ごちそうさまでした」
「君の食べっぷりは、凄かったからね。見てるこっちが、スッキリするぐらいだったよ」
「プレーヌ、ありがとう」
「こっちこそ。ありがと」
「プレーヌには、来た時から世話になったからな」
「そんなことないって。ボクがたまたま、いただけだもん」
「縁だねぇ」
うわぁぁん。名残惜しいよぉ。
「じゃあ、そろそろ帰るか。この後、学校、行かないといけないしな」
「そうなんだよねー」
「荷物があるんで、一度、上に戻ります。見送りをされると帰りたくなくなってしまうので、見送りは無しで」
「分かった。じゃあ皆、部屋に戻ろうか」
クザリアさんが、皆を促した。
「「「「ありがとうございました」」」」
皆、にこっと笑って、部屋に戻っていった。
「さあ、帰ろうか」
リクが先頭を歩き、僕たちはそれに続く。
トン、トン。
9日間で何度も上り下りした階段。
204号室のドアを開ける。
「さ、荷物を持て。穴を開けるぞ」
僕はリュックを背負い、リクの後ろに立つ。
「<,#|*#;*#.|\}.<,#;}_€$+%%#^{>€@?&.(.(?」
黒い穴が開いた。
そして、リク、僕、レネアさん、ツェルドくんの順番で足を踏み入れ――。
「ツェルド!」
204号室のドアを開け放って、彼女は部屋に入ってきた。
「プレーヌ!?」
「――ボクは、ツェルドのことが好きだ! 1人の男として、大好きだ!」
僕は、反射的にツェルドくんの顔を見た。
大きく目を見開き、口は半開き。
口を閉じて、もう一度開いた。
「ぼく――」
ひゅう。
独特な音を立て、穴は閉まった。
ツェルドくんは、俯く。
「――ツェルド。もう一度、開けようか?」
「……いや、いい。ぼくは、シュイと結婚する、フィヌレース国の王子なんだ」
「……そうか」
誰も、何も、言えなくて。
唇を噛み、顔を手で覆うツェルドくんを見て、2人が幸せになればいいと思った。
そして、僕たちは、あるドアの前に立った。
リクが、ドアを開け、いつものように眩しさが襲う。
フィヌレースに帰ってきたんだ。




