23.紅、朱、紫。〜涙〜
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「ふー、終わったー!」
9日もいると、部屋は散らかるもんだね。
「俺もだ」
「ぼくも」
じゃあ、ちょっと休憩だね。
「ただいま」
あ、リクが帰ってきた。
「片付けは終わったのか?」
「うん」
「じゃあ、この状態は俺待ちってことだな」
「まあ、休憩中だから、気にしてないよ」
「そうか」
「ぼく、ちょっと出てくるね」
「あ、うん。いってらっしゃい」
入れ替わり、立ち替わり。皆、忙しいな。
ギイーッ、バタン。
「なあ、ルイ」
「ん?」
「ツェルドが鉄を何に使ったか、分かるか?」
「え? うーん、見てなかったな。ごめん」
「そうか。いや、別に良いのだが。ちょっと気になったんだ」
たしかに。リクの言う通りだ。何に使ったんだろう。
「ん? あれ、ツェルドとプレーヌだな」
「どうしたんですか?」
レネアさんは窓を見ながら喋っていたので、僕も窓を覗き込むことにした。
「窓、開けるか?」
誰の返事もなかったが、レネアさんは窓を開けた。
キィーッ……。小さく音が立つ。きっと、下には聞こえていないと思う。
リクが椅子を持ってきて、僕たちの後ろに立った。
「静かにしていたら、話が聞こえるかもな」
リクがそう言う。
人の話を盗み聞きって罪悪感あるけど、でも、気になるんだよな。
「――プレーヌに渡したいものがあってさ」
かなり耳を澄まさないと聞こえない。
似た2人の声に、集中する。
「渡したいもの?」
「これなんだけど」
ツェルドくんが、瑠璃色のものを載せた手を出す。
「何これ」
「これは、魔金属っていう金属で出来たブレスレットだよ。魔金属は、自由に色もデザインも変えられるんだよね」
「2つあるけど……」
「このブレスレット、お互いに引き合うから、離れていてもお互いの場所が分かるんだよね。1つ、プレーヌに持っていてほしい。プレーヌに何かあったら、ぼくが絶対に助ける」
それって――!
「ぼくは、プレーヌの兄さんだから」
「!?」
兄さん……?
あの2人、たぶん両思いだよ。兄妹じゃないよ。
「……そう、だね」
プレーヌちゃん!?
「ツェルドは、ツェルドは、ボクの兄さんなんだ」
彼女の目から、光を反射しながら涙が零れ落ちる。まるで、別れを惜しむかのように。
「プレーヌのこと、大切に思ってる」
ツェルドくんは、女神よりも優しく頭を撫でた。
撫でた所為で、より彼女が泣いてしまったことに、彼は気付いているのかな。
ツェルドくんは、彼女が泣き止むまで頭を撫で続けた。
「そろそろ戻ろ? きっと皆、プレーヌに会いたいからさ」
泣き止んだ時、彼は口を開いた。
「――うん」
リクが急いで片付けを始めた。




