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怪しいイケメンくんと異世界旅行〜目指せ、世界征服〜  作者: 風葉 千尋
第2話 紫の月
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23.紅、朱、紫。〜涙〜

文字数(空白・改行除く):1,035文字

「ふー、終わったー!」

 9日もいると、部屋は散らかるもんだね。

「俺もだ」

「ぼくも」

 じゃあ、ちょっと休憩だね。

「ただいま」

 あ、リクが帰ってきた。

「片付けは終わったのか?」

「うん」

「じゃあ、この状態は俺待ちってことだな」

「まあ、休憩中だから、気にしてないよ」

「そうか」

「ぼく、ちょっと出てくるね」

「あ、うん。いってらっしゃい」

 入れ替わり、立ち替わり。皆、忙しいな。

 ギイーッ、バタン。

「なあ、ルイ」

「ん?」

「ツェルドが鉄を何に使ったか、分かるか?」

「え? うーん、見てなかったな。ごめん」

「そうか。いや、別に良いのだが。ちょっと気になったんだ」

 たしかに。リクの言う通りだ。何に使ったんだろう。

「ん? あれ、ツェルドとプレーヌだな」

「どうしたんですか?」

 レネアさんは窓を見ながら喋っていたので、僕も窓を覗き込むことにした。

「窓、開けるか?」

 誰の返事もなかったが、レネアさんは窓を開けた。

 キィーッ……。小さく音が立つ。きっと、下には聞こえていないと思う。

 リクが椅子を持ってきて、僕たちの後ろに立った。

「静かにしていたら、話が聞こえるかもな」

 リクがそう言う。

 人の話を盗み聞きって罪悪感あるけど、でも、気になるんだよな。

「――プレーヌに渡したいものがあってさ」

 かなり耳を澄まさないと聞こえない。

 似た2人の声に、集中する。

「渡したいもの?」

「これなんだけど」

 ツェルドくんが、瑠璃色のものを載せた手を出す。

「何これ」

「これは、魔金属っていう金属で出来たブレスレットだよ。魔金属は、自由に色もデザインも変えられるんだよね」

「2つあるけど……」

「このブレスレット、お互いに引き合うから、離れていてもお互いの場所が分かるんだよね。1つ、プレーヌに持っていてほしい。プレーヌに何かあったら、ぼくが絶対に助ける」

 それって――!

「ぼくは、プレーヌの兄さんだから」

「!?」

 兄さん……?

 あの2人、たぶん両思いだよ。兄妹じゃないよ。

「……そう、だね」

 プレーヌちゃん!?

「ツェルドは、ツェルドは、ボクの兄さんなんだ」

 彼女の目から、光を反射しながら涙が零れ落ちる。まるで、別れを惜しむかのように。

「プレーヌのこと、大切に思ってる」

 ツェルドくんは、女神よりも優しく頭を撫でた。

 撫でた所為で、より彼女が泣いてしまったことに、彼は気付いているのかな。

 ツェルドくんは、彼女が泣き止むまで頭を撫で続けた。

「そろそろ戻ろ? きっと皆、プレーヌに会いたいからさ」

 泣き止んだ時、彼は口を開いた。

「――うん」

 リクが急いで片付けを始めた。

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