23.紅、朱、紫。〜ペンダント〜
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ヒューイ、ヒュイ。
――バサァ。
ザルソンがベッドの上に着陸した。
いつもと同じように、僕たちはザルソンにまたがり、ザルソンは移動を始めた。
「ねぇ、見てほしいものがあるんだけど」
飛び始めてから何分か経って、プレーヌちゃんが口を開いた。
「何を?」
彼女は、首に掛けていたダイヤのチャームが付いたペンダントを手のひらに載せた。
これって、ヌヴェルさんのペンダントだよね。
「これ、普通のペンダントじゃないみたいでさ」
プレーヌちゃんがチャームの右側に手を掛けると、パカッと開いた。
これ、ロケットペンダントなんだ!
中に入っていたのは、8、9歳くらいの金髪の少年が、赤ちゃんを抱いている写真。
「これ、ヌヴェルさんと――」
「プレーヌ、だよね……」
あどけなさの残る顔だけど、間違いないと思う。
「うん、多分ね。でさ」
プレーヌちゃんが、ペンダントから1枚写真を引き抜いた。
「あれ、まだ写真が――」
「――!」
ツェルドくんが、声を出さずに驚いた。
当たり前だ。
だって、その写真には、プレーヌちゃんとツェルドくんが写っているのだから。
「なんで!? 何故、ぼくが!?」
写真の2人は、何故かびしょ濡れ。
楽しそうに笑い合う2人の写真を、どうしてヌヴェルさんが持っているのだろう。
「不思議でしょ?」
「うん」
「ボクは見てないから分からないけど、これはお兄ちゃんがくれたものなんでしょ?」
「そうだよ、きっと」
「なら、不思議でも、大切にするだけだね」
「ガウッ、ガウッ」
「ん、着いたみたいだね。ザルソン、下りて」
「ガウッ」
フワァァ。
「ありがと、ザルソン」
プレーヌちゃんが、軽く降りた。
僕たちも降りて、ザルソンを撫でた。
「ザルソン、今までありがとう」
「決定戦でも、世話になったな」
「これからも、プレーヌを守ってね。今まで、ありがと」
「乗せてくれて、ありがとな」
「ガウッ」
ザルソンは目を細めると、飛んでいった。
「プレーヌ。前王からの引き継ぎ内容を伝えておきたい」
「分かった。じゃあ、ボクの部屋に来てくれない?」
「OK」
「なら、リク」
立ち去ろうとしたリクに、ツェルドくんが声をかけた。
「あ?」
「鉄、まだ残ってるよね。ちょーだい?」
「ああ。俺の鞄の中にある」
鉄? なんで?
「じゃあ、行こう」
僕たちは、アパートに入っていった。




