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怪しいイケメンくんと異世界旅行〜目指せ、世界征服〜  作者: 風葉 千尋
第2話 紫の月
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23.紅、朱、紫。〜戴冠〜

文字数(空白・改行含まない):1661字

「ルーイ、ルーイ」

 ……ううん?

「戴冠式が始まるぞ」

「――え?」

 目を開けると、真っ白の壁が、少し頭を混乱させた。

 ああ、ここは、アパートから西へ200km行ったところにある、王室の別荘か。

「お前、よく寝られるよな。こんな大事な日に」

 あまりにも暖かくって。ほら、春眠暁を覚えず、っていうでしょ?

「まあ、確かにそうだな。でも、そのまま寝たら、シワがよるだろ」

 確かに。

 僕たちは、街でスーツ一式をレンタルして着ることにした。

 リクは、黒ジャケットに黒パンツ。僕は、ネイビーのジャケットにグレーのパンツ。レネアさんは、ホワイトグレーのベストに黒パンツ。ツェルドくんは、グレーのベストに白パンツ。

 自分が着たいものを選んだようなものだから、皆、バラバラ。

「お待たせ」

 廊下の奥から、プレーヌちゃんが現れた。

 それも、純白のドレスで!

「綺麗なドレスだな」

 シルクで出来ているから、手触りはとても良い。幾重にも重ねられたチュールやチュールレースが、より高級感を出している。はめている白い手袋さえ、素人の僕にも高級なものだと分かってしまう。腰は、クリーム色のリボンで縛られ、首から、小さい真珠のネックレスがかけられている。ネックレスとお揃いで、耳には真珠のイヤリングをつけている。

 そして、スタイリストによって、ゆるくウェーブがかけられた髪は、花で飾られている。

「綺麗でしょ」

「う、うん」

「あまり、キラキラした装飾は無いんだな。ほら、ダイヤとか」

「ええ。プレーヌ様には、美しいお顔という宝石がございますから、要りませんよ」

 現れたスタイリストさんがそう言った。

「なるほど。確かにそうだ」

 リクは、微笑んだ。

「ツェルドとレネアさんは、もうバルコニーにいる。早く向かうぞ」

「「うん」」

 僕とリクは、トレーンベアラーとして、プレーヌちゃんのドレスのトレーンを持った。

 この国のドレスは、僕たちの国でいうウェディングドレスの型。

 踊りには向かないから、この国には舞踏会を開く文化は無い。

「プレーヌ・ラ・セレネ様のご登場です!」

 ツェルドくんが声を張り上げる。

 プレーヌちゃんが、マイクの前に立ったので、僕たちは後ろに立った。

「プレーヌ様」

 呼ばれたプレーヌちゃんが、右を向く。

 白い手袋をつけたレネアさんは、リクから王冠を受け取った。レネアさんの手が、少し震えている。大きく呼吸(いき)をして、プレーヌちゃんの頭に王冠を乗せた。

「プレーヌ女王の誕生です!」

 ――パチパチパチパチ!!!!

 ――わあああああああっ!!!!

 これこそ、拍手喝采。

 ここまで盛大なのには、今までのプレーヌちゃんの行いがあるんだと思う。きっと、誰かが見ていたのだと思う。

 彼女は礼をした。

 拍手が止んだところで、彼女は口を開いた。

「ツォルソーに住む、皆さん。私は、プレーヌ・ラ・セレネです。きっと、皆さんは、私が子供であるということに、不安感を抱いていることでしょう。しかし、子供であることは私の武器だと考えています。子供だからこそ、子供に優しい政策、子育てを応援する政策ができるからです。また、私は、昔から、働く大人に囲まれて育ってきました。私自身、働いています。だから、私は、働く人たちを応援する政策もできます。

 私から、皆さんに伝えたいことがあります。今、この時から、武器を持ち歩くことを禁止します。もう、誰かが傷つくところを見たくない。

 協力し合い、高みを目指す人間も、そんな人間を愛して、信じてくれる竜も、この国の街並みも、どれも私は大好きです。だから、私は必ず、この国を守る。そして、国中で哄笑が響き渡る国にする。そう、皆さんに約束しましょう」

 プレーヌちゃんは1歩下がって礼をした後、部屋の中へ戻っていった。

 僕たちも、それに続き、レネアさんと僕でドアを閉めた。

 ――――。

「ふー!!!!」

「終わったぁぁ」

「緊張したぁ」

「疲れたよぉ」

 レネアさんが、プレーヌちゃんの頭から王冠を外し、金庫に入れる。

「プレーヌ。着替えておいでよ。アパートに帰ろ?」

「……うん」

 アパートに帰ったら、僕たちが、この国でするべき事は、帰り支度だけだ。

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