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怪しいイケメンくんと異世界旅行〜目指せ、世界征服〜  作者: 風葉 千尋
第2話 紫の月
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23.紅、朱、紫。〜直後〜

文字数(空白・改行除く):672文字

 民衆を魅了するプリンセス。

 彼女が歩く周りには、騎士(ナイト)によって彩られた、元は白い深紅の花畑が広がっている。



「なん、で? あれ、お城でしょ? 火事? 何があったの? お兄ちゃんは? どうして、いないの? 皆が殺した、の?」

 僕は、彼女から目を逸らして、ゆるゆると首を振った。

 目を見ることが出来なくて。声に出して否定することも出来なくて。

「じゃ、じゃあ、生きてるんだ!」

 僕には、やっぱり彼女の目が見られない。

「…………生きては、いない」

 権利がない。

「っ、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――!」

 こんなにも開けた場所で、絶叫はこだまする。

 彼女の目には、紅々とした炎が映っている。

 すでに死んだと思われていた兄が、本当は生きていて、気がついたら、本当に死んでしまっていた。

 そんな状況に置かれてしまった彼女の気持ちなんて、計れない。

 僕は後悔していた。

 僕にあと少し、何か1つでも防御系魔術が使えたなら。

 誰も死なずに済んだのに。誰も悲しまずに済んだのに。

 ふと、小2の時に、悠斗が大人たちに言い放った言葉を思い出す。

『後悔なんてしなくていい。謝罪の言葉もいらない。「子供に謝った」っていう愉悦に浸られるのは、ごめんだね。後悔って、自己満だから。しないといけないのは、後悔じゃなくて反省。償いと未来だ』

 彼の言葉は、たまによく分からない。この言葉も、未だに理解できていないのだから。

「うわぁぁぁぁぁぁ――」

 消火活動を手伝おうと思った。

 ヌヴェルさんを、これ以上、燃やしたくなかった。

 ふと、僕は上を向く。

 夕方の空は朱色。空には、夕日に染められた紫の満月だけが浮かんでいた。

 紫。青と赤を混ぜた色だ。

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