22.The stark reality 〜smile and roaring sound〜
文字数(空白・改行含まない):949字
「この後、僕はちゃんと約束を守った」
『あの方』って人、本当に不思議な人だな。
ヌヴェルさんは「うーんっ」と腕を伸ばした。
「あ、そうだ。皆、体調は正常かい?」
僕は少しだけ頷いた。
皆も同じように、体を起こして頷いている。
「そうそう。リクくんは情報が欲しいと言っていたね。今から引き継ぎをするから、その中で得られるかもしれない」
「どうして今、引き継ぎを?」
僕がそう言うと、彼はクスッと笑った。
何で笑うんだろう。
「王座決定戦は殺し合いだよ? 僕たちのどちらかが必ず死ぬ。だから、戦う前に引き継ぎをするんだ」
なるほど。
「まず、明日8時から戴冠式。式で使う王冠は書庫にある。書庫は、クルフォ公園にある建物の地下。建物の前で、フェガリヴァスィリアスと唱えたら行けるよ。進め方もそこにある。その後、政治の制度を整えていく、と。えーと、他に何かあったかな」
ヌヴェルさんが首を捻ると、髪がパサ……と音を立てて落ちた。
「毎年、考えるけど、特に何も思いつかないな。大体は書庫にある書物に書いてあるしね。…………あ、リクくん。次は水の『ク』だよ」
リクの雰囲気が、一瞬、鋭くなり、顔が険しくなる。
「他、質問は?」
「――じゃあ。あんたさ、死んだんじゃなかったの?」
「その話、終わったんじゃなかったっけ?」
「終わってないし。始まりもしてないんだけど」
「ごめん、ごめん」
彼は朗らかに笑った。
「――でも、それ、何の話?」
……え?
何で知らないんだ?
「交通事故。電車で轢かれたこと、覚えてないの?」
「え、あー、あのこと? ドッキリだよ。何人かに手伝ってもらってね」
「そ」
にしても、ずいぶん、大掛かりなドッキリだなぁ。
「う〜ん」
彼は、大きく伸びをした。
「僕、異様な雰囲気について、喋ったつもりなんだけど、ほとんど関係無い話だっただろ? ごめんね」
「いえいえ、お気になさらず」
この話が無駄だったとは、決して思わない。
「ふわぁぁぁ」
あくび?
「眠いんですか?」
「うん、とっても。――さぁ、そろそろだね」
……そろそろ?
突然、彼は真顔に戻った。
「殺し合い」
僕の体が、勝手にビクッと動く。
「I must kill you but――」
彼は、眉尻を下げて笑い、何かのスイッチを掲げた。
「I don’t want to kill you……」
カチッ。
ドゴォォォォォォンッ!!!!!!




