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怪しいイケメンくんと異世界旅行〜目指せ、世界征服〜  作者: 風葉 千尋
第2話 紫の月
58/67

22.The stark reality 〜smile and roaring sound〜

文字数(空白・改行含まない):949字

「この後、僕はちゃんと約束を守った」

 『あの方』って人、本当に不思議な人だな。

 ヌヴェルさんは「うーんっ」と腕を伸ばした。

「あ、そうだ。皆、体調は正常かい?」

 僕は少しだけ頷いた。

 皆も同じように、体を起こして頷いている。

「そうそう。リクくんは情報が欲しいと言っていたね。今から引き継ぎをするから、その中で得られるかもしれない」

「どうして今、引き継ぎを?」

 僕がそう言うと、彼はクスッと笑った。

 何で笑うんだろう。

「王座決定戦は殺し合いだよ? 僕たちのどちらかが必ず死ぬ。だから、戦う前に引き継ぎをするんだ」

 なるほど。

「まず、明日8時から戴冠式。式で使う王冠は書庫にある。書庫は、クルフォ公園にある建物の地下。建物の前で、フェガリヴァスィリアスと唱えたら行けるよ。進め方もそこにある。その後、政治の制度を整えていく、と。えーと、他に何かあったかな」

 ヌヴェルさんが首を捻ると、髪がパサ……と音を立てて落ちた。

「毎年、考えるけど、特に何も思いつかないな。大体は書庫にある書物に書いてあるしね。…………あ、リクくん。次は水の『ク』だよ」

 リクの雰囲気が、一瞬、鋭くなり、顔が険しくなる。

「他、質問は?」

「――じゃあ。あんたさ、死んだんじゃなかったの?」

「その話、終わったんじゃなかったっけ?」

「終わってないし。始まりもしてないんだけど」

「ごめん、ごめん」

 彼は朗らかに笑った。

「――でも、それ、何の話?」

 ……え?

 何で知らないんだ?

「交通事故。電車で轢かれたこと、覚えてないの?」

「え、あー、あのこと? ドッキリだよ。何人かに手伝ってもらってね」

「そ」

 にしても、ずいぶん、大掛かりなドッキリだなぁ。

「う〜ん」

 彼は、大きく伸びをした。

「僕、異様な雰囲気について、喋ったつもりなんだけど、ほとんど関係無い話だっただろ? ごめんね」

「いえいえ、お気になさらず」

 この話が無駄だったとは、決して思わない。

「ふわぁぁぁ」

 あくび?

「眠いんですか?」

「うん、とっても。――さぁ、そろそろだね」

 ……そろそろ?

 突然、彼は真顔に戻った。

「殺し合い」

 僕の体が、勝手にビクッと動く。

「I must kill you but――」

 彼は、眉尻を下げて笑い、何かのスイッチを掲げた。

「I don’t want to kill you……」

 カチッ。

 ドゴォォォォォォンッ!!!!!!

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